前回反響だった安田忠夫インタビュー第2弾は新日本プロレス編! 90年代の新日本の内幕や、ストロングスタイルの意味、そして“1・4事変”橋本真也vs小川直也まで激白します!
【前回はコチラ】
・相撲と暴力、博打、八百長問題を激白! 安田忠夫「貴乃花は、馬鹿乃花だよ!」
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──あ、ガマンしてない(笑)。でも、おめでとうございます!!
安田 全然めでたくないよ。そのあと競艇で15万負けたから!
──ハハハハハハ! 大晦日に朝青龍が相撲を取ったのはご存知ですか?
安田 まぁ噂程度で。俺もギャラさえくれたら出たのに。相撲だったらやってみたい気もしないでもない。
──朝青龍vs安田忠夫は見たかったです!
安田 まわしを取っていいんでしょ? だったらチャンスあるじゃん。がぶって組んでからだったら、俺はけっこういい相撲を取るよぉ(笑)。
──第2弾があったらぜひお願いします! 勝てば1000万円ですから(笑)。
安田 いまは金がないから、今年はまだ博打ができてないんだよ。
──じゃあ給料日までガマンなんですね。
安田 いやいや、給料が少ないから博打はできない。それにこの仕事をもうやめようと思ってるから。
──前のインタビューでは「なんの仕事はやっているのかはまだ明かせない」と言ってましたよね。
安田 いや、もう明かせるよ。いまはガードマンやってるんだけど、給料が安いんだよね〜。たぶんやめると思う。
──安田さんの流浪の旅は続くんですねぇ。それで今回は新日本プロレス時代のお話を伺いたいなと。
安田 新日本プロレスのことなんて忘れちゃったよ!(笑)。
──まず安田さんが相撲を廃業されたのはどういう理由があったんですか?
安田 そんなの相撲協会に残れないからだよ。家族を食わすためにプロレスに行ったんですよ。
──安田さんは小結まで行ったけど、引退後の保証はなかったということですね。
安田 その代わりに引退相撲とか全部仕切ってくれた。親方だった千代の富士さんには「残れ」と言われたんだけど「プロレス行きます」ってね。
──新日本プロレスとは話はついてたんですね。
安田 いやね、話はついてたんだけど、直前で断られたんだよね。
──えっ、どういうことですか?
安田 全日本プロレスに断られたの。
──あっ、最初は全日本に入団するはずだった。
安田 この話はあんまり表に出てないけど、馬場さんとキャピタル東急で話をしてね。会ったときは「俺よりデケー!」ってビックリしたよ。
──なんてったってリングネームが“ジャイアント”ですからねぇ。
安田 でも、そのあと連絡がないんだよ。「どうなってるんですか?」って聞きに行ったら「アンタはもういらない」って。
──えっ、それはひどい!(笑)。
安田 あのときはカーっと頭にきたよ! 後楽園ホールの控室で馬場と永源遥をぶん殴ってやろうかと思ってね。でも、まだチョンマゲがついてたからヘタなことできないでしょ。引退興行もオジャンになっちゃうし。マゲがついてなかったら間違いなく馬場を殴ってた。馬場と永源の2人ぐらいだったら倒せるだろって。
──プロレスに行くから引退を決めたのに、凄く困りますよねぇ。
安田 そしたら知り合いが猪木さんに会わせてくれて。猪木さんは話が早かったよ。「やりたいか、どうか?」を聞かれて終わり。ポンポンポーンって決まっちゃったもん。3日もしないうちに、永島(勝司)さんとかと話をして。ただ、新日本プロレスとしては北尾光司で失敗してるから「下からやってもらえませんか」と。
──北尾は特別扱いしすぎて育成失敗しちゃいましたもんね。
安田 いまだから言えるけど、新日本に入ったときから選手扱いの給料だったんだけどね。そのかわり契約金とかはなかったよ。
安田 右から左だよ、そんなの。
──あっ、借金返済に。
安田 千代の富士さんに2500万くらい返した。だから俺、千代の富士さんには一銭も借金ないよ。
──というか、2500万も借金すること自体が凄い!(笑)。
安田 先代(元横綱・北の富士)から「オマエをほめてやれるのは、あのケチからよくあんなに大金を借りたことだ」って言われたなあ。
──ハハハハハハハハハハハハ! 借金をキレイにして引退したんですね。
安田 すべてキレイにとは言わないけど……ある程度はね。ガッハッハッハッ!
──ちなみに相撲にいたときの給料はどれくらいもらってたんですか?
安田 安いよ、俺らの時代は。いまの奴らの半分もねぇよ。
──馬場さんからはいくら出すと言われたんですか?
安田 引退相撲をやって、それでも残った借金を立て替えてくれると。
──そんな約束をしたんですか(笑)。
安田 ところがいざとなったら……。あのとき全日本には本田多聞が入ったからさ、俺のことがいらなくなっちゃったんだよ。というふうにあとから聞いたけど。
──新日本では月給200万円だったそうですね。年収2400万円って、いまのプロレス界でもそんなにいないような……。
安田 最高でその金額ですよ。新日本プロレスで一番よかったときが月200万。
──結果的に全日本より新日本のほうがお金はよかったんじゃないですか?
安田 それは言えてる。いまとなっては新日本に入ってよかったよ。猪木さんには非常にかわいがってもらったし。長州力にはイジメられたけど(笑)。
──安田さんにとって天敵ですよね(笑)。
安田 でも、長州さんも最初はかわいがってくれたんだよ!
安田 「コイツは俺に服従しない」と思ったんじゃない? 俺は先輩後輩みたい態度で長州さんと接しないから。橋本(真也)さんも長州さんに対してはそうだったでしょ。
──安田さんは“橋本派”ということで睨まれてたんですよね。
安田 そうそう。橋本さんと一緒にいるだけで目をつけられたから。
──長州さんは、橋本さんたちがあまり練習熱心でないことに苛立っていたみたいですけど。
安田 オメーよりはしてたよっ!!
──長州さんより練習をしていたと?
安田 うん。あの人が言うほど俺は練習してなくないから。だいたい練習なんて売りもんにするもんじゃねーじゃん。
──プロは結果がすべてではありますね。
安田 俺が入った頃のレスラーってみんな売りがそれなんだよね。「頑張って練習してます!!」みたいな。そんなに一生懸命練習やっても試合に勝てなかったら意味ねえじゃん。だから口では「練習してない」って言って、陰でやるのが一番なんですよ。
──安田さんもあの巨体のわりには引き締まってましたね。
安田 でしょ。だからやってるって。オマエの前でやんねーだけだよバカヤロウって(笑)。
──なるほどぉ。
安田 そこは考え方が違うから。俺たちプロでしょ? 学生じゃないんだからさ、練習して金もらえるんだったら練習するよ! 違う?
──おっしゃるとおりです。
安田 でしょ。そのへん柔軟になれよって。練習しないでリングに上がってるヤツなんていなかったよ。
──武藤さんや蝶野さんも全然道場に来ない……って言われてましたけど、そのわりにはしっかりした身体つきで。
安田 ちゃんとジムに行ってたでしょ。実際にちゃんとやってたか、やってないかは知らないけど、練習をやってたことにしようよ。たぶん蝶野さんはやってないけど(笑)。
──ハハハハハハハハハ!
安田 ダメだよ、それ書いちゃ(笑)。俺はそんなに練習嫌いじゃないから。けっこうスパーリングとかやってたしね。ベンチプレスだけやるバカヤロウとは違いますよ。
──限定された言い方!(笑)。
──あの時代の新日本にはレスリングエリートがゴロゴロしてましたよね。中西さん、永田さん、藤田さん……。
──厳しい練習を一緒に乗り越えられたから連帯感が出てくるんでしょうね。
安田 それはあるね。みんなスパーリングを10本くらいやる中、俺は3本くらいしかやんないけど(笑)。
──それだから長州さんに目をつけられたんじゃ!(笑)。
安田 でも、やってることには変わりないから!
──当時の合同練習を仕切ってたのは馳さんですか? もしくは健介さん?
──“アレ”の名前は出しちゃダメ!(笑)。新日本の練習って基礎体とスパーリングが中心なんですよね。
安田 基礎体とスパーリング、受け身。あと階段登りとか。
──プロレスの練習はないわけですよね。
安田 ないよ、んなもん! そんなのあるはずないだろ。
──じゃあ、試合はセンスと経験でやる感じですか?
安田 でしょう。なんで試合の練習すんの?
──いまのプロレスなんかは試合を面白く見せるために、動きや技の練習してますよね。
安田 あぁ、そう聞くね。そのほうが楽でいいじゃんと俺は思う。でも、それじゃショーじゃん。完全なショーじゃん。
──当時の新日本は、レスラーのアドリブ性が問われたってことですね。
安田 俺らの試合は「アレな」って言われるだけだから。「いつものやつな」って。
──要所だけを決めて、あとは自分で試合を作っていかなきゃならないっていう。
安田 そうそう。全日本は前半から作りがあるって聞いていたけど。その当時は長州さんに「手が死んでる」とか「手がフラフラしてる」とか怒られてね。いまだから理解できるけど、その頃は意味がわかんないよね。
──そういうスタイルだと、ホントに個人のセンスが問われますよね。
安田 だから中西くんとかダメなんだよ(笑)。ああいうタイプは全日本に行けばよかったんだよ。
──ああ、たしかに。永田さんはどっちでも合ってるのかなって気はしますけど。
安田 うん。彼は器用だからどっちでもできる。
──器用すぎるのが欠点かもしれませんけど(笑)。
安田 あー、クサくなっちゃうんだよね。俺の場合はちょっとヘタだから、そこにリアル感があるのかもしれないけど。
──安田さんなんかは体格がデカイから、そのほうが迫力があってよかったんじゃないかなと思いますね。
安田 でも、たまにほら、違うところをおもいきりやっちゃったりしてね(苦笑)。
──じゃあ、けっこう相手から嫌がられてました?
安田 うん、「カタイ」って言われてた(笑)。
──「カテェ」と。性格の悪いレスラーだとわざとカタくやる人もいますけど、安田さんの場合は……。
安田 ないよ。俺はそのへんは武藤さん派だから。
──リング外は橋本派だけど、リング上は武藤派。
安田 そのへんはイージーイージー。蝶野さんもそうだったけど、武藤さんはやわらかい試合だからね。橋本さんとは違ってね。
──橋本さんはけっこうカタイから評判が悪かったんじゃないですか? だってレガースを着けないでガンガン蹴りまくって。
安田 橋本さんは相手の受け方に文句を言ってた。飯塚(高史)さんが蹴りを受けるときにヒジを出して怒られたり。
──蹴り足をケガするじゃないか!と。
安田 ちゃんと胸を出していれば、そこを蹴ってくれるんだから別に痛くもなんともないわけだよ。
──いや、それでも痛いですよ!(笑)。
安田 まあね(笑)。受ける方が難しいから、そうやってヒジを出しちゃうし、橋本さんの足が上がんないから「蹴りが腹に入る」ってよく言われてた(笑)。
──足が上がらない!(笑)。
安田 そのうち橋本さんも疲れちゃって足が上がらなくなるんだよ。みんな控室で悪口で言ってた(笑)。まぁでも腹も鍛えてるから関係ないけどね。それがプロレスラーだから。
──それこそがストロングスタイルっていうことなんですね。
安田 よく言われたのは「技を受けるんじゃない。相手を100%信用しちゃいかん」と。相手がイージーに落としてくれると思っちゃいけない。失敗するもんだぐらいの気持ちでやらなきゃダメってことだよね。
──そこは猪木さんの思想ですね。
安田 みんな猪木さんの考えに近いのよ、たぶん。
──要はケガをするのは受けるほうが悪いって考え方ですね、新日本は。全日本はその逆で。
安田 そうそう。だけど、たまに「わざとやってない?」ってヤツもいるんだよ。佐々木健介みたいな。
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話の内容うんぬんより誤字が酷い