多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー!15000字でお送りします! この原稿はニコニコ生放送で配信されたものです(聞き手/ジャン斉藤)


【1記事から購入できるバックナンバー】

・朝倉海の即UFC王座挑戦は「オーストラリアの◯◯」がきっかけ?■シュウ・ヒラタ

・【次期王座挑戦者決定戦】元谷友貴「RIZIN“激推し”の秋元選手に勝てばオイシイ」

・みんなの物語「朝倉海の挑戦を語ろう」■川尻達也☓笹原圭一

・朝倉海とパントージャはどこに差があったのか■水垣偉弥



――
シュウさん!今日は語ることがたくさんあるみたいですね。

シュウ まずベラトールはもう今年(2024年)で終わりじゃないですか。

――今年で終わっちゃうんですか!?(笑)。

シュウ 2025年1月の大会も「Road to Dubai 」として発表されてますからね。

――状況を整理するとベラトールは今年に入ってPFLに買収され、新生ベラトールとしてスタートしたんですけども、来年から「Road to Dubai」という名称に変わる。ベラトールは実質なくなってしまうと。

シュウ そうだと思います。でも、こうなることはみんなわかっていたと思うんですよ。少しずつ少しずつ吸収していく。名前は出せないですけども、ベラトールの何人かのトップ選手はベラトールからリリースを求めるために弁護士を雇ってるという話ですね。

――ベラトールのトップファイターは新体制後、ファイトマネーが高額すぎるという龍もあって試合がなかなか組まれないですね……。

シュウ そういうことです。PFLからしたらギャラが高すぎる。ゲガール・ムサシが揉めてましたけど、それだったら早くリリースしてくださいって話なんですよね。その中には「できればナンバー2であるRIZINに行きたい」と言ってる選手がいるんですよ。

――おお、それは楽しみです! そのへんの揉め事は表面化してますけど、PFLからすればリリースは避けたいんですかね? それとも契約があるまでは縛っておきたいのか。

シュウ それがね、よくわからないんですよ。PFLが何を考えているのか。交渉していまのギャラよりも低い契約をしたいとか……いろんなこと考えてるかもしれないですよね。

――PFLは毎年優勝賞金100万ドルのリーグ戦を階級ごとにやってましたけども、2025年はどうなるんですかね。

シュウ 一応リーグ戦はやる予定だとは聞いてます。やっぱりPFLにとっては優勝賞金100万ドルのリーグ戦は一番の大きな宣伝になるので、継続するんじゃないかなと思ってます。ただ、一時はまた階級を増やそうとして、それこそ女子のアトムや男子のフライとかいろんな話があったのに止まっちゃっているので。ベラトール閉鎖の流れですから、大晦日のベラトールジャパンもないというのが妥当な考えだと思うんですよね。そして最近PFLから各マネジメントに連絡が入ったんですけど、来年から優勝賞金は100万ドルではなく、50万ドルと半額に下がるんですよ。

――半分に!

シュウ ウチはタイラ・サントス選手のマネジメントさせていただいているんですけど、彼女のレベルの選手でも、ファイトマネーも少し下がるんです。サウジからの資金が入ったとはいえ、やはりあれは「投資」ですからね。投資してくれた人たちに対してもメイクセンスな経営をしていかないといけない。となると帳簿上はまだ真っ赤のはずですから、そのあたりをアジャストしていかないといけないステージに入ったということだと思います。

――それだけ混乱しているとRIZINとの対抗戦の話も消えるわけですよね。


シュウ RIZINさんとしてもベラトールのブランド価値を見出せなくなったかもしれないですよね、

――半年くらい前にベラトールが「大晦日は日本でやる」というアナウンスしたじゃないですか。何かしらRIZIN側との話し合いはされていたと思うんですよね。

シュウ はい、ありました。それは聞いてます。ただ、サインはしてなかったってことですよ。ちゃんと契約にサインしてないのに、もう合意したからとホームページに載せちゃう。「アメリカあるある」ですね。

――ベラトールの内部は混乱しているし、RIZIN側もブランドの低下を見切ったってことですね。

シュウ その可能性が高いとボクは思ってます。ある意味、RIZINさんは正しい判断だったんじゃないでしょうかね。そして契約書にサインしてなかったから、キャンセルできたということだと思います。

――高いお金を払ってまで起用したいのは、パトリック・ミックスくらいなんですよねぇ。

シュウ  そのベラトールジャパンを補う隠し玉がライアン・ガルシアvs安保瑠輝也だったわけですよね。

――北米市場の戦略でいえば、ベラトールは知名度がないからライアン・ガルシアを選びますよね……。いままでRIZINはボクシングスーパーファイトでメイウェザーやパッキャオを起用してましたけど、今回はFanmioというPPVの配信サイトを通しますよね。

シュウ メイウェザーのときはFiteTVとかじゃなかったですか。

――FiteTVだと大きな拡がりはないですよね、そこはね。

シュウ それにいまはいろんなプラットフォームで流すことが普通になっていますからね。RIZINさんの契約がどうなっているかは知らないですけども、いろんなプラットフォームで流すんじゃないかなと踏んでますね。ONEも北米ではAmazonプライムで配信されてるんですから、RIZINもガルシアのようなアメリカでも注目される選手が絡めば、それこそ、最近AEWの配信をスタートしたNetflixでも、DAZNでもAmazonプライムでも全然可能性あると思います。

――春にライアン・ガルシアvs安保瑠輝也が試合ができれば……ということですね(笑)。それにしてもベラトールのファイターたちは大変ですね。

シュウ とくに超高給取りは大変です。これからは買い手市場になるんで、自分の価値を理解し、ヘタしたらそれこそ半額に下げてもらって契約しないと試合ができないかもしれないですよね。

――RIZINとしても、いまベラトールと交渉して選手を借りるよりも、リリース後に一本釣りしたほうがいいかもしれない。

シュウ そうなんですよね。これ、裏を取ってないから知らないんですけど、ベラトールジャパンをやるとなったらRIZINはベラトールにサイト・フィーも払ってると思うんですよね。でも、ベラトールなんて各大会で利益が出てることなんて少ないどころか、もしかしたらほとんどは赤字だったのかもしれないですし。

――ベラトールの利益が出たのはRIZINとの全面対抗戦のときだけじゃないか……という話もありますよね。

シュウ ベラトールからしたら悲しいことにベラトールジャパンが一番利益が上がってんじゃないかって。

――最初のベラトール日本大会は大赤字だったらしいので、そこからRIZINが磨き上げられたわけですよね。

シュウ ベラトール以外の団体もいろいろと大変なんですよ。これは名前を出せないけど、ある団体が潰れるという噂が流れたんですよ。ですけども、某企業との契約が決まって、なんとか救済されました。



・キック路線に移ったONEの現在
・UFC独禁法訴訟のドタバタ
・利権に暗躍する“一族”の関係者
・摩嶋一整vsケラモフの反則は?
・UFC日本大会の可能性……15000字の続きは会員ページへ!