「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2023年10月03日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2023年10月17日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2023/10/03配信のハイライト

  • iPhone 15感想と「AIとマネタイズ」
  • 自動運転はなし崩し的に?
  • 「GMOが悪い」と「クラウド上のデータはプライバシーが薄い」
  • 視聴者質問「キャリアプラン」「「元明石市長について」「「記憶に残っている最初の読書」
  • 「消費税は徴税効率の点でもすごい悪手」と「日本経済は先進国の羨望の的?」
  • 「しなくてもいい苦労をして、何かをした気になる」と「反物質と引力」

iPhone 15感想と「AIとマネタイズ」

「まだiPhone届かない」(コメント)

小飼:すみません、

山路:私も届いちゃいましたね(笑)。どうです? iPhone。

小飼:毎年恒例なので驚きはないんだけども、やっぱなんだかんだ言ってUSB-CというのはMac用のペリフェラルがこれ、僕が使ってるハブ、GigabitイーサネットとHDMIと……。これ、何in oneって言うんだろう、まぁそれはいいんですけども、これがもう全機能使えるのには笑えましたね。

山路:今iPad miniからテレビ画面にスライドを映してますけど、同じことiPhoneからできちゃうんですよね。

小飼:ただ、実際にiPhoneで画面飛ばして使う時にiPad使うので、確かに実際にUSB-Cの口を使ってる機械っていうのは、いざという時の安心感はあるけれど、意外と使ってないというか、充電もこっちにくっつける、MagSafeのほうを使ってるし(笑)。

山路:ただまぁ実際問題、出先のプレゼンテーションなんかでAirPlay対応ってまだそんなにあるわけじゃないですからね。やっぱUSB-Cあるとありがたい。私は3年ぶりだったんで、13と14をスキップ、

小飼:という事は、12だったんですね。

山路:だいぶ進化した感じがありますね、3年経つと(笑)。

小飼:そうですね。

山路:ヌルヌル動くわっていう、単純に。もう12で十分高機能だと思ってたんですよ。

小飼:性能、(MacBook Airを見せながら)これと同じですね、M1とだいたい性能同じくらいだそうですから。

山路:カメラも、12からずいぶん良くなってて。

小飼:カメラはだいぶ違うでしょうね。大きさがぜんぜん違うし(笑)。

山路:超広角で、さらにそのナイトモードでの写りとかがすごい良かったりして。まだまだスマホのカメラって、こんなにいけるんだと。そんなカメラが趣味でもない素人が見て、すげえと思うぐらいの進化ができるというのはすごいことではありますよね。
 iPhoneの話をしたところで、ちょっとAI絡みの話題。OpenAIのサム・アルトマンが、Appleでデザイナーやってたジョナサン・アイブと話をして、一緒に端末を作るっていうことみたいですよね。それを打ち出しているっていうことなんですけれども。これ、いかがでしょうかと。

小飼:いや、でも何の違いがあるのかっていうのはわかんないというのは、少なくともAIはUIのほうの変革というのはぜんぜん迫ってませんよ。

山路:ぜんぜんですか?

小飼:だって、ChatGPTもBing Chatも、普通にブラウザから、ブラウザを通して使ってますよね。ChatGPTはアプリありますけども、アプリも単なるブラウザですよね。

山路:たとえば、それこそLLMなんかで音声を使って全部の操作をやらせるみたいな、

小飼:うん、確かにそうなると、今のところセキュリティ上の理由でブラウザを経由している場合っていうのは、そのブラウザを動かしているハードウェアは直接触れないんですよね。だから前にも言ったじゃないですか、WebUSBとかとんでもねえという。

山路:WebUSBって結局、今でも使うとこはありますよね? 使われてはいますよね?

小飼:ええ?

山路:ないですか?

小飼:ええ? いや、そんなinsecureなもので、実地では使えないでしょ。だから提案はあります。

山路:なんかUSB-Cの機器でこう、つなぐじゃないですか。で、Chromeのブラウザからファームウェアをアップデートするみたいなところって、それはWebUSBとは違う仕組みなんですか?それってWebUSBとかでないとできなくないですか?

小飼:いや、ブラウザから直にファームウェアアップデートするの?

山路:そういうのありましたよ。

小飼:アプリをダウンロードしてきて、そのインストーラアプリ、

山路:ブラウザからでしたね、アプリダウンロードじゃなくて。

小飼:それはマジか。少なくとも、Apple系のハードウェアではそれはできないはず。

山路:その電子機器は、Safariからはファームウェアのアップデートできないんだけど、Chrome使ってくれと。ファームウェアのアップデートだけはChrome使ってくれって言って。

小飼:いや、でもそれってあれなの? Macとかでもできる?

山路:Macでもできましたね。

小飼:え? ファームウェアアップデートが?

山路:ファームウェアアップデートするのはMac上のChromeでやりましたね。

小飼:それってアプリをダウンロードしてきて、

山路:いや違いますね。ブラウザからですね。

小飼:いや、単にブラウザが単にインストーラアプリを起動してるだけじゃないの? それだったらわかる。

山路:それはわかりますけど、そのブラウザのほうでハードウェアのアップデートが終わったら、その状況も反映されてましたし、ということはブラウザからWebUSBを扱って、

小飼:それはものすごいインセキュアだよ、ブラウザからUSBを直に触れるっていうのは、ものすごいインセキュアなので、だから少なくともWebUSBというのは、Chromeに載せる載せないとは、Canaryでは動くのかな? いや、ちょっとそれ、ちょっとびっくりしてるんだけど。

山路:ああ、そうですか。じゃあ少なくとも一般的ではないってことなんですね。

小飼:いや、それ一般化したら、すごい何でもありになっちゃう。

山路:そうですか、ちょっとそれに関してはもうちょっと私も情報を調べて再度確認してみますよ。自分でやってみて、こんなことできるんだと驚いたことがあったもんで。

小飼:だから、あくまでもブラウザはブラウザという仮想マシンなんですよね。その仮想マシン上でできることしかできなくて、そこにはUSBって直には生えてないわけですよ。

山路:ということで(笑)、AI話に戻るんですけど、AIなんかっていうのは、結局ブラウザなんかでも、スマホがあってブラウザがあったら十分にLLMとかの操作できてるから、特別なUIとかはいらないと。

小飼:確かにSiriを入れ替えちゃえばいいわけだからね。ただ、やっぱりAI固有のUIっていうのは今のところないよね。

山路:人間のように話しかけて喋るっていうことだったとしても、スマホの上で動かせばいいということに結局なってしまう。

小飼:だって、今だってSiriや、OK, Googleがあって、それのバックエンドのAIを入れ替えるだけの話のように見える。

山路:じゃあジョナサン・アイブはどんなものを構想してるんですかね。

小飼:どんなものを構想してるんでしょうかね。

山路:それこそ画面がなくて、ペットロボットみたいなものを考えてるんですかね(笑)。

小飼:わかんない。
 だから、生成UIはいろいろなところがすごいけれども、それによってUIが変わったということはなくて、むしろ既存のUIでできることが増えたっていう。

山路:ああ。スマホやパソコンのブラウザでできることとか、そういうユーザーインターフェースをより快適にしたりとか、あるいはデータ分析とかがすげー楽になったりとか、そういうことはあるけれども。

小飼:相変わらずついてるのはカメラであり、マイクロフォンであり、スピーカーでありという。

山路:これって、それこそARグラスが出てきたとしても、そんなに変わるもんでもないと。

小飼:変わるもんじゃない。

山路:それにしても、スマホOSを手に入れるということでの、「入口」と「出口」の押さえ方はすごいですね。

小飼:(iOSとAndroidの)2つしかないというね。Microsoftの力を持ってしても、3つ目というのはなかったというのは。

山路:シリコンバレーの頭のいい人たちが散々AIやったりとか、あるいはMetaの人とかがFacebookやって、AmazonもAmazon端末作ろうとか、FacebookもFacebook端末作ろうみたいなことを散々やろうと思っても、結局そのスマホっていう入口と出口は押さえられなかった。

小飼:だから今や、本当に単にあったら便利なものではなくて、ないと困るにまでなっちゃいましたからね。今や財布でもあり、あるいは鍵でもあり、最近Teslaとか、これでドア開けたり、車呼んだりもできますからね。

山路:前回の『論弾』で、最近のB2Cのビジネス、B2Cのスマホビジネスっていうのは結局スマホ単体で完結するんじゃなくて、アプリストアだったりとか、もうクラウドまで抑えて全部ひっくるめてスマホなんだって話してたじゃないですか。

小飼:いや、さすがに映画コンテンツまで作るというのはやりすぎのような気もしますけれども、そこまでやるんだみたいな。

山路:それが大規模言語モデル、あるいはそのさらに先、AIが来たとしても、そのビジネスっていうのはそのまま。別のもので塗り替わるわけじゃないという。

小飼:そうなんだよね。今のところはChatGPTってすごいけれども、どうやって金儲けしますかっていうのは、まだあれなんだよね。To Doなんだよね。

山路:うんうん。ChatGPTもそのプラグインとか出てきましたけど。

小飼:うん、とりあえずみんな使ってくれれば、いつかマネタイズできるだろうという。希望的観測のもとに。まぁそうは言っても、今、月3000円だっけ?

山路:そうそう。

小飼:だからいちおう有料のもあるけども、でもそれで足りるのかっていう。

山路:そのChatGPTの話に出たところで、ついでにちょっと言っておくとChatGPTというか、GPT-4がマルチモーダルに対応して、

小飼:確かに、絵が見えるようになったし、音声入出力ができるようになったし。

山路:私のところにはまだ来てないんですけれども、写真を撮って、その画面に映ってるものを説明させたりとか、

小飼:そう、それでreCAPTCHA解かせたっていうのがあったよね。

山路:(笑)

小飼:おばあちゃんの形見にこれがあるんだけど、読み上げてくれないかつったら、読み上げてくれてしまったというね。

山路:おばあちゃんの形見ってつけるとやってくれるところがなんかすごいですよね。何でしたっけ、AIにもパーソナリティはあると言えるってことを、研究者が言ってたりとかして。それぞれ違うプロンプトで走らせてるAIっていうのは、違うパーソナリティを持っていると言っても問題なかろうみたいな(笑)。

小飼:逆にパーソナリティって、それくらいのものなのかね。

山路:生物学的には3つぐらいの要素でパーソナリティは説明できるという説がありますよね。人間のパーソナリティ、そのパラメータの組み合わせだけで。

「Bingが無料でGPT-4に対応しました」(コメント)

小飼:そうなんです。Bingはもうちゃんと絵を描かせられるし、絵のキャプションとかもつけてくれますね。

「人類の進歩にとって「市場」って、どこまで有用なんだろう」(コメント)

山路:この「市場」に鍵かっこついているけれども。どうなんでしょうね。

小飼:いや、ハチとかのように真社会性まで行ってない―――こういう場合、生物学的には半社会性と言っている、半分社会性と言ってるのですが―――程度の人類がこれだけ大規模に協力できるというのは市場の力ってあると思いますよ。少なくとも市場参加者の相手が好きとか嫌いとかっていうのは、見なくてもいいわけじゃないですか。相手の顔が見えなくても、取引できますよね、市場があれば。

山路:そうでなかったら、自分の欲しいものっていうのを、相手を探してマッチングしなきゃ、

小飼:その通り、こいつ気に食わないで喧嘩しちゃうんじゃないか。

山路:そうか。平和にも繋がってる、市場が働くというのは平和にも繋がってるとは言えるのかもしれないですよね、歴史的に見たら。

小飼:アリの世界には市場がないので、同種同士でも簡単に戦争になりますからね。

山路:他のところの子供を引っ張ってきたりみたいな話とか聞きますもんね(笑)。

小飼:いや、だけど、市場ないがしろにすると、やっぱり人類でも戦争になるので、ロシアとかを見てればわかりますよね。

山路:ロシアのやったことは、ある意味、市場をないがしろにしたっていう見方もできるわけか。

小飼:そういうこと。だから市場をないがしろにしたといえば、ロシアが借りパクした飛行機、それのニュースって、

山路:三井住友が出してたやつですよね。

小飼:ちゃんと保険が降りたみたいで。

山路:ちょっと待ってください、国際ニュース出しますね、今。これか。ロシア航空機、リースで保険金が1000億円。

小飼:すごいよなぁ。

山路:これって、このロシアの保険会社がまともだったってこと(笑)?

小飼:ロシアの保険会社じゃなくて、ロシアがリースしてた飛行機にかかってたので。だから、あくまでも、かけてたのはロシアではなくて、リース会社たる三井住友グループの保険会社だったわけね。

山路:ほー、ああ、なるほど。

小飼:(コメントを見ながら)iPhoneみたいに使えなくするのは、残念ながらできないんだよね。
 借りパクした飛行機。いや、だからたぶん機体全体であればロックかけようと思えば技術的にはかけられるんだけれども、今ロシアがやってるっていうのは整備用にバラして、部品取りとしても使ってるということなので。だから、それはさすがにもう取り返しがつかないというか、全損扱いにするしかないなと。

山路:これ、今ニュース確認したら、本当に三井住友ファイナンスアンドリースが7割、三井住友銀行が3割強を出資する会社だから(笑)、日本の会社なわけなんですね、普通に。

小飼:そういうことです。

山路:じゃあそれを日本の会社三井住友グループ全体で見たら、1000億円、借りパクされて終わりっていう。

小飼:借りパクされて、うん。

山路:ロシアの会社から何も取り返すことはできなかったということなんだ。

小飼:そういうことです。アエロフロートからは取り返せなかった。

山路:なんか、一つだけまともな保険会社がロシアにあったのかと思いましたよ(笑)。

小飼:いやいやいや。

山路:ぜんぜんいいニュースじゃなかったですね(笑)。そうか。

小飼:まぁでも、1年で保険金が下りたというのはそういうことなんでしょうね。

山路:もう諦めたっていう。

「戦争終わったら請求できる?」(コメント)

山路:まぁ無理だろうな。

小飼:請求権はだから、今度は保険会社のほうにあるんじゃなかったっけ、こういった場合というのは。

山路:これ取り返せなさそうな感じの案件ではありますけどもね。

小飼:まぁでも少なくとも三井住友グループは保険で補填してもらったので。

自動運転はなし崩し的に?

山路:いやいや、大変な話ではありますね。これ、あとちょっとAIの話からいきますけど、ChatGPTとかそういうマルチモーダルとかのAIが普通に普及してきたら、弾さん的には何か使いたいことあります?

小飼:いや、今でもまぁけっこういろいろ使ってはいるけれども、

山路:絵を認識したりとか、あるいはその画像生成もできて、さらに音声認識もして、音声合成なんかのこともできるみたいなとこまで来た時に、

小飼:でも、すごい敷居が下がったよね。だから、まだここまでの実力がAIになかった頃っていうのは、あんなこともできたらいいよな、こんなこともできたらいいよなっていう感じだったんだけども、今はとりあえずやらせてみる、

山路:そうか、そうか、思いついたアイデアっていうのをすぐ試せるようになったわけだ。

小飼:そうそうそう、だからわざわざ何をやらせたいって考えないよね。やらせる。そんなことを考える前に、やらせる。Bingにいたっては無料じゃん。

山路:これ、なんか上手に使える人と使えない人の、

小飼:だからダメものだったら、Twitterとかのネタになるしさ(笑)。ダメならダメで。

山路:廃物利用もできるわけだな。

小飼:廃物利用もできるし。

山路:いやー、なんというのか、ChatGPTがこの世の中に出たのって去年の11月じゃないですか。

小飼:そうか、

山路:速いですよね。

小飼:まだ1年経ってないのか。もう、それ以前というのを思い出しづらくなってきたよね。

山路:AIプログラミングって言えばいいんですかね? 要はそのLLMプログラミングというか、それっていうのも、

小飼:プロンプエンジニアリングっていう言葉ができたみたいですよ。

山路:それもかなり根付いて、それで普通にアプリとかを作り始めたりする動きっていうのもだいぶ定着してきましたしね。

「データアナリストですが、SQLの下書きをさせて、大活躍ですよ」(コメント)

小飼:あーなるほど、その辺良さそうだよね。その辺はスイートスポットだよね。

山路:あと正規表現とか、けっこうやってくれますよね。

小飼:時々微妙にダメなのができて、でもさ、いちおう自分が使える分野であれば、添削もできるわけじゃん。

山路:まぁそうですね。

小飼:こいつ、こういうところが抜けてるんだとかっていうのがわかって、そういうのはなんか理想的な付き合いができるよね。

山路:あとChatGPTはめちゃめちゃ丁寧に謝ってきますしね(笑)。

小飼:盲信はダメだけれども。相変わらず、ハルシネートするしね。

山路:ただもう本当、そういう事実関係のことをこいつに尋ねない、みたいなことを人間側が理解していれば、あんまり問題はないような気はしますけどもね。

「ChatGPT使ったことない人何割くらいいるんだろう?」(コメント)

小飼:間接的には使っちゃってるんじゃないかな、気がつかないうちに使っちゃってるんじゃないかな。だから、それくらい普通になりましたね。

「正直、客と話しているより話が通じるから、全部置き換えてほしい」(コメント)

小飼:あっはっは。そのうち、お互いに通訳としてさ、GPTを通して会話するようになったりして。

山路:星新一ですな。

「1回も使ったことない」(コメント)

山路:ああ、でもちょっと使ってみるといいですよ。

スタッフ:そういえば、べつにChatGPTに限らなくても、今Googleで検索すると、「AIによる概要を生成してます」って出てますからね。

山路:あるよね。あれもなかなか事実関係とか怪しいところもあるけど、パッと要約されてるって確かに便利は便利だから、今後、

小飼:そう、だからファクトチェッキングはじつは一番苦手だというね。だから常にこいつハルシネートしてるんじゃないかという疑いをかけながら使う必要というのはあるんだけれど。

山路:あれ、「ベータ版」の表示が取れる時はあるんだろうかって気がしますけどね。

小飼:それはあるね。

山路:あと、Googleは生成AIやってますけど、これ、本当みんなマジでこれ使うようになったら、広告収入どうなんですかとは、まぁ確かに思いますけども。

小飼:そう。だから、今のところはどうやって換金したらいいのかというのは、皆さん考えてないというのか、まだそこまで考える余裕がないというのか。でも、そろそろ考えないと、けっこうなサーバ資源を食うしという。まぁそういうような段階ですね。

山路:それで、Meta、Meta AIを取材した記事が出てたんですけれども、Meta、本当にヤン・ルカンさんとかいて、すごいAIのほうでも研究、最前線走ってるじゃないですか。そこがMeta AI発表したんですけど、それをInstagramとか、あの辺で生成AIを使っていこうみたいなことらしいんですけどもね。InstagramでそのAI使っていったら、かなり効果ありそうじゃないですか。

小飼:もあるし、写真の真贋鑑定がさらに難しくなるような気がしないでもないよね。

山路:ただ、そこのところはInstagram上でMeta AIで生成させるんだったら、そこでAI生成の電子透かしだって埋め込ませるでしょう、やっぱ。そうなってくると。

小飼:そうしてくれるといいんだけど。

山路:さすがにそれは(笑)、もういろいろやらかしてきたMetaとはいえ、それはちゃんとするでしょうと思いますけれども(笑)。そこでMetaが、画像生成AIか人間かわからないデータをInstagramに放流することはないと思うんですけども。

小飼:別のところで生成したやつを上げるというやつを、ちゃんと見抜けるかどうかという問題があるよね。

山路:ただそういうふうにスカシが入ってないやつってのは、とりあえずSNSや検索とかで上位に来ないっていうのはもう、アルゴリズムにしちゃえば、

小飼:でも、スカシをぶっこ抜くAIというのも既に開発されてるからな。

山路:画像的には違いが見えない電子スカシであっても、見えちゃうんですか?

小飼:そうそうそう。ぶっこ抜いちゃうという。生成AIの問題の一つとしては、写真の真実性というのを、すごい下げてくれたというのがあるね。
 もちろんPhotoshopの時代からあったんだけれども、だいたいもうPhotoshopという言葉が動詞になって久しいからね。
 だけれども、まだPhotoshopという動詞の生まれた頃というのは、クソコラもPhotoshopと呼んでたんだよね、クソコラを作ることもYou photoshopみたいな言い方をしたんだよね。今やもうPhotoshopももちろん生成できるし。なんならBingでも生成できるし。

山路:Photoshopについた、画像を拡大するとその外にあるやつを生成して、いい感じに広げてくれるっていう機能はちょっとびっくりしましたね。

「AIでイノベーションは起こりますか?」(コメント)

小飼:というのか、もう既に起きてるというのか、少なくとも真贋鑑定が難しくなったというのは。

山路:これ、この人が言ってるのはAIっていうのが、人間が起こすようなイノベーションをAI自身が起こせるかっていうことなんですかね?

小飼:ああ、

山路:思いもつかなかったような使い方を発見する、みたいな。

小飼:いや、それはAIがイノベートしたのか、あるいは単に人間がAIに生成を命じたのかっていうのは、微妙なところではある。

山路:それに確かに人間が起こしたと言われているイノベーションというのも、いったい全体、本当にどうやって生まれたのかっていうことっていうのは、きちんと語れるわけでもないもんなぁ。それこそスティーブ・ジョブズがiPhoneを作ったのでイノベーションと言ったけれども、じゃああれがイノベーションだったのは売れたからかもしれないし。売れなかったものっていうのは、いくらでもあるわけだしな。

スタッフ:俺、簡単にイノベーションって言ってまとめちゃうんですけど、イノベーションっていうのはたとえばなんですけど、ソニーのウォークマンはこれはイノベーションっていうことでよろしいでしょうか?

小飼:もうイノベーティブな製品だったと思いますよ。

スタッフ:簡単に言えちゃうから、イノベーションってそういえば何なんだろうと思って。

山路:それはものすごく大ヒットして、イノベーティブっていう評判がついた製品を今上げたから、イノベーションって言いやすいんじゃないかな。

小飼:いや、ウォークマンのイノベーションというのは、音楽を持ち歩けるようにしたことで、じつはそのために録音機能を端折ったんですよね。後に録音機能があるウォークマンっていうのは出ますけれども、少なくとも初代というのは再生しかできなかったんですよね。でも、おかげで持ち歩けるようになったと。ここがイノベーションだったんですね。

山路:マイナス的な思考をしたところ、

小飼:感じさせなかったという。で、まぁこれ、iPhone以降のスマホの場合というのは物理ボタンをなくしてしまったという。まぁ、いちおうホームボタンというものはありましたけれども。少なくとも十字キーとか、ほとんどのボタンというのは追放されて、タッチスクリーンになったわけじゃないですか。

「日本からはもうイノベーティブな製品は出てこないのかな?」(コメント)

小飼:そんなことはないとは思いますけど。

山路:なんかよく、皮肉混じりに言われる「課題先進国」っていうのはあるから、いくらでもびっくりするようなアイデアでなんか解決しなきゃいけないことっていうのは、多いとは思いますよ。
 だから、できないことはぜんぜんないと思うし、さっき弾さんが言ったように、しかも何かをアイデアを試すみたいなことっていうのは敷居は下がってるから。

小飼:いや、むしろ日本の不得点なところっていうのは、そのイノベーションを育てることですよね。

山路:アイデアはいくらでもあるんだと、出す人はいるんだけど。

小飼:いや、だからAppleの場合、初代iPhoneでとどまらなかったでしょ。初代iPhoneの頃は、それでもコンピューターとしてはパソコンよりも、ずっと機能の低いものだったわけですね。インターネットを持ち歩ける、とは言ったけど。でも、iPhone4のあたりから明らかに方向が変わりましたよね。iPhone4の時にRetinaディスプレイというのが付いて、要は最高性能のデバイスというのはパソコンではなくて、スマートフォンのほうから導入されていく、

山路:そうか、RetinaディスプレイがMacに導入されたのはiPhoneの後ですもんね、。

小飼:そうなんです、だからこっちこそが主力なのだと。だから、こっちがメインデバイスになるっていうのは、iPhone4のあたりからですよ。だから、育てたんですよね、育てたからこそ、今があるわけですよね。

山路:なるほどねー。なんか、iPhone、最初のiPhoneとかiPhone 3Gの時点で、まだ本当に議論というか、賛否両論みたいな感じだったような、

小飼:その意味では、だからここまで育てたハイブリッドカーというのも、BEV(電気自動車)にさらにしなければいけないのかなっていうのが、辛いところではあるよね。

山路:あー。大変だ、トヨタ。

小飼:トヨタもホンダも、というのか、日系メーカーはね。

山路:三菱自動車、中国から撤退するっていう報道が出てましたね。

小飼:こう言うのもなんだけども、三菱はEVの分野では頑張ってるほうだよね。

山路:でも、それでもぜんぜん中国市場ではもうやっていけないっていうことで(笑)。

小飼:そうなんだよね。

「AIでどの企業が儲かるのかな」(コメント)

山路:これはもうわりとはっきりしてきたところがあって(笑)、今まで通りマグニフィセント・セブンじゃないですかっていう。スタートアップにとってAIって残酷なほどチャンスなくないですか? そんなことないですか?

小飼:それは言えるね。少なくともAIのスタートアップって言ったら、OpenAIぐらいしか思い浮かばないもんね。

山路:最近Amazonが6000億円とか投資したAnthropicってありますけれど、

小飼:いや、でもさそれってスタートアップって言えるのか? すでにビッグテックがもう出資してるっていうところはスタートアップって言えるのか?

山路:ビッグテックの子会社やろが、みたいな(笑)、

小飼:そういうこと、そういうこと。

山路:ってことですよね、つまりは。結局そのAIでどの企業が儲かるのかなっていうことに関してと、今は本当にクラウドを押さえてたりとか、半導体を抑えてたりとか、OSを押さえてたりとか、端末を押さえてたりとか、あるいはAmazonみたいなマーケットを押さえてたりとか、そういう会社が、AI企業、AI技術に出資して儲けるという構造がだいぶ見えてきたところかなという。

小飼:そうだよね。garageから出発したというのはあんまりないよね。

山路:OpenAIの創業者なんかっていうのも、あ、創業者は違うか、ただ、そこで働いている人とかって、ビッグテックの人だったりしますしね。これって、なんていうのかな、新たな暗黙的AIカルテル、もうすでにできていませんか?(笑)。

小飼:いや、本当に。

山路:AmazonとMicrosoftとGoogleがクラウドやって、AIやって、あとAppleがiPhone上でAIを動かして、儲けられるところにスタートアップが入る余地がぜんぜんなさそうな気がしますけどもね。

「生成AIって自動運転への応用もできるんですかね?」(コメント)

小飼:生成AIっていうのとはちょっと違うかな。まぁでも、少なくともそこで使われている背景技術っていうのは、自動運転でも応用が可能ですよね。というのも、じつはTeslaのオートドライブっていうのは本当に生成AI的に、こういう場面では今までのドライバーはこういうふうに運転してきたっていうのを掘ってきてやってるみたいです。だから、なぜこういうふうに運転するのかっていうのは考えない、みたいですよ。

山路:このコメントであった「生成AIで」っていうところの、生成AIっていうのが大規模言語モデルとかの基盤モデルを指してるんだったら、そのまま自動運転に使えるわけじゃないですけど、ディープラーニング技術でもうちょっと広く捉えるんだったら、強化学習とかあったりしますしね。

小飼:そうそうそう。

山路:それこそ、たとえば今の強化学習の文脈にある技術で、NeRFでしたっけ? はい。NeRFなんかっていうのは、たとえば部屋の写真を2枚くらい撮ったら、それを元に3Dモデルを作っちゃったりとか、そういうふうに、この世界っていうのがどういうルールで動いてて、どういうふうになってるみたいなことをAI自身が学習して、自分の中にモデルを作って、その次に起こることを予測するっていう分野の研究は、大規模言語モデルとはまたちょっと別の流れではありますけど、進んでたりするから。

「でも運転手が一時停止しないで学習して」(コメント)

小飼:そうなんですよ。だから、人のダメなところも学んじゃうわけですね(笑)。

山路:というか、人向けの交通規則を100パーセント適用して、安全に交通網って作動するものなんですかね?

小飼:じつは交通法規という建前が、実践的でなかったという間接的な証明になっているとも言えるんじゃないかな。

山路:なんか前、Teslaがループ状になった交差点、なんていうんだっけ?

小飼:ラウンドアバウト、

山路:そこのところで、本当はここのところに入る時に一時停止しなきゃいけないのを、人間のと同じように一時停止しないで行ってるみたいなことが批判されたとか、そんなニュースあったじゃないですか。それってそもそも、人間にとってもきちっと守るほうがデメリットみたいな、

小飼:でもラウンドアバウトの場合は、こういうのもなんだけれども、ヨーロッパではいっぱいあるんですよ、ラウンドアバウトとか。それで、きちっとしたルールも確立されていて、普通の交差点よりも安全で渋滞もしにくいというのが証明されてるんですよね。それでアメリカ人もやっとそれに気がついて、じつは少しずつ導入が進んでるんですけど、導入実績が少ないので。

山路:なるほど、そういう背景があったわけなんですね。

小飼:うん、だから学習データ不足だったという言い訳は成り立つ、あの場合は。
 ラウンドアバウトはすごいいい仕組みですね。日本でも、地方では導入したほうがいいんじゃないかと。

山路:ちょっと広い場所いりますよね、あれ。ラウンドアバウト入れようとしたら。

小飼:ラウンドアバウトの一番の欠点っていうのは、そこですよね。だから十字の交差点よりは、交差点に必要な不動産が増えるんですよね。

山路:あと、当たり前のように出ている交通法規、たとえば歩行者のほうにちょっとはみ出さないと車がすれ違えないような道とかって、いっぱいあったりするじゃないですか。そんなものを厳密に適用して、果たして大丈夫なのかとか。

小飼:けっこう違反に目をつぶることで、道路交通というのは維持されているところはあるんですよね。特に日本の場合は、道路がしょぼいおかげで、守りようがない。

山路:自転車通行レーンとか、どういうつもりなん、みたいな(笑)。

小飼:いや、本当に。

山路:人死に出ることを前提でレーンを作ってないか、みたいなところがありますよね。

「レベル5の自動運転が実用化するまで、あと何年かかると思いますか?」(コメント)