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小飼弾の論弾 #130 「世界中が燃えた夏と、記録を軽視する「日本仕草」」

2019/09/14 07:00 投稿

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 「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2019年8月6日(火)配信その2をお届けします。

 次回は、2019年9月17日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2019/08/06配信のハイライト(その1)

  • 「利害関係のない人たちが溜飲を下げる」ための輸出規制
  • 利下げの影響、変わらない金余りと貧困
  • 国内テロが増えるアメリカ、天安門の再現はできない中国
  • タフな世界にとても耐えられなかった郵政の「かんぽ生命」問題
  • 記録の軽視という「日本仕草」
  • 7iDへの対処法とセブン&アイホールディングスの「最大の敵」
  • 最低賃金上昇と「鹿児島人は、東京人の8割弱の価値しかないのか?」

「利害関係のない人たちが溜飲を下げる」ための輸出規制

山路:今日番組のタイトル、「世界中が炎上する夏」ってつけてみたんですけど、いいニュースが1つもない(笑)。燃えてますよね、世界中。なんかシベリアで凄い森林火災が起こっているのを皮切りに、というのも変ですけど。

小飼:ロクなニュースないね。

山路:世界はもちろん、その日本国内だけでもけっこう、リクナビとかかんぽ生命とか、アハハ、すでにグッタリしてますね。

小飼:もう本当にね、もう夏バテというのかニュースバテというのか。

山路:こんなになんか最近ニュース、『FACTFULNESS』を紹介した後で言うのもなんですけど、悪いニュース、悪くてでかいニュース、増えてないですか? みたいな、なんかそういう気がちょっとしてきちゃうんですけどね。そういう統計上の事実とはまた別に。
 あと限定のほうで『天気の子』についていのちょっとネタバレ交えて、語ろうと思いますので、よろしくお願いします。まずはどこから行こうかな、炎上、燃えてるところの1つ。

小飼:どれも燃えてるな。

山路:まずは日韓辺りの燃えてるところから、日本と韓国の。

小飼:ああ、これはもう何と言えばいいのかな、世界のあちこちでもう何十年、あるいは百年以上燃えてるところとかあるじゃないですか、トルクメニスタン「地獄の門」とか。あるいはペンシルベニアの炭鉱火災がまだいまだに燃えてるとかね。
 確かに日韓関係というのは、そういったところというのはあるんだけれども。

山路:まあ常になんか抱えているというのはあるけれども。

小飼:でもその一方で、凄いお得意さんでもあるんだよね。

山路:貿易の額だったりとか。

小飼:うん6兆円くらい黒字だったはず日本が。なんでそうなるかっていうと、日本からいろいろなハイテク原材料を買って、韓国は更に最終製品にして世界に売っているから、そういうことになるわけですけれども。

山路:今回いろいろ日韓関係こじれて、韓国をホワイト国、まあグループAって言うんですか、新しくは。そこから除外して、半導体関係の材料を韓国が買おうとする時には、面倒な手続きが必要になっちゃうみたいなことになったと言うんですけど。

小飼:普通にしただけだって、言うかもしれないですけれども。

山路:違うんですか?

小飼:たとえば今、日本の人が海外に行く時に、ビザを取る人ってどれくらいいます?

山路:ビザ、あんまり。

小飼:普通はパスポートと航空券さえあればいいわけですよ。でも本来は、それに加えてビザも査証も、必要なわけです。

山路:なんか大使館とかに申し込んで。

小飼:そう、そう。

山路:面倒ですよね、けっこう。

小飼:だからビザなし渡航が、普通にビザをとって下さいっていうの、けっこうあるのよ。けっこうその差っていうのが、大きかったりするのよ。

山路:この今回のグループ、ホワイト国とかの話とかにしても、それくらいのインパクト、ビザ無しだったのが、ビザありになるくらいの。

小飼:しかも韓国って、中国やアメリカの次辺りに来るんじゃなかったっけ? 日本の貿易相手としては。但しそういった扱いが始まったというのは、比較的最近なんだよね。2004年だったっけ?

山路:そのホワイト国として。

小飼:というのか、要は一括で検査を免除しますというような。

山路:これ影響って何気にデカかったりするんですかね? やっぱり。

小飼:どうなんでしょうね。でも結局、近年の貿易でいうと、お前のところには売らない、お前のところには売りにくくしてやるというのは、別の輸入相手を開拓するという方法で、大抵、今や世界の貿易というのは基本的に余程のものでない限り、買い手市場なんですよ。

山路:なんか中国がレアアースのやつをちょっと絞った時なんかも。

小飼:そうそう、だからその時にも、今度は日本が買う方でしたけれども、その時には見事に迂回した上で、WTOに訴えて、中国が負けた上で、WTOの裁定に従った。

山路:今回も結局似たような、韓国が別の売り手を見つけるとか、あるいは自国内で開発するとか。

小飼:品目を見ると、確かに高品質のというのは難しいけれども、フッ化水素って化合物としては単純ですからね。

山路:純度を高めるのが難しいだけ?

小飼:安全に扱うというのが難しいというのは、あるんですけれども。
 だから本当に世界1というのにあぐらをかいていると、すぐ持ってかれますからね。すぐっていうのも大げさかもしれないですけども、たとえば日本のお陰と言われていものと言えば、ステッパーという機械があります。

山路:半導体。

小飼:そう、半導体を作る時に、半導体というのは写真技術を応用して、基盤のサイズまで縮小した回路図というのを照射してやるための機械で、これをステッパーっていうんですけれども。かつてはニコンとかキャノンとか、要は日本の光学メーカーが。

山路:カメラ。

小飼:そう、カメラメーカーが強かったんですけれども、今や世界トップというのはASML。Netherlands、Netherlandsってあのあれだ、オランダの会社になっちゃいました。

山路:ああ、じゃあけっこうそういう業界自体の中心が移動しちゃうことって、普通によくあることなんだっていう。

小飼:そうそう。だからお前が売らないんだったら、けっこう他から買います、という方がやっぱり強いんですよね。だって石油ですらそうですもん。オイルショックの時というのは、もうそれはOPECの力というのは強かった。だからお前には売ってやらない、って言ったらもうあれですよね。

山路:なぜか日本中からトイレットペーパーがなくなったりもしました(笑)。

小飼:そうそう、頭下げるしか、日本は当時はぺこぺこ頭下げてましたけども。今はもう石油レベルの資源が偏ってて、かつ貿易額も大きな商品ですら迂回できちゃうんですよね。

山路:アメリカなんか自分とこで採るようになったし。

小飼:うん。

「結局、この行動っていうのは日本にメリットなさそう」(コメント)

小飼:ええとですね、要は誰も嬉しくないんですな、これ。

山路:日本企業は売れないし。売りにくくなるし、韓国もなんか買えなくて困るし。

小飼:でも誰もっていいましたけども、厳密には関係者は誰も嬉しくない。そう、韓国に輸出している企業も面白くなければ、韓国のほうも当然面白くない。
 でも面白がる人がいるんですよね。無関係な人ほど面白がる、無関係な人ほど気持ちよくなる。

山路:そういう反韓、反中的な文脈の人とかが喜んだりするとかそういう。なるほどな。これ韓国って今、いろいろ大変な、ホワイト国除外のニュースが出た途端に、ウォンが凄い安くなったりとかして、韓国の通貨危機なの? みたいな。

小飼:ちょっとそれだけじゃないんですけどもね。

山路:じゃあこれが直に、前みたいなIMFが介入するみたいな韓国の通貨危機になるというわけでもなさそう?

小飼:今、外貨準備が凄いクランチしているとか、そういったことはないわけです。

山路:ああ、じゃあなんか日本って、このやつっていうのが、攻撃に効くと思ってたら大間違いで、自分のほうを心配しなきゃいけないかもしれない。

小飼:もうはっきり言って、喜んでいるのは、嫌韓厨の皆さんだけですよ。
 これは中国製品の関税を上げようとしてるアメリカにも言えると思う。
 そう、だからそれで溜飲を下げる人たちというのは、はっきり言って、本当実際に利害関係のない人たちばっかりだから。

山路:その人達は、投資やってるわけでもねえし、モノ作ってるわけでもねえし。

小飼:そうそう、だから客がいるわけでもないしということで。

山路:なんかぜんぜん縁のない貧乏人が騒いでいるみたいなことだったりもするのかな。

小飼:まあそういうことなんですよね。

利下げの影響、変わらない金余りと貧困

山路:じゃあ追加関税の前にアメリカ、利下げしたりとかそういうこともやってるけど、追加関税やったお蔭で、アメリカの株ってガーンと下がり、安定運は高くなりみたいな、ちょっと今市場とかでは混乱状態になってますけど。

小飼:この程度では混乱と思えなくなったね。やっぱりリーマンショックの後では。

山路:これどうです? 弾さん的には。

小飼:リーマンショックくらいでも、たとえばリーマン級なら消費増税を凍結とかっていってて、そこまでではないからね、やっぱり増税しますとかって言ってて、それはさておき、リーマンショックくらいでもまだデプレッションまでいかなくて、リセッション止まりなんですよね。

山路:ああちょっと景気後退っていうことですよね。リセッション。

小飼:ただいくつか懸念材料があるのは、リーマンショックの時よりも、アメリカ人借金増やしているんだよね。

山路:え? それぞれの家のレベルでということ?各個人というか、家庭の世帯のレベルで。

小飼:そうそう。家庭のバランスシートにおける負債の割合というのは、リーマンショックの時よりも大きくなってるんだよね。

山路:それはその家、教育ローンとかが高くなったりとか? 大学の授業料が高くなったりとか、家が高くなったりとか。

小飼:あるいは医療ですかね。

山路:なんか中間層の人らがめっちゃ金に困っているというような記事っていうのは、チョロチョロ出てきてますけどね。

小飼:いや、だから、額面どおりなのかね? というのはあるね、特にインシュリンの値段とか。

山路:ああインシュリン。

小飼:だからちょっとびっくりするやら、呆れるやらというニュースは、カナダから個人が医薬品を輸入するというのを解禁するとかっていってるけれども、それお前のところの薬価がおかしいんじゃないかという。作ってるのはお前のところじゃんという。

山路:なんかアメリカって頭いいんだか、悪いんだかよくわからんことを、よくしますよね本当に。

小飼:本当に、GDP通りの経済発展をしているのかっていうところはありますよね。

山路:アメリカが?

小飼:うん。

山路:それはもしかしたら水増しじゃねえか。

小飼:要するに物価が上がっただけじゃね? という。

山路:ああ、じゃあその分って、普通の世帯の人から、もしかしたら多めに絞り取ってるだけなのかもしれないという。

小飼:うん、日本以上にね。

山路:へえ、それ怖いな。なんか。ちょっとこれアメリカが絡みでいうと、最近その関税の前に利下げしたりとかしましたけど、これって弾さん的にはどう思いました? 利下げをしたのは?

小飼:でもこういうのも何だけれども、利下げする余地があるというのは、そこは心底羨ましいところなんだよね。

山路:ああ、日本みたいにマイナス金利。

小飼:日本だけでないの、ついにスイスで、これはちょっとしたニュースだと思うんですよ。ついに個人のSavings account、個人の普通口座の金利までマイナスが現れた。

山路:え? それは預けとくと減っちゃうっていうこと?

小飼:そういうことです。

山路:ええー(笑)

小飼:年に0.75%バック。だからそう、取りますと。

山路:へえ、なんか今まで日本でもマイナス金利と言いつつも、実際はその個人のやつに関してはそうはならなかったのが。

小飼:個人のやつはそこまでいかなかったんだけど、まあアホみたいに安い金利にはなってるけど、まだ。

山路:なんか口座維持手数料的な感じでもう目減りしていくみたいな。

小飼:そうそう、だから頼むから普通預金にはしないでくれと。

山路:もっと長く預ける定期預金。

小飼:あるいは債権買うなり、なんなりしてくれと。

山路:へえ。

小飼:Cash is not welcomeなんですよね。

山路:でも銀行とかがめちゃめちゃもう大変なんじゃないですか。

小飼:ある意味そうなんだよね、全世界的に低金利というのは。

山路:ほう。全世界的に低金利というのは、つまりお金を借りようという人が少ないっていうこと?

小飼:まあそういうことですよね。だから均してみると金余りがどんどんひどくなってる。でも金余りがひどくなってるのに、貧乏人が減っていないという。要は貧困差があんまり減っていないという。

山路:なんか金持ちの口座残高だけが増えていくみたいなイメージなのかな、結局のところ。

小飼:そう、だから金の効率が落ちてる。

山路:ああ、前だったら同じ額で。

小飼:1番簡単なのは、持ってない人に配ることなんですよ。今、まあ全世界的にその逆やってるわけですから。

山路:なるほどね。

小飼:うん、だから鬱血状態ならぬ鬱金状態になってますよね。

国内テロが増えるアメリカ、天安門の再現はできない中国

山路:これじゃちょっと金(かね)絡みでもう1つその、アメリカがまた中国を為替操作国と認定というニュースが出てたんですけど、これって要はウォン安に国家が介入してやろうとしているという。

小飼:ウォンじゃなくて、人民幣(レンミンビー)でしょ。

山路:ああはいはい。人民元ですよね。
 それってある程度どこの国でも為替とかに介入はしているのではないですか?

小飼:うん、それは米国も例外ではないけどもね。

山路:やり過ぎだっていうことなんでしょうかね? この場合。その為替操作国として中国を認定したというのは。

小飼:アメリカのこの手のものっていうのは、なんと言えばいいのかな。

山路:ふっかけ、とりあえず喧嘩を。

小飼:ふっかけというよりも、本当に俺ルールをそのまま押し付けているというものばっかりだからね。本当にアメリカってそういうのばっかしよ。けっこうユニラテラルなものばっかりよ。もう一方的に。

 

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