「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2019年4月2日(火)配信その1をお届けします。
次回は、2019年6月25日(火)20:00の配信です。(※申し訳ありません。6/18から変更になりました)
お楽しみに!
2019/04/02配信のハイライト(その2)
- Apple Cardは「外しようがない」
- Appleの「しでかし」AirPower
- 引きこもりNINJA、天下りポストのための「AI人材」
- 「いつでも学べる」プログラミングと「日本の教育に足りないもの」
Apple Cardは「外しようがない」
山路:Appleの話にいきましょうか。Appleが今回、立て続けにいろいろサービスを発表した。たとえばAppleTV+だとか、ニュース。
小飼:Appleが自分で番組を作るというのは、ちょっと言いたいこともあるんですけども、あのカードはいいですよね。
山路:Apple Card。
小飼:日本でもやって欲しいですね。
山路:あれ凄いと思ったんですけども。ゴールドマン・サックスと組んで、クレジットカードを出すという。
小飼:そうなんですよ。じつは1番驚くべきところはそこかもしれないですよね。
ゴールドマン・サックスってかつては金持ち相手にしか商売しない会社だったんですよね。
だから本当に大口としか取引しない会社だったんですけれども、それがクレジットカードって本当に個々人のものなので。
だから小さなRetailに手を出すというのが、驚きの1つですね。
山路:これゴールドマン・サックス自体がそういう、ビジネスモデルを変えようとしてるんですか?
小飼:変えようとはしてます。
山路:投資銀行でしたよね。そこである意味儲けられなくなってきたという感じがある?
小飼:しっぺ返しも痛かったというのもありますよね。リーマンショックというじゃないですか、だけどもギリシャ経済こかせたのはGSですからね。はっきり言って、はい。
そういう大口のDealというのは、大口だけあって本当にごっそりお金も儲かるんですけども。
山路:だけどある意味強欲というか、ゴールドマン・サックスがあえて個人消費者向けのカードをやってくるというのは、そこにうまみがあるからですよね。
小飼:そういうことでしょうね。
山路:たとえばAppleが発表したApple Cardって年会費なんかも無料だし、いろんな手数料とかが無料みたいなこといって。
小飼:1番大きいのは、Appleは一切情報を得ないと。
山路:あんまり儲からなさそうな、Appleにとっては。
小飼:だけれども、他のダメクレジットカード会社はもっと儲からなくなるんですよ、ここがでかい。
山路:え?どういうことなんですか?
小飼:まずAppleは、我々がiPhoneを買った時点ですでに儲かってるわけですよね。
山路:けっこうなお金取りますもんね。
小飼:確かにTポイントカードみたいなことをやれば、多少は小銭は手に入るでしょう。
でもそれはやんない。そのほうがAppleというブランドを保つにはいいんですよね。しつこいほど繰り返しますけれども、Appleというのは万人のための製品を売っている会社ではないんですよね。
山路:金持ち向け。
小飼:そう。じつは客を選んでる会社なんですよね。
だからTポイントカードみたいに、二言目にはTポイントカードお持ちですか?みたいなものというのは、ブランドを毀損しちゃいますよね。
山路:ただ発表会で聞いていた感じをみると、とりあえずそのApple、iPhone買って、買った人なんかもうそこからすぐ作れますよみたいな感じのデモはやってましたけど。
小飼:はい、だから最初の与信どうするのかというのはありますけども、よく考えたら、iPhoneを買えたこと自体が与信と、ある程度与信として作用するのかなと。
山路:言ってみたら、iPhoneXsとかだったら10万円以上するし、もっと安いやつでも、グローバルな基準でいったら高級機だから。数万円の入会金払ってるみたいなもんなんだ。
小飼:そうですよね。プラチナカード会員費としてのiPhoneね。
山路:なるほどね。会員、そこでもう足切りをしてるんだみたいな。
小飼:iPhoneを買うとApple Cardが出来ます。それはわかった。じゃあApple CardでiPhoneって買えるのかな?
山路:え?
小飼:まあ一度出来てしまえば、それはもう買えると思うんですけど、先にiPhoneがない状態で、Apple Cardというのは、やっぱり絶対に出来ないんでしょうかね?
山路:出来ないんでしょうね。これはなんか物理的ななんかこう、コメントでも「プラチナカードいいよね」みたいなのありましたけど、プラチナカード格好いいですけど、あれはアプリから申し込まないと送られて来ないみたいですよね。だから、たぶんそこのところはもうiPhone買うということ、やっぱり前提なんじゃないですかね。
小飼:じゃあ最初のブートストラップの与信というのは、どこかから持ってこなければいけないな。
山路:それこそ中古品のiPhoneの価格が、もしかしたら高騰するかもしれないですけどね。前『小飼弾の論弾』でも言っていた、アメリカの若者っていうのが意外にクレジットカード持ってないという話をしてたじゃないですか。
小飼:そう。
山路:彼らもとりあえずiPhoneさえ、中古でも何でもいいから手に入れてしまえば。
小飼:そこで与信をスタートできるというのは、うん。だけどもしつこいようですけども、万人のためのデバイスではないわけですよね。
山路:なるほどね。そうかそうかApple Card当たると思います?夏に始めるそうですけど、アメリカで。
小飼:それは外れようがないですよね。というのも、もうApple Payが根付いちゃったじゃないですか。
山路:これってとりあえずアメリカでスタートですけど、日本にも来る可能性ってあるんですかね?
小飼:とてもあるんだけども、じつはクレジットカードをどう運用しているのかっていうのは、アメリカと日本ではけっこう違うんですよね。
よく言われるのは日本は手数料が高い。でも手数料が高い代わりに、日本の人というのはあんまりリボ払いしてくれない。
山路:私も絶対しませんもん。
小飼:僕もぜんぜんしてなくて、そもそも本当に1回払いしか使ってないんですけども、アメリカの場合リボ払いが基本だと思って下さい。だからカード持っているのはどういうことかっていうと、もうそれだけで、いつでも借金出来るんですよ。
いついくら返すのかっていうのを調整さえすればいいわけで、そこで儲けてるんですね。
山路:ああ、その利息で。
小飼:だから決済手数料というのは、ディスカウントが効くわけですよね。リボ払いが基本。
山路:そんなに仕組みが違うんだったら、そもそもApple Cardっていう仕組み自体が日本のクレジットカード的なものを踏襲しようと思ったら成り立たないというか、日本でApple Cardのクレジットを展開しようと思っても、なんというか。
小飼:繰り返しになりますけども、Apple CardでAppleは全く儲けるつもりがない。ここで儲けるつもりがないというのは、金銭だけはなくって、個人情報、特に与信情報もそうですよね。
山路:そうか、そこのところを前面に出してきたりとかすると、けっこう支持されるかも知れないという。
小飼:うんうん。
山路:けっこうお金の流れとしては前、弾さんが電子マネーと匿名性の話をしてたことがあるじゃないですか。
小飼:はいはい。
山路:ある意味Apple Cardって匿名性の高い電子マネーみたいなところもあるのかなと思ったり。
小飼:そこなんですよ。情報を集めないのはあくまでもAppleであって、ゴールドマン・サックスは普通に。
山路:ゴールドマン・サックスも確か、個人情報得られないということは、言明していたはずですけどね。
小飼:こればっかりは、やっぱりどう運営されるのか見てみないと。
でも、外しようがないと思うな。Apple Payがこれだけ根付いちゃった以上は。
山路:少なくともアメリカって、iPhoneのシェアとかメッチャ高いわけだから、とりあえずタダで作れますよって言われたら、アプリで作るわなというふうな気はしますけどね。
小飼:本当にApple Pay、もはやなかった時代を思い出せないけれども、でもその一方で日本で始まったのって、iPhone7ですよ。そんな、そんな。
山路:そうか2年前か。
小飼:いや3年前、猛烈に昔ではない。猛烈に昔ではないけれども。
Appleの「しでかし」AirPower
山路:Apple Cardとかって凄いなって思ったんですけど、その一方でAppleもいろいろ今回しでかしましたよね。
小飼:うん。
山路:1つしでかしたというのがAirPower。
小飼:はい。
山路:AirPowerというワイヤレス充電器ですよね。これを出せなかったということなんですけれども。
小飼:これはAppleの技術力が低いというよりも、なんでAirPowerを約束しちゃったのかというね。だからAirPowerを出しますって言っちゃったのは、明らかにマーケティングの人たちなんですけども、やっぱり技術リテラシーが足りてなかったんじゃないかなと。
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