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小飼弾の論弾 #44「対談・VRエバンジェリスト @GOROman さん VRで究極の怠惰を手に入れよう!」(その3)

2017/06/14 07:00 投稿

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「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
今回は、3月20日(月)に配信した、VRエバンジェリストGOROmanさんとの対談テキスト(全3回)をお届けします。

次回のニコ生配信は、6月19日(月)20:00。ゲストは、ベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』で知られる、会計士で作家の山田真哉氏です。
テーマは、「僕らが生き残るためのマネー戦略」。
「残業せずに、給料を上げるには?」「無理なくお金を貯めるための方法は?」「FXに手を出しても大丈夫?」など、個人のためのマネー戦略と働き方を語り合います。
お楽しみに!

2017/03/20配信のハイライト(その3)

  • VR、AR、ホームオートメーションで、移動式寝たきりになりたい
  • VR/ARが発達すれば、部屋を片付けなくてもよくなる!
  • VR/ARは、現実世界を扱うためのユーザーインターフェイスになる
  • 「AIが生きている」と感じさせるには?
  • 視聴者からの質問:子どもを私立中学に進学させるべき?
  • 視聴者からの質問:友だちにVRを勧めたい
  • 無理矢理やらせようとすると、教育は確実に失敗する

VR、AR、ホームオートメーションで、移動式寝たきりになりたい

GOROman:今や、財布ですら、ここに入っちゃいましたからねえ。

「3人ともApple Watchしている」(コメント)

山路:はい(笑)。

GOROman:楽ですよ、これ。コンビニでもApple Watchで全部払えますもん。

山路:GOROmanさんは、Apple Watchを使ったホームオートメーションも取り組まれていますよね。

GOROman:そうですね。家もめちゃくちゃ改造しちゃいましたね。

山路:それもVRの文脈とつながりがあるわけですよね?

GOROman:僕、アニメ映画の『老人Z』がすごく好きなんですよね。

小飼:ありましたね。

山路:ありましたね。20年くらい前の……。

GOROman:『老人Z』したいんすよ。なんかもう、移動式の、寝たきりになりたいです。寝たきりでVRで全部できるし、家の機能も全部できる。一歩も動かずに、最高に動きたいんですよ。目指しているのはHoloLensというよりは、VRを使って一歩も動かないこと。
 ですけど、今の現時点、現世界はけっこう移動しないとダメじゃないですか。このスタジオにももちろん来ないと駄目ですし、出張も行かないといけないし、仕事の打ち合わせもいかないと。できればまったく動きたくない。家のベッドの中で、お布団でホカホカしながら一生を過ごしたいんですけど。

山路:すごくダメな人ですよね(笑)。

GOROman:そうそう。でも、人類って全部ダメになっていくと思っていて。

山路:そういうふうに、ライフスタイルも結構変わってくるかもしれない……。

GOROman:この20年間でまったく違うじゃないですか。ライフスタイルとか。そのうち飛行機会社は潰れるんじゃないかと思っていますけどね(笑)。「行かなくていいじゃん」とか言って。

山路:超高速ジェットとか作っている場合じゃないよという。

GOROman:いや、たぶんね、もう誰も移動しなくなりますね。僕の予想では。

山路:GOROmanさんはMikulusを作られていますが、その延長上にはVRによるプラットフォームがあるのではないかと考えられているんでしょうか。

GOROman:VRの中にOSみたいな機能が全部あって。我々はまだ、モニターのフレームという枠に囚われていますよね。フレームレスにコンピューティングができた瞬間、資料も空間に置けるし、クリエイティブなこともできる。たとえば、ラーメン食いながらマンガが読めるわけですよ。

山路:(笑)

GOROman:すごく便利じゃないですか?

山路:たしかにラーメンを食べながら、マンガを読んでいるとけっこう油が飛びますよね(笑)。

小飼:通知も見えないところに置いておくということができるから、VRは画面を広く使えるということでもあるんですよね、単純に。

GOROman:我々は、画面の呪縛から魂を解き放つ時がきたわけですよ。

山路:画面に追いかけ回されることになる?

GOROman:2種類できますね。スタティックに置くモードと、さっきみたいに動的に追従するモード。重要度が高いもの、例えばマンガとかは追従してほしいし、通知とかは裏に置いておく。重要度が高ければ高いほど、近くに表示するとかね。どうでもいいものは裏に置いておかないと。

小飼:「今日の予定」とかは壁に貼っておいて、滅多に見ないけど一応更新されているとかね(笑)。

GOROman:本の締め切りとかが、めっちゃ追いかけてくる(笑)。

山路:うわ~。

GOROman:「うわあ、逃げられねえ!」みたいな。

山路:今はスマホだけでなんでも済ます人って結構増えているんじゃないですか? VRではどうでしょう?

GOROman:いや、全部できるんじゃないですか? キーボードを超える入力装置が発明される可能性はありますよね。脳みそで考えたものがそのまま出ると最高ですよね。手とかもなにも動かしたくないんで。

小飼:結局そこですね。今のところまだアレですよ、(首の後ろを指差して)攻殻機動隊のコレができないんですよね。

GOROman:そうなんですよ。USB4.0とかつけたいですよね(笑)。

VR/ARが発達すれば、部屋を片付けなくてもよくなる!

山路:それに関して視聴者から質問が。

「いつも楽しく拝見しております。メディアは今まで2次元ではブラウザだったりしましたが、VRが普及すると違った形になると思います。どんなUIになりそうですか? あと、VRのUIでは部屋が片付けられない人には使いこなせないような予感がします」(コメント)

GOROman:でも、ぼく部屋まったく片付けられないんですよ。

小飼:同じく。

GOROman:すごいですよ。ツイートしましょうか?

一同:(笑)

GOROman:いや、本当に。ぼく、家族5人1LDKに住んでいるんですけど。ホント、頭がおかしいんじゃないかという感じですよね。ついにね、食事する場所がなくなって。

山路:えっ、そのダイニングテーブルみたいなのが。

GOROman:そこまで侵食して。もうね、いろんなものを置きすぎちゃって。家族、床でピクニックみたいにご飯を食べているんです。

山路:楽しそう(笑)。

GOROman:それはそれで面白いです。いま、ちょっと写真あげたんですけど。

小飼:「精神的ブラクラの予感」(コメント)って付いている(笑)。

GOROman:これ、ちょっとねえ、テレビとかに出てくる「ゴミ屋敷に住む男」みたいなものに近いですね。で、5人で1LDKですよ。本当に頭おかしい。これがリビング・ダイニングですからね。

山路:奥さんとか、文句言わないんですか。

GOROman:もうね、「常態化しているからしょうがない」みたいな。

小飼:うちはみんな片付けられないけど、みんな不満ではあるよ。片付けられないことに。

GOROman:お客さんくるときにブワッて、片付ける。でも、それで結構困っていて。このパーツとか、この道具とか、はんだごてとか、ニッパーとか、そういうもの位置は全部頭の中に入っているんですよ。

小飼:そうそう、そこ。

GOROman:部屋を掃除されると、ある意味デフラグをかけられたようなもの(笑)。「うわ、俺のニッパーがねえ!」みたいな。そういうの、ちょっと辛いですよね。

小飼:僕はその辺を極めて資本主義的な方法で解決していて。一応僕用の「隔離病棟」がある。

GOROman:僕も頭に来て、2年前までマンションの隣の部屋も借りていたんですよ。、大家さんにベランダをぶっ壊してもらって拡張したんです。部屋をオーグメントしたんですけど。

小飼:(笑)。

GOROman:そしたら、なにが起きたかというと、ただの物置になっちゃった。

山路:ありがちな。

GOROman:隣までブチ抜いて行けるようにしたんですけど。結局使わなくなっちゃったから、お金もったいないと思ってやっぱり返したんですよ。そしたらこのザマですよね。

小飼:(笑)

山路:だけどそういう人に限って、パソコンのデスクトップ画面はキレイだったりするんですよね。

GOROman:そうなんですよ。なんで分かるんですか?

山路:どっちかですよね(笑)。

小飼:僕も、デスクトップは片付けても、部屋は片付けられない……。

GOROman:だからデジタル几帳面なんですよ。フォルダとかちゃんと整理されていないと、ムカつくんです。

山路:私の妻なんか、部屋はすごくキレイにするんですけど、デスクトップ画面見るとグッチャグッチャっすよねえ。どこになにが、ファイルがあるのか……。

GOROman:僕もパソコンの中はシンプルで。

小飼:僕の妻はどっちもぐちゃぐちゃにします(笑)。

山路:(笑)

VR/ARは、現実世界を扱うためのユーザーインターフェイスになる

GOROman:例えばHoloLensに「俺のニッパー」とか言うと、「ここだ!」とか言ってピコーンって、出してほしいですよね。

山路:今だったらBluetoothのタグもありますからねえ。

GOROman:そうそう。NFCみたいな技術で一斉照射して、「わたし、ここ!」みたいな。

山路:ドラえもんのひみつ道具でそういうのありましたよね。

GOROman:キーホルダーにつけてピーピー鳴く、BLE(Bluetooth Low Energy)のタグがあるんですが、これもすぐ電池が切れて。あと、ケツのポケットに入れたら俺の「ケツ圧」に耐えられなくて、7個くらい破壊しています。

山路:なるほど、NFCでパッシブなタグにした方がバッテリーも使わないし、いいかもしれないですね。

GOROman:コンピューターのいいところって、検索できるとか、アンドゥやセーブできるところじゃないですか。現実側にこれを使って、コンピューターで便利な仕組みを持ってきたいんですね。

山路:VR的なUIというよりは、現実を扱うためのユーザーインターフェースとしてVRを使うという感じですね。

GOROman:そうじゃないと一般化しないと思っていて。ぶっ飛んだ使い方をする人と、一般的なお客さんを繋ぐなにかがないと、結局ついてこれないじゃないですか。パソコンも「CONFIG.SYS」とか「AUTOEXEC.BAT」みたいなものをいじらないと使えなかった時代から、Windowsが出てきて、マウスでUIが優しくなって。ネットが誰でも使えるようになったから今があるわけで。僕のころとか本当に大変でしたからね。全部CUIだし、イーサネットとかもないし。モデムだし。

小飼:という話を一世代前の人たちにすると、「君らの苦労は苦労じゃない」というふうに言い返されるんですよね。そもそも曲がりなりにも、キーボードとディスプレイが付いているだろうと。俺たちの時代はパンチカードだったと。それよりもさらに前の人たちというのは、そもそもブートローダーを、コンピューターを再起動する都度、手で打っていたと。ブートローダーをですよ。

GOROman:たぶんOSも何もないし、下手するとBASICもないし。

小飼:OSという概念自体がなかった。

GOROman:IPLですよね。"Initial Program Loader"がね。

山路:そうやって自動化してきた過程が見えるのがコンピューター的なテクノロジーのいいところですよね。開発者って、みんな面倒くさがりじゃないですか?

GOROman:もうね、人類がそうですよ。掃除機とかが売れる理由は、そこじゃないですか? 面倒くさいからですよね。だから、食洗機とか洗濯機とか、面倒くさいから買いますよね。

小飼:でも、最初のうちは便利なんだけど、慣れてくると、「洗濯機はなぜ洗濯物を畳んでくれない」、「掃除機はなぜ勝手に掃除してくれない」と言いたくなる。

GOROman:僕ねえ、ルンバ捨てたんですよ。使い物にならなくて(笑)。

小飼:そうせざるを得ないよね。GOROmanさんの部屋で動くルンバがあったらもっと売れるよ。

GOROman:「ペープー」とか言って。「エラーが発生しました。取り除いてください」って。

山路:GOROmanさんの部屋を掃除できるルンバは完全な人工知能ですよね。

GOROman:うちのルンバは、だいたい玄関に落ちて野垂れ死んでいましたね。オフロード仕様がほしいですよね。ミニ四駆タイヤみたいな感じの。スパイクタイヤのルンバみたいなのが要る。

小飼:逆説的に、ルンバが根付く家というのは、ルンバのために片付けてあげられる家なんです。

GOROman:子どもとかは「ルンちゃん」とか呼んで。「ルンちゃんの通り道作るからね」って言って片付けていましたけど、僕がグチャグチャにするんで。プラマイ、マイナスみたいな。

山路:うちもルンバ買ったんですけど、床にカバンとか置かなくなりました。

小飼:ほらあ~。

山路:ルンバに支配されてしまいました(笑)。

GOROman:なんでしょうね。機械のために人間様がなんかやるのはムカつくんですよね(笑)。

小飼:だよねえ。僕もそうだけど。

山路:でも、人間ってけっこう機械に身体を合わせちゃうじゃないですか。自転車の乗り方も練習するし。

GOROman:そうですよね。バイクも乗るし。

山路:なんだかんだいって、すでに機械に支配されちゃっているところもあるんじゃないですか?

小飼:だからって、ルンバごときに合わせてやれないよ。

GOROman:もっとルンバに、ディープラーニングみたいな機能が付けばいい。天井から部屋の状態を全部撮って、「ここのオフロードは回避」とか言って、あと積んで戻してくれる機能とか。

小飼:そこまでルンバが賢くなると、原因が我々にあるということを特定して我々をきちっと排除しようとする……。

GOROman:『ターミネーター』ですね。

小飼:もう、その世界。

GOROman:未来のコンピューティングに話を戻すと、僕はフレームから解き放たれたいんですよ。今はスマホだったら小さい画面の中でこうやってこすっているわけじゃないですか。

山路:多くの人は、あれで満足していたりすることってないですか?

GOROman:人間って不便をしらない限りは、結局それが満足かどうかの判断がつかなくないですか。洗濯板しかない時代に、「みんな洗濯板って超便利」って使っていて。

小飼:みんながその頃に欲していたのはもっと良い洗濯板だったんです。

GOROman:そうそう。だから自動車が出てくる前は、「速い馬をくれ」とみんな言っていたのと同じで。「最高の洗濯板はこんなに長いやつがいいんじゃねえ?」とか言って。でも、洗濯機というのが発明された瞬間、みんな洗濯板を捨てたわけですよ。

山路:マウスのときも言われましたもんね。マウスが出る前はみんな何が欲しいって言ったら「打ちやすいキーボード」って言っていた。

GOROman:全部そうだと思いますよ。いまの思考の延長、自分の脳内で補完できるものしか、けっきょく想像できないじゃないですか。

小飼:そのレベルのUIの革命というのは、どんなにハイペースでも10年にいっぺんくらいなので。

山路:例えば、GUIの登場ですか。

GOROman:マウスだってそうですよね。

小飼:そう。あの頃のマウスが現在の段階に来るまでには、10年どころでない期間がかかっているんですよね。

GOROman:昔のマウスは、本当に木の箱で尻尾が生えていましたからね。

小飼:僕はトラックパッドを使うようになって久しいので、こないだマウスを見て「あうあう状態」になりました。いったん手を置いて、ぐるぐる動かしてみて、ホイールをクリクリやって「そうだった、そうだった」みたいな。二本指でタップするのは、マウスだと右クリックだっけとか。

「AIが生きている」と感じさせるには?

山路:VRの開発で、人工知能技術を使われたりすることはありますか?

GOROman:それは今やろうと思っているところです。

 

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