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小飼弾の論弾 #42「対談・VRエバンジェリスト @GOROman さん VRで究極の怠惰を手に入れよう!」(その2)

2017/06/07 07:00 投稿

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「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
今回は、3月20日(月)に配信した、VRエバンジェリストGOROmanさんとの対談テキスト(全3回)をお届けします。

次回のニコ生配信は、6月19日(月)20:00。ゲストは、ベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』で知られる、会計士で作家の山田真哉氏です。
テーマは、「僕らが生き残るためのマネー戦略」。
「残業せずに、給料を上げるには?」「無理なくお金を貯めるための方法は?」「FXに手を出しても大丈夫?」など、個人のためのマネー戦略と働き方を語り合います。
お楽しみに!

2017/03/20配信のハイライト(その2)

  • AR、VR、MRは何が違う?
  • VRデバイスはどう進化する?
  • HoloLensを被って未来を体感する

AR、VR、MRは何が違う?

山路:GOROmanさんに、視聴者から質問が来ています。

「AR、VR、MRについて、Wikiで調べたりしているんですけど、AR、VRはわかるんですけど、MRがいまいち」(コメント)

小飼:Wikiではなく、Wikipediaね、ツッコむよ、そこは。

山路:そうですよね、Wikiという仕組みの応用の1つがWikipedia。

GOROman:僕もよくわからなかったんですが、この前、GDCのMicrosoftセミナーに出て、ようやくピンときました。
 今のARは、スマホをかざして使うというイメージが付きすぎちゃったじゃないですか。例えば、ピザ買ってきて、箱に書かれたコードをスマホアプリで読み取ると、何かのキャラが出てくるとか。箱根に『エヴァンゲリオン』が出現するとか。だから、MRという言葉をマーケティング的につけざるを得なかったのかなと、勝手に結構思っています。
 ARは、単に視界にオーギュメントするというイメージが強い。

小飼:足す。

GOROman:そう、足す。Mixed Reality、MRの方は、空間をスキャンなりして取り込んで、そこに机などのデータを加味する。GDCでの解説を聞いてピンときました。MR自体は、キヤノンのMREALなど、いろいろな人や企業が手がけて前からあるんですけど、どれも定義がみんな違ったりしてこんがらがっていました。MSの考えるMRというのは、HoloLensみたいなシステムなんだなということがよくわかりました。

VRデバイスはどう進化する?

「VRを買ってみたいのですが、どれも高くて敷居が高いです。これ買っておけば、5年はいけるぜという機種はどれでしょうか?」(コメント)

小飼:5年もつものは。

山路:あるかな?

小飼:5年生き残るIT製品って、パソコンだったらアップルIIとか、PC-98とか、そういうレベルになっちゃいますね。

「日本字人ならPSVRでいいんじゃない」(コメント)

GOROman:5年経ったら、全然違うでしょうね。規格や出ているデバイスも。僕がVRを始めたのは2012年で、今17年ですから、ちょうど5年経ったんですけど。

小飼:5年後も今のガジェット使えていたとしたら、それこそVRの悲劇ですよ。

GOROman:そうですよ、進歩してないってことですもん。むしろ指数関数的に変わってくるんじゃないですか。

小飼:もし、本当にVRがくるー!となったら、半年ごとに新モデルが出るという感じになるはず。

GOROman:実際にMicrosoftも参入しましたし、Microsoftの企画に準拠して、ASUS(エイスース)とかAcer(エイサー)とかHP(ヒューレット・パッカード)も製品を出すよと言っているし。昔のMSXみたいにいろんな会社がVRに参入してきたので、これはいい傾向だなと思っています。僕がOculus Riftに出会った時は、Oculus社しかなかったので。今は、HTC VIVEもあるし、PSVRもあるし、Googleもやっているし。いろんな会社がVRやMRに参入してきた。

小飼:Appleがしれっと出して、その後さらに3年待てば、5年くらい保つプロダクトが出て来るんじゃないかな?(笑)

GOROman:(Appleは)今のところ静かですね。

山路:個々のデバイスに関しては、5年保つものはないと思うんですけども、今後競争でポイントになってくるのはどういうところでしょう? 例えば、HMDの規格は統一されるかどうかとか。

GOROman:それは、いま作っていますよね。OpenXRというVRデバイスの規格も出てきました。昔、音楽はMIDI(ミディ)という規格が出来る前は本当にひどくて。VRも今それと似た状態だと思います。

山路:VRのヘッドマウントディスプレイって、いろんな投射方式あるじゃないですか。ああいうのは、まだ新しいものがどんどん出てきそうな気がします。

GOROman:出るんじゃないですかね。いろいろ研究されていますし、海外のエキスポでも、やっぱりいろんな方式が出品されていますからね。面白いです。

山路:いろんな方式とかがどんどん出てくると、ソフトウェア側の対応はどうなるんでしょう? 方式の違いはソフトウェア側で吸収できる?

GOROman:これは良い面と悪い面があって、規格化しちゃうと、ぶっとんだことがやりにくくなるんですよね。例えば、グラフィックに関してはOpenGLとかの規格があり、そこに入ると他と足並みそろえるから出し抜けなくなるわけですよ。今はどこもかしこも「Bダッシュ」(※)してもいい時期かなと、個人的には思っています。

(※)ゲームによっては、Bボタンを押しながら移動すると高速に移動できる。ここでは、人を出し抜くといった意味で使っている。

小飼:勝手に流行らしておいてから、押し付けるのが一番いいんですよ。

GOROman:ある程度一般化する前にはちゃんと規格を作らないと、デベロッパーは苦労しますよね。僕は開発をしていたからわかるんですけど、例えば、A、B、Cとヘッドセットを買ったら全部規格が違うわけですよ。今は幸いUnityとかあって、ハードウェアの違いはある程度はそこが吸収してくれますけどね。

小飼:うまくいくものというのは、きっちりさをある程度捨てなければいけない。きっちりさを求めて、大失敗したのが、HTML。HTMLは、いかにvalid(バリッド)にするか、XML準拠にするかを目指していましたが、HTML5でそういうきっちりさを全部ばっと捨てたでしょ。それからやっとまた使い物になった。

GOROman:そういうの多いですよね。IPv6とか。結局いろんな識者が集まって、意見を出し合うと、あれもこれも盛りだくさんの全部盛りラーメンみたいになって、結果的に誰も使わなくなるっていう。

小飼:その一方で、NATでいいじゃんということになっていて、悲しいよな。

GOROman:そうです、結局、NAT最強説。

山路:GoogleはDayDream(デイドリーム)というHMDの規格を出していますね。あれもスマホのパワーが上がってきたら、メジャーになるかも。

GOROman:僕、買ってきましたよ、DayDream。でも対応スマホのPixelが売ってなくて。DayDreamだけを買ってきたんですよ。

山路:じゃあ全然使えないじゃないですか!

GOROman:前に見させてもらった時にDayDreamの出来がすごくよくて。DayDream対応スマホはクアルコムのチップを積んじゃっているんですよ。VRに必要な処理をスマホのチップで行うようになれば、もうみなさんのお使いのスマホがVR対応しちゃう。

山路:そこまでのハイパワーなCPUがすべてのスマホに乗ってくるんでしょうか?

GOROman:DayDreamでは、ハイパワーというより、VR特化の処理、例えばVRセンサーとかのサンプリングレートを上げるとか、ユーザーが頭を動かした時の遅延を失くすとか、そういうことを専用チップがやってくれる。ハイエンドとかフルパワーでVRを実現するというより、開発者が楽できるシステムですね。そのうち全部のスマホに載ってもおかしくないですよ。

小飼:載せられるとわかったら、ガッツンガッツン作れるから。

GOROman:クアルコムはもうサポートしているので、恐らく次の世代のSnapdragon搭載スマホを買うと、もれなくVR機能が入っちゃっているんですよ。すべてのスマホで、VRがカジュアルにできるようになるんじゃないですかね。

小飼:ただ、カジュアルにやるのと、カジュアルにできるのとやるのとは違うからね。

山路:処理能力的には、まだパソコンのVRでもそんなに完全に十分とは言い切れないじゃないですか。スマホでそういうのをやるのって、まだ結構荷が重いんじゃ。

GOROman:どういうコンテンツを楽しむかによりますよ。例えばYouTubeみたいな映像をVRでみるとか、シアターモードで見るみたいなものには、充分適しています。めちゃくちゃポリゴンの多いものをやるのは、難しいですけど。

小飼:今時のスマホとPCは、基板レベルではほとんど違いません。

GOROman:ノードパソコンの中身は、ほとんどバッテリーですから。

山路:駆動時間の長いスマホみたいな。

小飼:外のガワが違うだけ。今や、進歩の最先端を走っているのは、スマホの方であって、そのおこぼれをPCが貰っている。

山路:光学部分に関してはいかがですか? 普通のメガネくらいの違和感のないところまで、落とし込んで来られるそうでしょうか?

GOROman:僕がFacebookのOculusにいた頃、彼らはメガネにするって言っていました。何億という人間がVRの中でコミュニケーションできるように、10年20年の投資を惜しまないと言ってスタートしていましたけどね。

小飼:それが本当にメガネの形になるかどうかというのは、たぶん製品が出て初めてわかるんでしょうね。

山路:それこそ眼に装着するんじゃなくて、『ソードアート・オンライン』の映画みたいに首に巻く機器とか。

小飼:現状がこうだから次はこうっていう考えのままでいたら、iPhoneにはならなかったんだよね。

GOROman:そうですね。ちょっとぶっとんだ発想が必要だと思います。

小飼:今だったらみんな、iPhoneが正解だって知っているけど、それは出るまで気がつかなかった。

GOROman:iPhoneのタッチパネルは、爪で押せないから女子には売れないとか言われていましたよね。こんなものをOLが買うわけがないって、叩かれたわけで。ふたを開けたら、全員使っているじゃないですか? 関係ないですよね。きっと。だから今までの常識を一回バーッと壁に叩きつけてぶっ壊して、ヘッドセットとかも一回ぶっ壊して、ぶっ壊したらなんか出て来るんじゃないですか

小飼:今のところVRといえば、メガネだというのが常識ですが、でも、常識のままでは売れないというのも、これまた常識なので。でも、確かにHoloLensは、僕も欲しくなりました。まだ重たいし、僕はメガネっ子なので、ちょっとプロジェクション部分と距離を取らなくちゃいけなくてその分視野が狭くなっちゃうんですけど、それでも欲しい。けれど、これをたくさんの人に欲しがらせる方法はどういうものだろう?
 どうして今みんながiPhone、というかディスプレイしかない形のスマホを選んだのかといったら、やっぱりドヤ顔で見せびらかす人たちが街中に溢れたからなんですよ。でも今のところは、HoloLensを着けて電車に乗っている人っていうのは、まだまだごくごく少ないですよね。

山路:GOROmanさんだけかも?

GOROman:結構いますよ。

山路:本当ですか?!

GOROman:HoloLensを着けてカラオケやスナックみたいなところに行くと、みんな「何これ?」と聞いてくるから、すぐ全員と仲良くなれてすごく面白いです。

「GOROmanさん、こんにちわ。私の兄が、PSVRにハマっているのですが、1人で楽しそうなんですが、傍から見ていると、気恥ずかしくなってしまいます。みんなで遊べるVRシステムってあるんでしょうか?」

GOROman:ありますよ。PSVRのPlayRoomVRに非対称VRのゲームがあります。VRのヘッドセットを被った人と、モニター側とで役割分担して遊べるんですが、あれはすごく面白いですね。

HoloLensを被って未来を体感する

山路:さっきHoloLensを少しだけ被らせていただいんたんですけども、来てますね。未来が。

GOROman:みなさんHoloLensが高いっていうんですけど、僕はこれは宇宙人テクノロジーみたいな感じがしていて。

 

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