あけましておめでとうございます! 本年も「小飼弾の論弾」では、社会問題から科学、IT、書評まで、四方八方に語り散らかしていきますので、ごひいきのほどを。 さて、今回は昨年11月21日(月)に行われた、マンガ家 鈴木みそさんとの対談、その3をお届けします。動画も合わせてぜひご覧ください。

次回のニコ生配信は、1月9日(月)20:00。前半はニコ生公式放送「ニコ論壇時評」として、旬のニュースを斬っていきます。

■2016/11/21配信のハイライト(その3)

  • コンテンツこそトレーサビリティが必要だ
  • 視聴者からの質問「年を取ると創造性は下がる?」
  • 視聴者からの質問「クリエイティビティはフリーランスで磨かれる?」
  • これからは絵が描けなくてもマンガ家になれる?
  • マンガがグローバル化するための課題は?
  • 視聴者からの質問「今の中高生は、AIよりも読解力がない?」
  • Kindle Unlimitedでどれくらい儲かるか?

コンテンツこそトレーサビリティが必要だ

(その2より)
―――え、大統領選にも影響する!?

鈴木:そこにも影響が(笑)。

小飼:米大統領選では、嘘ニュースを本当だと信じていた人が、ものすごくたくさんいたんですよ。

鈴木:あぁー、なるほど。

小飼:だけどオリジナルのパーマリンクを表示できる仕組みがあれば、すぐにガセだとわかったわけじゃないですか。

―――今でもTwitterの検索などを駆使すれば、ある程度デマかどうかの検証はできなくもないですけど、たいていの人にとっては敷居の高いことですもんね。

小飼:食べ物の世界ではトレーサビリティという言葉がありますけど、これは情報の世界でこそ重要な概念ですよ。

―――「投げ銭システム」とか「コンテンツの収入を元の権利者に」といったことは、ずっと昔から言われていましたが、みんな「そんなシステム、どうやって実現するんだ」と思っていた。だけど、もうすでに世界平和への入り口が見えてるのかもしれない。

小飼:そう。パクリがパクリだとわかればね。

鈴木:そのためにはすごく強力な全文検索が必要になるのでは。

小飼:それだけでは充分じゃなくて、類似検索までできて初めてPPAPがパクられていないことがわかる。

―――そっちの方向に技術の進化を向ければいいとわかっただけでも、21世紀は明るくなるかもしれません。

小飼:明るい側面だけど、みんながもう少し早くその考えに辿り着いてほしかった。

鈴木:こうなってくれば、オリジナルの創作物を生み出すインセンティブが強くなりそうです。

小飼:それもありますが、二次創作する人たちが罪の意識を負わなくてもいいというのも、重要なことですよ。

鈴木:うん。自由に物を作れるようになる。

―――まとめサイトとか、バイラルメディアはどうなるんでしょう?

小飼:だからそういうサービスも堂々とでいるんですよ。

―――言ってみたら、そういうサービスをしている人は、利益を独り占めしたいわけじゃないですか。

鈴木:コピペして物を作ってしまったら、パクリ。オリジナルへのリンクを貼ってパクリじゃないというのが、ルールになればいいんですよ。

小飼:かつては、それを著作権法というルールでやろうとした。要するに、棒で叩いてルールを守らせようとしたんだけど、そこを自動化しちゃえばいい。