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小飼弾の論弾 #25「ゲスト対談:マンガ家 鈴木みそ氏(その2):コンテンツの未来は、PPAPにあり?」

2016/12/23 07:00 投稿

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「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。11月21日(月)に行われた、マンガ家 鈴木みそさんとの対談、その2をお届けします。動画も合わせてぜひご覧ください。

次回のニコ生配信は、1月9日(月)20:00。前半はニコ生公式放送「ニコ論壇時評」として、旬のニュースを斬っていきます。

それではみなさん、よいお年を! 来年もどうぞよろしくお願いいたします。

■2016/11/21配信のハイライト(その2)

  • どうすれば自分でマンガを出版できる?
  • マンガ家もコアなファン向けサロンを開くべき?
  • クラウドファンディングを活用して、マンガを描く
  • 結局、電子書籍でどれくらい儲かる?
  • ネットでバズると、マンガの売上に直結する
  • Amazonの支配をどう見るか?
  • 違法コピーを恐れても意味がない
  • Kindle Unlimitedからの収益は嬉しい誤算
  • みんなが幸せになる、電子出版の未来が見えてきた!

どうすれば自分でマンガを出版できる?

(その1より)

―――みそさんは、どういう交渉をしたんですか?

鈴木:「日本に住んでも先がないので、海外に行きます」と言いました。

―――日本にいるじゃないですか(笑)。

鈴木:いや、当時はタイに行って暮らす予定だったんですよ(笑)。だから、「このままケンカ別れしてもいいや」と。「昔出していた作品も、これから先は重版もかからないし。僕が電子化するので全部ください」と。

―――そこまで言ったからこそ出版社も考えてくれたと。

鈴木:そうそうそう。そのやり取りも、いろいろマンガに描いたりしました。その後、出版社の人に「新人が『紙の単行本は出すけども、電子版は私が出したい』って言ったらどうしますか?」って聞いたら、「そんな新人は出さない」って。

―――そりゃそうだよなぁ……。

鈴木:ということは、もう出版社から本を出したらダメなんですよ。最初から、出版社じゃないところから出さないと。

―――今までのマンガ家の登竜門とは、違うルートを選ばないといけない?

鈴木:そうです。もうこれから、どんどんやって行くんじゃないですかね。電子から来た人たちは、電子で販売するでしょう。

―――それこそブログなりTwitterなりを使って、自分でマンガを出しちゃうとか?

鈴木:はい。ただ問題は、新しいウェブ上の媒体です。IT関係の企業がやっている新しいウェブマンガはみんな銭に関して渋いんですよ。

小飼:あぁ、それは聞きますね。

鈴木:昔からの出版社は、マンガ家を育てるためのノウハウをたくさん持っています。うまいものを食わせるだとかして、お金をつぎ込んでくれます。「このページを描くには、最低限このぐらいの原稿料は払わないといけない」という常識があるんです。  だけど、IT系の会社はそんなことにはまったく関係がない。「1ページ数千円」という原稿料を平気で出してくるわけですよ。

―――本当ですか!

鈴木:それで食えるわけないじゃん!」って。アマチュアのマンガ家を前提にしているから、プロはそこではとても描けないですね。

小飼:雑誌に投稿をして図書券がもらうとか、そういうレベルですね。

鈴木:あ、近いですね。新人賞10万円とか。

―――そうか。ウェブマンガは雑誌というより、昔でいう投稿欄なんですね。

鈴木:そうですそうです。単行本になった時のパーセンテージも提示されますが、これも渋くて。僕は「えっ!?マジで!?」って聞き直しましたよ。

マンガ家もコアなファン向けサロンを開くべき?

―――どんどん専業のマンガ家になるのが難しくなっているということですよね。

鈴木:40代50代のプロが集まると、とてもあの値段ではできないという話になります。じゃあ若い人はどうしてるのかというと、別の仕事をしながらマンガを描いて、ドーンと当たれば本業にする。こういうパターンでプロになっていくんじゃないですかね。

―――音楽の世界でも、音楽だけで食えている人はそんなにいないといいますしね。

小飼:今はライブで食っているという。でも演奏をしなかったのに、お金を取っちゃったりしますからね。

鈴木:あったあった(笑)。

小飼:最初は「返金いたしかねます」って言ってたのに、結局、返すことになったからね。

鈴木:音楽はライブがありますが、マンガ家のライブは何かという話をこの間ホリエモンとしました。彼は「サロンをやればいいじゃないか」って。僕は「面白い話だな」と思って聞いていました。  マンガって、凄いファンも、そうでない人も、全員同じ金額しか払わないでしょう?  そうではなく、たくさんの人にタダで読んでもらって、一部のファンにもうちょっと高い本やグッズを買ってもらって、一番熱心なファンには秘密のサロンを用意する。どれくらい大きなピラミッドを自分が作れるかということなのかと。  知られていない裾野が小さいから、サロンをやっても2人くらいしか来ないかもしれない。

小飼:サロン会員が数百人いれば充分に食えます。 

―――岡田斗司夫さんは、昔からそういうサロンをかなり早い段階で提唱されてましたね。

鈴木:堀江さんのサロンは、岡田さんのアイデアが元になっています。有料メルマガ会員は今2万人いるらしいです。だからメルマガで2億円。それでサロンが1億円。何もしなくても年収3億が確定しています。

小飼:でも、堀江さんは何もしないわけじゃないんですよ。そこを勘違いしちゃいけない。あれはあれで、大変ですよ。

鈴木:そう。全部、本人が行ってやらなきゃいけないんで。

小飼:むしろサボれない。堀江さんにしてみたら、3億円なんてたいした金額じゃないですよ。その程度で、よくあれだけ動いてくれるなと。

鈴木:そうなんですよ。だから、彼のサロンにはお得感があるような気がする。

―――だけどマンガ家さんがサロンを作った場合、それはもう「マンガを売る」のではなくなりますよね。

鈴木:そこでどのようにやるかといったら、1つの方法はマンガの描き方をこってり教える。あとはスタッフとして雇ってしまう。参加費を取ってマンガのアシスタントをさせてしまう。「その代わり技術を教えます」と言って、編集者や他のスタッフも全部集めて、ごった煮状態にしてドンドン技術を磨いていきましょう、そして新作を一緒に作っていきましょうと。そういう形でやれば、できるんじゃないかな。  堀江さんのサロンに参加していた若い人の1人が、何人くらいファンがいれば実現可能か試算してくれました。20、30人のサロン会員がいたら、作品を作ることはできそうです。  でも、「オレはなぁ」って、二の足を踏むところがありますね。

―――本人がクリエイター寄りなのか、サロンの運営の方に興味があるのかってところで、ちょっと違うのかもしれないですよね。

鈴木:僕はまだクリエイターに足を半分以上突っ込んでいるんで。

―――マンガ家の赤松健さんは運営側ですね。

小飼:あのレベルになると、プロデューサーですよ。

鈴木:赤松さんは大きな仕組みを作っていて、自分は週刊連載をしながら、もう一つプロデューサーとしてマンガに関わり、自腹で5人くらいスタッフを雇って会社を運営してますから。規模が違いますね。

小飼:アレは本当に経営の才能があるから出来る事ですよね。

鈴木:素晴らしいですよ。

―――でもサロンをやろうとしたら、ベースとなるようなファン層と、さらにコアなファンを集めることが必要になってきますよね。

鈴木:そうです。僕もメルマガを持っているんですけど、最近息切れしちゃってる。毎週ずーっとやってたのが、今は一ヵ月半ぐらい何も言わずに休んでるんです。「あぁ、疲れちゃった」って。

―――怒られないんですか(笑)。

鈴木:いろんなことで疲れちゃった。やらないといけない仕事が山積みになるんですよ。これまた個人でやる怖いところで。連載だと毎回確実に締め切りが来ますが、自分が「ここでいい」と思ってしまったら、その日には上がらないじゃないですか。

小飼:僕も「この配信をやりませんか?」とお声がけいただいて、「やろう」と言った一番の理由は、締め切りが欲しかったからです。

鈴木:分かります(笑)。

小飼:締め切りってキツイと思うじゃないですか。でも締め切りがないのは、もっとキツイんですね。

―――分かります(笑)。

鈴木:締め切りって大事なんですよ。ないとズルズル後ろに行くわ、行くほど辛くなるわ。

小飼:かといって、マンガだと先に作り貯めできないものも多いでしょう。「新鮮なネタを入れたい」と思うと、完成版は本当に締め切りギリギリにしたくなる。

鈴木:そうなんですよ。ギャグも、鮮度が高い、新しい方がいいわけですから。

―――分かるけど、辛いですよね(笑)。追い込みの時とか「なんでもっと仕事を細かく分解して、早い段階からできなかったのか!」と後悔します。

鈴木:僕もこの夏から朝の4時30分に起きて、午前中のうちに仕事を終わらせてしまおうとしました。早起きを1ヵ月半くらいやって、ものすごく疲れたんです。  どんどん自分がダメ人間化していく感じがして「あぁ、いろんな人に申し訳ない」って謝っているうちに「ええい!飲みに行っちゃえ!」みたいな感じになるわけですよ(笑)。これが個人の怖いところだよ。

クラウドファンディングを活用して、マンガを描く

―――みそさんは最近だとクラウドファンディングでプロジェクトをされたりしていますね。

鈴木:あれもさっき言ったピラミッドによく似た話なんです。出資額の違うコースがあって、一番安いコースは全部の作品が読める、その上のコースだとサインが付きますよとか、マンガに出る権利を付けますよとか。5人ほどマンガの中に登場してもらいました。単行本化した時に収益を分配するんですが、その単行本の描き足しが進んでないんですよ。本来ならもう出てるはずなんですけど(笑)。

―――そんな中、こんなイベントに呼んでしまって申し訳ありません。

鈴木:でも、今年中には絶対に出しますから。『内定ゲーム』は面白いですから、ぜひ買ってください(笑)。

小飼:クラウドファンディングは1を10にするのはとてもうまく行くんだけど、0を1にする段階だと出資する方も怖い。

鈴木:そうですね。マンガでクラウドファンディングに向くのは続編ですよ。

小飼:最近のクラウドファンディングの一番の成功例といえば、『この世界の片隅に』ですよね。  あれはまずもって、原作が素晴らしかった。その原作に惚れ込んだ監督が、「これはもうアニメとして動かしたい」と言って、自分ができることを散々やった後で、クラウドファンディングをしたんですよね。僕が気がついた時には募集が終わっていて、あれは悔しかったな(笑)。

―――私も映画の最後に流れるクラウドファンディング出資者のリストを見て「出資すれば良かった!」って思いましたよ。

鈴木:僕もすごく迷ったんですが、「まだ原作を読んでないからなぁ」って思っているうちに終わっちゃってた。クレジットに名前が出たらカッコ良かったですね。

―――片渕監督のインタビューを読んだんですけども「一時期、貯金が4万円にまでなった」そうです。

小飼:それで一家4人でしたっけ? なんで21世紀にもなって実生活で北條すずさんの生活を追ってるんですかと(笑)。

―――作り手のほうも凄い話ですよね。

小飼:そこまでやれば、本当にもういろんな人の冥利に尽きるというのは分かるんですけども、でも「一般論として応用できる話なのかな?」とも思います。

鈴木:崖っぷちだからこそ、そういうことができるということはあります。僕も電子化を始める前、銀行の残高は100万円を切ってましたから。家族4人で。

―――怖い……。

 

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