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【第22回】政治家に訊く:近藤洋介

2009/12/25 17:43 投稿

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───────【基本情報】───────

名前:近藤洋介(こんどう・ようすけ)
政党:民主党
選挙区:山形2区
生年月日:1965年5月19日
血液型:B型
趣味:乱読(父、近藤鉄雄氏と同じでした)
座右の銘:冷静な頭と熱き心
好きな食べ物:ラーメン
お気に入りの店:ブルックス・ブラザーズ
ホームページ:http://www.kondo21.com/

───────【質問事項】───────

─新聞社に入社するときにはすでに政治家を志していたのですか?

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 政治家になりたいと思ったのは17歳の高校2年の時だったと思います。親父から政治家になれと言われたことは一度もありません。政治家の家はどの家も同じだと思いますが、いわゆる母子家庭で父親と接触がありません。家族そろって食事をするのは年に3回あるかないかぐらいでした。そういう意味ではあまり父とコミュニケーションを取ることはありませんでした。
 高校の時に「竜馬が行く」を読みました。とても面白く「坂本竜馬みたいな生き方がいいな」と、要するに前のめりになって国をつくる、血湧き肉躍る生き方をしたいなと思いました。
 竜馬だけでなく、桂、大久保、西郷、岩崎、それぞれの面々が生き生きと国をつくろうと立ち上がりますが、ああいう生き様はいいな、国をつくる仕事は色々な職業がありますが、政治家は間違いなくその一つだと思い、高校ぐらいの時に政治家になりたいと思いました。
 政治家をやるための修行の場所はどこがあるかなと思った時、政治家の秘書、官僚とありますが、官僚になるほど勉強が好きではなかったですし、身体を動かす方がいいなと思っていました。高校の時から政治家の伝記を読んでいて、チャーチル元英首相とジョン・F・ケネディ元米大統領が格好いいなと単純に思うわけです。その2人の共通項は、スタートがジャーナリストということです。チャーチルはピューリッツァー賞を受賞していますし、ジョン・F・ケネディも最初はジャーナリズムの世界に入っています。勉強するのにはいい道だろうと思い、新聞記者を選びました。そういう意味では動機不純な新聞記者でした。
 結構単純な性格で、いいなと思うと「これで行こう」と進んでしまいます。

─今考えて新聞記者でよかったなと思うことはありますか?

 新聞社入ったときは3日で辞めようと思いました。大体名刺しか置いていなくて、あとは勝手にしろという世界です。3ヶ月経ってまた辞めたいなと思いましたが、3年目続けたあたりからは楽しくてしょうがなくて、政治家になることをしばらく忘れてそれに没頭していました。もう一度生まれ変わったらまたやりたいと思う職業です。政治家は息子に勧めようと思いませんが、新聞記者はやってみろと言いたいですね。もちろんつらいですけど。

─新聞社を辞めて政治家へと転身されました

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 新聞記者になって8年目から日銀クラブにいました。「馬鹿な役人」「銀行経営者はアホだ」とバブル崩壊の時に銀行についていろいろ書きましたが、書いてる新聞記者もとんでもなくて、借り手責任、貸し手責任とありましたが書き手責任について新聞社は誰も責任を問われていません。さんざんバブルを作り出した過程で日経新聞始め新聞各社がどういう働きをしたか、あおるだけあおっておとしめているわけです。マスコミも悪かったのです。だけど一番悪かったのは責任を取らずになあなあでごまかし続けてきた政治家です。
 それに気づいた時に、もともと政治家やりたかったんだから新聞記者も楽しいけどやっぱり政治家をやろうと思いました。

─取材"する"側から"される"側になって、メディアの見方に変化はありましたか?

 いや、変わらないです。ただし、こう言ったら怒られるかもしれませんが、取材するメディアの方が楽ですよね。される方はつらいですよ。いい世の中を作るためにはまっとうなジャーナリズムがなければいけませんから、新聞社なりテレビには頑張ってもらいたいと思います。出身母体なので経営なりの問題はわかりますが、できるだけまっとうなジャーナリズムが根付いてほしいなという気持ちは人一倍持っています。それだけに新聞に対しては厳しい見方をします。

─愛読紙はありますか?

 一応日経新聞です(笑)、ウソでも言わなきゃ。真面目な話をすると、私は活字人間なので新聞社を辞めてからもずっと主要5紙(日経、読売、朝日、毎日、産経)については目を通します。文藝春秋、たまに世界、スポーツ紙や週刊誌も一通り読みます。
 週刊誌のリードはとても勉強になります。政治家はコミュニケーションが大切ですが、リードからキャッチフレーズを学ぶことがあります。趣味だけでなく実益を兼ねた活字人間です。

─キャッチフレーズといえば「政権交代」について、2009年の総選挙とこれまでの選挙では雰囲気に違いはありましたか?

 結論的に言うと、小泉選挙を全く逆側から見たということだと思います。僕らはまっとうにメッセージを打ち出したし、やっぱり大きな風が吹いたことは間違いないです。

─政権交代の意義についてどうお考えですか?

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 私は経済をフィールドにしていますが、バブル崩壊が1990年初頭と考えるとこの「失われた20年」の間、ずっと日本の経済は停滞しています。それがなぜかというと、政治にリーダーシップがなかったからだと結論づけられます。なぜ政治にリーダーシップがないかというと、まっとうに国民が選挙を通じて政権を選んでいなかったからです。鳩山首相が献金問題で色々言われていますが、少なくとも民主党政権は有権者の方々が一票一票で選択した政権です。しかもそれが戦後初めてのことです。だからリーダーシップを発揮しようと思えば十分できる政権です。こういう経済を立て直す意味でも政治のリーダーシップを発揮できるチャンスだと思っています。発揮できれば政権交代の意味はあったと思います。

─ホームページでは「山形を新しい日本のモデルに」と言われていますが、地元の山形から発する"地域主権"を聞かせて下さい

 山形県を含む東北地方は"道の奥(みちのおく)"が音変化して"陸奥(みちのく)"と呼ばれています。未開の地でありニューフロンティアです。例えば地球温暖化対策について、自然を壊し続けて近代都市を造って本当に人は幸せなのだろうか、という「成長の限界」をみんなが思っていると感じています。自然をうまく使いながら生きていく社会というのは東北地方に限るわけではありませんがまだまだたくさんあって、新しい21世紀型の生活モデルを提案できるのではないかと思います。
 エネルギーも太陽や風力やバイオマスといった再生可能なエネルギーをうまく使ったり、食べ物にしたって安全な食べ物、やはり人間は健康で長生きしたいというのが共通の目標じゃないでしょうか。そういうものを追及する一つの理想郷にできるのではないかと思います。東京はもう開発し尽くされています。

─経済産業省としては成長を引っ張ってきた東京がその状態では頭が痛いですね

 2つ意味があって、もちろん東京が引っ張って行かなきゃいけないということはあるでしょう。ただし幸せな国というと、イギリスでは歳をとれば郊外に住んでいますし、何も都市のど真ん中で生活することがいい人生ではありません。フランスも同様にパリはすごい大都市ですが、田舎町はすごくきれいで本当に豊かな生活をしています。米国ですらニューヨークだけでなく、それぞれ他の地域も特徴を持って立っています。強い国はそういうものだと思います。東京は継続して引っ張り続ける部分はありますが、その限界も見えているんじゃないでしょうか。

─何故民主党なのか、あなたが考える自民党と民主党の違いを教えてください。(投稿者: 日の出 | 2009年12月23日 15:16)

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 単純ですが、一つは民主党の方が面白そうだったからです。大組織にいたって活躍はできないじゃないですか、当時の"大"自民党に入ったって。ましては私は2代目で、「ああ、近藤鉄雄の息子だ、たかがしれてるな」と思われちゃいます。
 私が入った10年前当時の民主党はベンチャー企業とまでは言いませんが田舎に帰ればバカにされ、「自民党にあらずんば人にあらず」という世界でした。ただ民主党の方が活躍する場所があると信じて入りました。情けない理由ですが、民主党の方が活躍できそうだ、面白そうだということです。
 2点目ですが、「政治って何だ」と考えたときに政治は結局現状を変えることです。もちろん政治家の役割と問われれば、国民の命と財産を守ることもありますが、政治というものの本質的は何かというと現状を変えることです。行政は基本的に現状を続け、踏襲することです。ルールを守るのが役人の仕事です。役人がルールを変えたらたまったもんじゃありません。すなわち変えない、執行することです。政治家が本当に楽しい政治をしようとすれば、変える方の政治に立った方が面白いでしょう。そう思って民主党に入りました。自民党だと「今まで通り変えられません」というのが本質的にあるのかなという気がします。民主党に入って1回落選し、5年浪人、今は議員生活7年目に入りますが、少なくとも当選3回生で今のポジションを考えたときには民主党でよかったと思います。政務官なんて自民党時代には盲腸と言われていて、何の役にも立たないし騒げば切るというものでした。自民党時代の政務官はただ会合にでて用意された原稿を読んで終わりという宴会要員でした。民主党の政務官は、役人と議論し、政策を作り込み、成長戦略原案を自分で書き、交渉するということをする...明らかに以前とは違うと思いますね。今日もこの後官邸に行って鳩山首相にレクチャーしますが、政務官が首相に政策を提言したり官房長官とやりあったりします。自民党時代にはあり得なかったことです。色々と世の中には批判があるかもしれませんが、少なくとも今は政治を変える立場を預かっていて、自民党時代と違ってよかったと思います。

─お父さんを取材している時に近藤政務官から電話が入ったようなのですが、どういう気分の時に連絡をとるのですか?

 連絡をとるのは2週間に1回ぐらいですが、政策についての意見を聞くことが多いです。私は政府の新しい経済ビジョンを作ろうという仕事をしているのですが「こんなイメージどうですかね」と聞いたり、キャッチな言葉が欲しい、頭を整理したいなという時にも話をしますね。自分のブレーンというと怒られてしまうかもしれませんが、彼も経済企画庁長官でしたし見識を持った方ですし、今も勉強好きで相当本を読んでますから。本を推薦してもらうこともあります。

───────【こだわり】───────

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 文字「寅さん」もいいんですけど(取材中に鳴った携帯電話のメロディが「男はつらいよ」のテーマソングと発覚)...と取り出したのは文字「MONTBLANC(モンブラン)」社製の万年筆でした。
 
 近藤政務官は新聞社時代に鉛筆で原稿を書いていた最後の世代だそうです。ペンへのあこがれがずっとあり退職時に購入して以来12年間愛用しているそうです。

 「新聞記者への未練かもしれませんね」...とこだわりを話してくれました。

───────【アイテム】───────

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