27日の臨時閣議で、地方の人口減少に歯止めをかける「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を決定。前日には総額3兆5000億円の経済対策と地方創生総合戦略をまとめた。
マスコミの反応は、全国紙と地方紙で視点が違う。
読売新聞は28日の社説で、「甘い審査体制で、地方から要望されるまま、交付金を支給するような事態を招いてはならない」と地方自治体へのバラマキを警戒する。
日本経済新聞は、「農業でも商業でもそれぞれの地方には様々な既得権が巣くっている。そこから見直して新陳代謝を促さないと地方経済の立て直しは難しい」と、まるで落ちこぼれた地方を指導するような“上から目線”を相変わらず投げつける。
一方、地方紙は中央の動きに手厳しい。京都新聞は、新設される交付金について、「自治体の事情に合わせ『自由に使える』触れ込みだったが、実際はそうならない」と指摘。地方創生についても「中身は、従来型の中央主導、景気てこ入れの域を出ず、実効性は未知数と言わざるを得ない」という。
この中央と地方で感じられるギャップはいったい何なのか。
「地方創生」なのに権限は中央に?
今回の経済対策では、地方自治体の施策を国が支援する総額4200億円規模の新たな交付金の創設が柱となる。具体的な対策をつくった自治体などに交付金を配るという。
使い道を縛らないとはいうものの、地方自治体からの事業提案を政府が審査し、政府が支給の是非を判断する。「地方創生」とは名ばかりで、あくまでも主役は中央といえる。
地方創生で思い起こすのは、1988年の竹下内閣時代、全国の地方自治体に一律1億円を配った「ふるさと創生一億円事業」だ。キャバレーをつくるような自治体がテレビなどのマスコミで何度もとりあげられ、バラマキと批判された。
それに対し、「いまやらないといけないのは、『ふるさと創生1億円』のようなこと」 という声もある。「『無駄遣いに終わった』と批判されましたが、実際は、自治体の職員がこの金をどう使うかということで、初めて自分たちの頭で使い道を考えました。前と同じように1億円を無条件に配ることはできないけど、それに近いやり方を考えないといけない」(官邸関係者)と中央集権的な地方創生を疑問視する指摘もある。
では今後、中央にすりよらずに地域の特徴を活かすためには、何を重視したプランづくりが必要になってくるのだろうか。(その2「「消滅可能性自治体」より緻密な実態把握から」に続く)
【関連記事】
■中央集権型の「地方創生」に未来はない(2)─「消滅可能性自治体」より緻密な実態把握から(2)
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar697924
■ほんとうの「地方創生」とはなにか 地域の総力で田園回帰時代をひらく(農文協/ 2015年1月)
http://www.ruralnet.or.jp/syutyo/2015/201501.htm
■「1%の『田園回帰』」と「100%の『伝統回帰』」(農文協/2014年10月)
http://www.ruralnet.or.jp/syutyo/2014/201410.htm
■宮城県、地方創生で独自色 若手選抜、研究制度創設(河北新報/2014年12月30日)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141230_11006.html
■「地方創生法案」国民的議論を 格差是正の視点欠落 明治大学教授 小田切徳美 (日本農業新聞/2014年10月27日)
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30456
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