食と教育と結びつける「食育」について、結城登美雄さんはどのように感じたでしょうか。7年前のものなので少し「時代」を感じる方もいるかもしれませんが、国と地方の違いや、生産現場からの「食育」のとらえかたなど、色あせないコンテクスト、文脈があります。4部にわたって掲載します(<その1>のみ無料)。
結城登美雄の食の歳時記<食育編・その1>
本屋さんに行くと食育の本がずいぶんたくさん並んでいるなと感じます。ちなみに県立図書館に行ってパソコンで食育の本を検索したらなんと48点も(2013年には200件以上)でてきました。そのほとんどがこの3、4年のうち(2006年時点)に刊行されたものでした。多くが児童図書でしたが、食育コーディネーター、食育フェア、食育を頭にかぶせたいろいろな言葉があちこちで聞かれるようになっています。食育に関する仕事やイベントも盛んです。これからどんどん広がっていく予感がします。
食育ブーム。この背景はどこにあるのだろうと考えたときに、どうしても2005年の6月に国会で成立に試行された「食育基本法」という法律の影響が大きいのかなと思います。この法律の条文を取り寄せて読んでみたんですが、いろいろなことが書いてありました。そこにはたくさんの関係者の責務というのがありました。国や地方公共団体の責務はもちろん、教育関係者の責務についても述べられています。農林漁業、その方たちの責務についても書かれています。もちろんそれだけではありませんが、食品加工、製造に関わる感染業者の責務についても述べられ、食べ物に関わる人が食育に関係しそうだということが条文から感じられます。行政の方では先攻していろいろなことが準備されています。
何はともあれ、「食育推進基本計画」は国はもちろん、県レベル、市町村レベルでそれぞれに作らなければ行けないということが義務づけられています。それだけではなく、私たち家庭における食育の推進についても述べれています。法律がそういうふうに言っているのですね。学校や保育所でも食育について推進しなさいと書かれています。それどころか地域における食生活改善にも連動しながらやりなさいということでした。地域のみんなが食育に関係あるのだということをうたっています。それを裏付けるように、食育担当大臣というのがあります。今までは食べ物にことに関しては農林水産大臣かなと思っていましたが、それだけではなくて食育担当大臣も設置して推進本部には、小泉首相(当時)が設置した大きな組織や体制が作られています。
何となく、普段ぼくらが何気なく食べている食べ物のことやちょっと心配している農林水産業に国を揚げて、国民を揚げて取り組む、これはすごいな。でもちょっと全体主義的で怖いなという感じもあります。これがどうなっていくか、人ごとではないので詳しくお伝えしていきます。
【関連記事】
■結城登美雄の食の歳時記<麦編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar126106
■結城登美雄の食の歳時記<暦編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar139064
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