弱いなら弱いままで。

「負けない戦い」のその先にあるもの。

2014/01/03 14:49 投稿

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 昨夜、てれびんとLINEで延々と話していて、その内容がなかなか面白かったので切り出して書いてみます。

 といっても、何しろ雑談なので、どこをどう書いたら良いものか――まずは「勝利条件」と「敗北条件」の話をしましょうか。

 「勝利条件」とは字義通り何を成し遂げたら勝利になるのか、その条件のことです。この場合の勝利とは「ゲームクリア」のことだと思ってください。その状況において、どういう条件を満たしたら次のゲームへ進めるかということ。

 たとえば、いま貧乏で苦しんでいる人は「金持ちになる」という勝利条件を設定するかもしれません。金持ちにさえなれたら、この苦しい人生は終わりだ、次のステージ、つまり「幸せな人生」へ進めるのだ、と。

 この勝利条件は自分で設定するよりなく、そしてそれがあいまいだと、いつまで経ってもゲームをクリアすることはできません。

 たとえば「幸せになる」ことを勝利条件と設定すると、どこまで行っても「わたし、幸せじゃないかも……?」という疑いが兆す可能性があるということです。

 「これを達成したら勝利なんだ」ということを明快に決めておいたほうがいいんじゃないかということですね。

 とはいえ、勝利条件とは根本的に根拠があるものではありませんから、たとえば金持ちになりたくてなりたくて、みごとそれに成功しても、満足できるとは限りません。

 ゲームはクリアして、たしかに次のステージへ移ったはずなのに、何か不満が残るということはありえる。そういうふうに考えていくと、結局は勝利条件とはひとつの幻想なのかもしれないと思えて来ます。

 勝利とはゲームのルールの設定によっていかようにも変わってくるもの。自分が「非リア」だと思っている人は、「リア充」はさぞかし勝利の美味を味わっているだろう、と考える。

 しかし、それはまさに幻想で、リア充たちにはリア充なりの苦しみがあるかもしれない。そういうこと。

 しかし、とにかく勝利条件さえあれば、それを目ざすことはできます。それは幻想かもしれない、儚い蜃気楼かもしれないけれど、とにかく目的を設定しさえすればそこへ向けて突っ走ることはできる。

 だから、多くのエンターテインメントは「勝利条件が設定された物語」を描きます。しかし、一方で「敗北条件を巡る物語」もまたある。

 敗北条件とは何か。これは、「この条件を満たせなくなったら自分はもうダメだ」という条件のことです。自分で自分を肯定できなくなるラインといってもいい。

 これも結局は自分で設定するよりほかないのですが、「敗北条件を巡る物語」では、「勝つこと」ではなく「負けないこと」が主眼となります。

 何を守り通せば負けなかったことになるのか。それは人としてのプライドを守ることであったり、大切な信念に殉じることであったり、色々だと思いますが、とにかく「負けないこと」こそが大切なのです。

 ここでぼくが思い出すのが瀬戸口廉也シナリオの大名作『SWAN SONG』です。

 『SWAN SONG』は主人公の神とか運命とかいわれるものを相手にした戦いの物語、と解釈することができます。そして、そこではまさに「負けないこと」が問題となっているのです。

「川瀬さん、立ってください。負けちゃ駄目ですよ。運が良ければ、いつの日か一発くらい殴りつけることが出来るかもしれない。それはきっとすごく気持ちがいいはずですよ。このままじゃあんまり情けないじゃないですか。僕はいやなんですよ」

 神の子なんか関係ない。これは、いまはもういない僕の友達がその小さな両手で丹念に一つ一つ積み上げた手あかのついた石のかたまりだ。僕は誇らしくてしかたがない。だから、絶対に立ててやる。そして、このやたらにまぶしすぎる太陽に見せつけてやるんだ。
 僕たちは何があっても決して負けたりはしないって。

 『SWAN SONG』は、何しろ神様というか運命そのものを相手取った戦いですから、勝利条件が見えません。ほぼ、勝利は存在しないといっていいでしょう。一般的な意味での「幸福」に至る道はあらかじめ絶たれているのです。

 しかし、主人公である司は、それでもなお戦います。何のために? 負けないために。戦いを維持するために。

 ここでは「敗北条件」と書いたけれど、これは「維持条件」というほうが正確かもしれない。司の目的は戦線を維持することそれ自体であって、「僕たちは何があっても決して負けたりはしない」ことは、勝利より輝かしい成果なのです。

 で、ここで思い浮かべるのが『Fate/Zero』のセイバーとギルガメッシュ、イスカンダルの対話。

 セイバーは多数の仲間を持つイスカンダルに、王として失格だといわれてしまうんですね。

 これはつまり、ある意味で 

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