いまさらだけれど『サカサマのパテマ』の凄まじさに圧倒された。
今年も色々と面白そうな映画が目白押しで企画されていて楽しみです。さて、新春早々、アニメーション映画『サカサマのパテマ』を観て来ました。素晴らしかった!
今年最初の作品ですが、もう今年のベストはこれで決まりなんじゃないかってくらいの凄さ。もし昨年中に観ていたら昨年のベストの一角に食い込んでいたことは間違いないでしょう。
物語は、地下都市に住む少女パテマが地上へ出て来るところから始まります。彼女があこがれた地上――それは何もかもサカサマの世界だったのです!
実はパテマたち地下人は地上人たちとは重力が正反対に作用する種族だったのですね。その理由は古代の恐ろしい実験にあるらしいのですが、ともかくパテマは一歩足を踏み外せば、「空」へ落ちていくことになります。
上が下になり、天井が床になり、空が穴になるこの奇妙な現象! そしてパテマは地上世界のアイガ君主国の少年エイジと知りあい、この不思議な世界の秘密を探求してゆくことになるのですが――。
いやー、いま思い出しても凄かった。途中までは「まあ、こんなものかな」と余裕を見せていたのだけれど、クライマックスの怒涛の展開に圧倒され、思わず「ぎゃー!」と(内心で)叫びながら、「す、すっげえええ!」と感嘆させられた映画でした。
これは現代アニメーションのひとつの奇跡なのではないでしょうか。もちろん、ほかにも面白いアニメはたくさんあるけれど、この単純さ、この普遍性はいまどきめずらしい。
『魔法少女まどか☆マギカ』が、オタクアニメ文化のある種の奇形的進化の果てに生まれた異形の子だとするなら、『パテマ』はそういう文脈に属していない普通の子供。
だから、現代の目で見ると設定といい、キャラクターデザインといい、どうしても地味であることを免れないのだけれど、それにしてもこれは傑作でしょう。
アイディアそのものはごくごくシンプル、地球上のどこの国の人でも理解して楽しめると思う。奇想ではあるけれど、決してわかりづらくはない。
しかし、その単純な発想がたどり着く境地と来たら――ああ、いいたい! いってしまいたい! しかし、いうわけにはいかない。とにかくすばらしいのです。
最初から最後まで「サカサマの世界」という一点で引っ張っていく力技を、ぼくは無理があるのではないかと思っていた。たしかにすごい発想だけれど、しょせんワンアイディア、これだけでずっとひきずるのは辛いよね、と。
サーセン、まったくぼくの浅慮でございました。『サカサマのパテマ』はこの強烈なアイディアを最大限に活用し尽くした驚異的な一作です。
観終えてみれば「なるほど!」と、「そうだよね!」というしかないのだけれど、観ている最中は気付かない。で、結局はまさに「な、なんだってー!」というか「この発想はなかったわ」というか、極限のセンス・オブ・ワンダーを見せてもらいました。
色々な設定とかから、観ている人は十中八九、『天空の城ラピュタ』を思い浮かべると思う。そして、アニメーションの壮麗さとか、ヴィジュアルイメージの華麗さといった点では、本作は『ラピュタ』には及ばないでしょう。
まあ、宮﨑駿がいかに天才なのかわかるという話で、そういう点で見ると、『パテマ』はいかにも地味だし、いささか時代おくれですらある。
たしかにサカサマになった世界ってアイディアは凄いけれど、「サカサマ? それはぜひ見に行かなくては!」という人なんて少ないでしょ。
しかし――おお、何たることか、正しいのはその少数の人たちなんですねえ。たしかに『パテマ』は映像的な迫力という一点では『ラピュタ』に及ばない、ちょっと変わった亜流というところに位置づけられるかもしれない。
しかし、それでも、これはものすごい傑作だ。そうとしかいいようがない。いや、まあ、とにかく見事に固定観念をぶち壊してくれました。
男の子と女の子が抱きあうと、
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コメント
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私もしばらく前に観ました。
私の場合、オチが途中で予想できてしまったので、海燕さんほど驚きはしませんでした。
でも、視覚的にとても面白かったことは確かです。円盤化されたら、再生機器をサカサマにして観賞してみたいと思っています。