昨夜、映画『風立ちぬ』を評する一文を書いた。ぼくなりに真剣に書いたつもりだが、一夜を過ぎて読み返してみるとやはり粗がある。冗長だし粗雑だ。
推敲の歓び。(1207文字)
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昨夜、映画『風立ちぬ』を評する一文を書いた。ぼくなりに真剣に書いたつもりだが、一夜を過ぎて読み返してみるとやはり粗がある。冗長だし粗雑だ。
仕方がないからさらに推敲することにした。いっぺん公開したものを改めることはよくないと考えるひともいるだろうが、ぼくは改めずにはいられない。
五年前の文章なら他人が書いたものと思えるが、昨夜のものではそうは行かない。やはり気になる。だから、ひたすら推敲する。書いては改め、改めては書く。そのくり返し。
いつのまにか集中してきて、一字一句の良し悪しがみえてくる。悪い箇所を直し、また初めから読みかえす。そうすると新しい難点がみえてくるから、また直し、読みかえす。それを営々とくり返す。
この作業はじつに楽しい。推敲という言葉は唐代の詩人の故事に由来するという。一千年以上も前から、ひとは推敲の歓びを知っていたに違いない。
もちろん、一文字や二文字、足したり削ったりしたところで文章全体はそう劇的には変わらない。ほんの少し言葉の通りが良くなり、読みやすくなる。その程度。
しかし、そのささやかな作業を延々と積み重ねていけば、いつか上質な文章が書けるようになるかもしれないという希望がある。いまのぼくの筆力では無理であるにしろ、いつかは。だからぼくはきょうも書いては改め、改めては書くのだ。
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