キンドルで本を売る。―キンドル・ダイレクト・パブリッシングを通じた個人出版のアドバイス

 「99円の電子書籍が日本を席巻することは避けられない」という記事を読んだ(http://blogos.com/article/61853/)。タイトル通り、これからの電子書籍は100円以下の超安価な本が増えていくだろうという話だ。

加藤氏は、この対談の中で、電子書籍のマーケティングが非常に難しいと述べていた。iPhoneのAppStoreでは、カテゴリーといったところのランキングしか導線がない。書籍の場合には、書店の店頭で平積みするといったやりかたなど、書店での展開には、様々な選択肢がある。しかし、AppStoreのランキングに頼った販売ではそうしたことができない。そうすると何が起きるのか、内容の質など関係なく、果てしない「安売り競争」がくる。

「AppStoreの書籍カテゴリーは、1位から、8位までが85円の最低価格で売られている。そうすると、1冊の本の長さも短くなっていて、出版社ではなく、ウェブプロダクションなどが、小さな100万円ビジネスで、情報書が乗っている形になっている」(加藤氏) 要するに既存の出版社が成り立つほどの規模のビジネスにならないというわけだ。

 ぼくはまだKindleなどの電子書籍ビジネスに本格的に参戦していない。出しても売れないだろうと思っているからだ。はっきりいえば、電子書籍を売るよりもブロマガで会員を増やすほうが簡単だと考えている。

 電子書籍は仮に売れたとしても一過性の利益しか生み出さないのに対し、ブロマガは毎月確実に一定額が入ってくるという違いもある。ただ、ブログやメルマガに比して長い文章を読ませることができる電子書籍は情報伝達の観点から見るとやはり魅力的であり、もし一般的に普及したらうまく使いたいとは思っている。

 いまのところ電子書籍でお金を儲けることはきわめてむずかしい。リンク先の記事にもある通り、読者を電子書籍購入へと導く「導線」が数少ないからだ。

 現時点では実質的に導線はランキングしかない状況であり、そしてランキングに載りたいと思ったら、価格競争を仕掛けるのがいちばん簡単だ。かくして、電子書籍の価格はどんどん下がっていくというわけ。

 正直、まともなマネタイズを考えないならブログででも発表すればいいと思うのだが、ブログで発表するよりAmazonやApp Storeで売ったほうが多くの読者を得られるということか。作家気分になれて自尊心も満足するだろうしね。

 それにしても、こうして「99円電書」が増えていくと、内容的にもまともなものは減っていくだろうと思われる。うーん、作家はなおのこと食べていくのがむずかしくなるだろう。

 そういうぼくもチープな電子書籍を何冊か買い求めている。その内容はさまざまだが、やはり安いと1クリックで買ってしまうのだ。その意味では、ぼくも価格破壊の「共犯」だ。さて、この不毛なビジネスモデルの改善案はあるだろうか。