インド料理は奥深く、いろいろなメニューが存在します。本場インドでは、選び方ひとつでその人の出身地やステイタスがすぐ分かるとも言われています。つまり、オーダーのセンスひとつで知性や品格がバレてしまうわけ。フレンチやイタリアンはバッチリうんちくを語れても、インド料理はムリ! というのは、そろそろ避けたいものですね。
以下、インド料理をスマートに楽しむためのTipsをまとめてみました。最近、インド人ビジネスマンとの会食が増えたという方は、ぜひチェックを。
◆地方によって料理はさまざま
一口にインド料理といえども、地方によって素材も料理法もさまざま。タンドーリチキンなど日本でいわゆる「インド料理」として知られているのは、実はパンジャーブ州やムガール宮廷料理などの北インド料理です。ほかにも、野菜やココナッツを多用する南インド、魚やマスタードを使う東のベンガル料理、豚や牛を食べる西洋風のゴア料理など多種多様。目に止まったメニューをあれこれ頼むよりも、「今日は南インド料理」とテーマを決めたほうが、味がまとまりやすくなります。
◆コックさんの出身地を知る
日本のインド料理店で働いている料理人は必ずしもインド出身でなく、近隣諸国の出身者が結構多かったりします。
パーキスターン出身のコックさんなら肉料理が絶品だったり、ネパール出身なら優しい味の野菜カレーが美味しかったり、バターチキンのような売れ筋メニュー以外に得意な料理があることも。
注文前にコックさんの出身地を聞くと、美味しい料理にありつけることが多いのです。
◆メニューの組み立て方
レストランで食べるインド料理には頼む順番があります。
一般的には前菜にスープか、ケバーブなどの焼きものを、メインのカレー料理には、ドロッとしたグレービー系、ソースを使わないドライ系を織り交ぜてオーダーします。
カレー一品だけという頼み方は味気ないもの。カレーに合わせるパンやご飯のチョイスは、お店の人に相談を。つい無難にナーンを選びがちですが、高級パンであるナーンはリッチな風味の料理にしか合わないし、南インドはライスが基本。
◆無理に手で食べなくてもOK!
「インド料理は右手で食べるもの」と気張って、必ずしも手で食べなくても大丈夫です。インドでも普通にスプーンを使うし、とくにバターを多用した料理はやけどする可能性も。食事の前に手をきれいに洗って、スプーンと手を気ままにつかって楽しむのがベター。インドの方と同席する場合はまず相手の所作を観察して、もし手で召し上がっていれば真似してみると場が和むかもしれません。
「インド料理なんてどれも辛い」と一括りにしていても、慣れると複雑に多層化された味覚に出会えるはず。インド料理の奥深い世界を、ぜひ堪能してください。
photo by Tomoyo Nozawa
(文/さとう葉)