畳からフローリング、押入れからクローゼット、扇風機からエアコンに日本の生活様式が変化しても伝統やしきたりは脈々と受け継がれています。しかし、熨斗袋や不祝儀袋の選び方や水引の意味など、冠婚葬祭のいざという時になって「これで合ってる?」と不安になることはありませんか?
そんな不安を解消してくれる1冊が、薫香・文房四宝・和紙製品の老舗である鳩居堂の監修で誕生しました。その名も『鳩居堂の日本のしきたり 豆知識』(マガジンハウス)。
筆者が若かりし頃の苦い思い出ですが、友人の結婚式に出席することになり、熨斗袋を購入しに行きました。水引のことなど念頭に無くデザインだけでかわいいものを選んでしまい、結果、水引が「蝶結び」の熨斗袋を友人に渡してしまったのです。平謝りの私に友人は笑って許してくれましたが......。今思い出しても顔から火が出そうです。
なぜ結婚式の熨斗袋の水引が「蝶結び」ではダメなのか? 『鳩居堂の日本のしきたり 豆知識』ではこんな風に説明されています。
一部抜粋しますと「水引には包みを結ぶ役割とともに、一度ほどいてしまうと開けたことがわかるので、封緘の意味もあります」とのこと。また「結び方には『結び切り』と『蝶結び』(花結び)の二種類があります。『結び切り』はいわゆる固結びで、一度結んだらほどけない結び方。結婚や葬儀など、『二度とあってほしくない』ことに使います。『蝶結び』は何度も結び直せる結び方で、何度あってもよい一般的なお祝いごとに使われます」。
日本の風習やしきたりは奥が深いんだなと改めて感じました。
いざという時の強い味方になってくれる鳩居堂のしきたり本。日本のしきたりをもう1度おさらいしたい方も是非どうぞ。もっと早く出会いたかった......。一家に1冊、永久保存版ですよ。
[鳩居堂 お香、書画用品、はがき、便箋、金封、和紙製品の専門店]
(文/六島京)