米マクドナルドは2023年12月6日(水)に開いた投資家説明会で、2027年末までに全世界で9000店を追加出店し、店舗数を現在より約2割多い5万店に増やす計画を公表しました。インフレによる原材料や店舗運営のコスト上昇の圧力が強まるなか、出店ペースを過去最高に引き上げることで、成長継続を目指す方針と見られています。

マクドナルドは世界100カ国以上に出店していて、23年9月末時点の店舗数は約4万1000店。そんなグローバル企業が各国で展開している広告・プロモーションもバラエティに富んでいます。今回は、近年のマクドナルドの広告&プロモーション事例20選をまとめてお届けします。

1.お馴染みのフライドポテトの色が違う!? 仏・マクドナルドの斬新な演出

多くの人が共通認識を抱いているブランドだからこそできる、シンプルながらも意外性のあるコミュニケーション手法があります。“色”を活用したコミュニケーションはその一つであり、フランスのマクドナルドはじゃがいも以外の野菜を活用したフライドポテトを発売するにあたり、同社のコーポレートカラーでもある赤と黄色をあえて変えたCMとOOHを2023年に公開しました。

食べ慣れた親しみのある商品でもカラーリングを変えることで目に留まりやすくなり、新鮮な印象を与えられることを証明した広告事例です。

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2.テイクアウトパッケージをテーブルに!デザインウィークを救ったマクドナルドの画期的なアイデア

イタリア・ミラノで開催されるミラノデザインウィーク(以下デザインウィーク)は、例年30万人以上もの参加者が国内外から訪れる大きなイベントです。ミラノ市内の多くの商店や宿泊施設が賑わうかきいれどきでもあるのですが、あまりに多くの人が一度に訪れるイベントの性質上“来場客が飲食店に入ることが困難”という深刻な課題もあります。30分以上並ぶのは当たり前で、テイクアウトを試みようにも街中で食べる場所はなく、多くの観光客がいわゆる食事難民になる現象が発生してしまうのです。

そんな課題を解決へと導くため、現地のマクドナルドはデザインウィークの会期中限定で“パッケージそのものがテーブルになる”画期的なテイクアウト専用容器を2023年開発しました。

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3.辛い? 辛くない? 議論を意図的に巻き起こすことを狙った米マクドナルドのCM

味覚は個人によって感じ方が大きく変わるものとして知られています。美味しいのか美味しくないのか、甘いのか甘くないのか、塩味が強いのか弱いのかなど、さまざまな切り口によって議論が可能で、味の好き嫌いは老若男女を問わず誰もが共感できる話題と言えるでしょう。

そんな議論を意図的に巻き起こすべく、あらゆる味覚の中でも個人差が強く影響する“辛味”の意見をユーザー側に求めたマクドナルドのCMが2023年公開されました。

最終的には「マックが定義する辛さはどれくらい辛いのか。あなたが判断してください」という問いを視聴者に投げかけることで、実際に店舗に足を運んで確かめさせたいというブランド側の狙いが窺えます。議論の余地がある味そのものにフォーカスすることで思わず食べてみたくなる仕掛けが施されたCMでした。

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4. ChatGPT、世界で最も有名なハンバーガーは?マクドナルドのブランディング施策

OpenAI社が提供するAIチャットツールChatGPTは、登場するやいなや凄まじいスピードでさまざまな産業に取り入れられました。ChatGPTを新規サービスに利用する企業やレポートを書く際に活用する学生など、その目的は多種多様で今後も更なる発展が期待されているツールです。

そんな中、ブラジルのマクドナルドはChatGPTにある質問を問いかけることで、同社の主力商品とも言えるビッグマックをアピールしたOOHを公開しました。

マクドナルドが世界中の国で使用しているキャッチコピーをセルフパロディした“A.I’m Lovin’ It”というタイトルが付けられた施策は「ChatGPT、世界で最もアイコニックなハンバーガーは何?」という問いかけを中心に描かれています。

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5.ライブ会場で突然左右に観客が分かれる!?仏マクドナルドのCM

フランス出身でヨーロッパ中において、絶大な人気を誇るDJ Snakeは、そのトラックメイクのセンスだけでなく、ライブパフォーマンスを盛り上げるための演出が独特であることでも有名なアーティストです。

ダンスミュージックの最前線で活躍しているアイコンである彼の特徴に注目し、ヨーロッパの音楽業界とそのカルチャーを応援しているというメッセージを込めたCMがフランスのマクドナルドから公開されました。

マクドナルドの店頭でデリバリー用の商品を受け取る男性を描いた動画では、DJ Snakeがパフォーマンス中のライブハウスという意外性抜群の配達先に到着すると突然観客が左右に分かれるシーンが登場します。

この“観客を左右に分ける”という演出は、DJ Snakeが実際にライブで取り入れている行為の一つで、その後合図にあわせて中央に突撃することから「ウォール・オブ・デス」と呼ばれるハードコア・バンド発祥のモッシュです。

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6.おいしすぎて隠したくなる!?マックフルーリーの「あるある」を活かしたOOH

日本ではオレオクッキーが入っていることでおなじみのマクドナルドのソフトクリーム・マックフルーリーは、世界中で愛されている同社の定番スイーツの一つです。

なめらかなソフトクリームの甘さを際立たせるさまざまなソースが楽しめるマックフルーリーは、そのおいしさからしばしば「一口ちょうだい」という友だち同士のやりとりに展開することも多いはず。そんな微笑ましい会話を描きつつ、購買者の本音にフォーカスを当てたOOHが、2023年ポルトガルのマクドナルドから公開されました。

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7.パッケージで笑顔を作る! マクドナルドの直球広告

“i’m lovin’ it”のグローバルコーポレートスローガンでおなじみのマクドナルドは、商品の味や店舗での購買体験だけでなくその広告手法がどのマーケットにおいてもポップで楽しい雰囲気を演出している企業としても知られています。そんなマクドナルドの広告姿勢を、ユーザーにとって最もわかりやすい形で体現したOOHが、2023年ジョージアで公開されました。

ビジュアルのモチーフとなったのはフライドポテトのパッケージ。その特殊な形状を用いることで「笑顔」を表現しています。3種類公開されたビジュアルには“Fries will always bring smiles(フライドポテトはいつだって人を笑顔にする)”というシンプルにして説得力のあるキャッチコピーが記され、フライドポテトのパッケージを口元に構えることで縁の曲線が笑顔を模しているように見える仕掛けが施されています。

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8.合言葉はクリスピー! フランス版チキンクリスプのCM

サクサク食感のチキンとハニーマスタードソースの組み合わせが高い人気へとつながっているマクドナルドのMcCrispy(日本ではチキンクリスプが相当)は、フランスのマーケットにおいて2023年に大幅なリニューアルを行いました。McCrispy最大の特長である「サクサク食感」にスポットライトを当てることで、他の商品にはない魅力を表現しています。

カラフルな色合いとポップな演出に役者たちのさわやかな演技が加わることで、McCrispyとマクドナルドが体現する「楽しい食事」を描いており、高い人気の商品のリニューアルを彩りました。

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9.インドネシアのヒットチャートで1位を獲得!“Nihon No Fureeba”の正体とは

2023年の夏、インドネシアのマクドナルドは揚げ海苔とテリヤキソースを使った、日本料理からインスピレーションを受けたハンバーガーを発売しました。同社は日本料理が高い人気を誇るインドネシア市場においてこの新商品の魅力をアピールするため、現地の人気配信者であり歌手でもあるIcazahraとコラボした楽曲を“企業コラボであることを伝えずに”発表しました。

多くのファンは驚きつつもマクドナルドの斬新なプロモーション手法を賞賛し、あまりの話題に現地メディアが取り上げる事態に。インドネシア人に多大な影響を与えている日本文化を上手く活用することで商品プロモーションを最大化させた事例となりました。

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10.マックとRobloxのコラボ! ゲームに勝って割引コードを手に入れよう

メタバースの本格的な登場に伴い、世界中の企業がバーチャル空間でさまざまな施策を公開するようになってから数年が経ちました。まだまだ冷めやらぬムーブメントの中で、南米のマクドナルドはアルゼンチン、コロンビア、メキシコ市場向けに大人気オンラインゲームRobloxとのコラボ企画を2023年に公開しました。

すべての島で高得点を出せば丸々1食分の割引を手に入れられ、ゲーム性の高さと直接的なインセンティブを組み合わせることで、マクドナルドファンのみならずRobloxユーザーにもメリットがあるような仕組みにした事例でした。

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11.パラアスリートたちにスポットライトを ドイツ・マクドナルドの啓蒙施策

世界中で40,000以上もの店舗を構えるマクドナルドは、そのスケールメリットを活かすことで各地のさまざまな団体と手を組み、ファストフードビジネス以外の活動を積極的にサポートしているブランドとしても知られています。

そんなマクドナルドは、ドイツの広告代理店Jung von Matt SPORTSとのパートナーシップを通じて、パラスポーツの認知向上を図った大規模なキャンペーンを公開しました。

多くのドイツ国民だけでなく多くのスポーツファンからも関心を寄せられていないパラスポーツの現状を浮き彫りにし、マクドナルドの訴求力を持ってして1人でも多くの人の目に触れてもらいたいという願いが込められた、エモーショナルでありながらどこか力強さを感じる事例でした。

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12.マッククリスピーに愛を! エストニアのマクドナルドが公開したテレビCM

愛の形やその表現方法は人それぞれ。その対象すらも、人や生き物でなくてもいい。一見すると哲学的にも見える強いメッセージを広告に落とし込むとどうなるのか。エストニアのマクドナルドは、そんな独特なメッセージを自社の商品広告に落とし込んだ“王道なのにどこか不思議”な雰囲気のテレビCMを2023年に公開しました。

ビーフやポークといった定番から、ビーガンミートやチキンまで幅広い食材で作れるハンバーガーの中でもチキンに焦点を当てつつ、あえて人同士のロマンスという切り口で描くことでダイナミックな演出を織り交ぜることに成功した事例でした。

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13.国と文化を超えてエンタメコンテンツに登場するシーンを集めたマクドナルドのCM

1940年に開業して以来、世界中の国と地域でファストフード文化を広めた業界大手のマクドナルドは、老若男女を問わず唯一無二の知名度と絶大な人気を誇っている数少ないブランドです。長い歴史を持つブランドだからこその存在はドラマや映画、ゲーム内で取り上げられており、言語の壁を超えてさまざまなエンタメコンテンツに登場しています。

そんなシーンを集めることでマクドナルドの存在感を示しつつ、カルチャーそのものを背負うブランドであるというメッセージをアピールした動画が2023年に公開されました。“誰もが一度は見たことがあるようなシーンの中に自然な形で登場する様子を見せる”という手法は、高い知名度があるブランドにしかできないアプローチとなっています。

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14.シンプルかつ力強いOOHが話題!ヨルダンのマクドナルドが“電話注文”を訴求した理由とは?

ヨルダンのマクドナルドが、電話でデリバリーの注文が可能なことをシンプルながらも力強いビジュアルで表現したOOHを2023年に公開しました。新型コロナウイルス感染症の影響でさまざまなフードデリバリーサービスが普及した中で、忘れがちな“電話注文”という方法があることを改めて訴求することでデジタルネイティブではない世代にもフレンドリーなことを示しました。

自宅まで食事を配達してくれる利便性の高さと在宅勤務の普及によって日常的に利用する人が増えたフードデリバリーにおいて、誰もが簡単に電話一本で注文できるという敷居の低さをアピールすることでより多くの顧客へのアプローチを試みたアイデア事例です。

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15.思春期の少年がハッピーセットを注文した理由とは? 心温まるマクドナルドのOOH&CM

料理のクオリティからサービス、値段や立地など、さまざまな理由の複合的な結果によって来店するかどうかが決まる飲食業界において、“誰と一緒に食べに来てほしいか”を訴求することは有効な手段です。オランダのマクドナルドはそんなメッセージを「家族」の切り口でエモーショナルに描いたOOHとCMを2023年に公開しました。

1人でも気軽に利用でき、友人たちとの憩いの場にもなり、大切な家族と一緒であっても楽しめるというオールラウンドな同店ならではの強みを、商品や値段など以外のメッセージングを通じて表現した施策でした。

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16.玄関ドアがビッグマックやフライドポテトに!?仏・マクドナルドの鮮烈なOOH

フランスのマクドナルドが、多くの人に愛される定番商品をいつでも自宅で味わえるデリバリーサービスをアピールするため、玄関をマクドナルド商品のようにデザインしたユニークなプリント広告を2023年に公開しました。

マックデリバリーというサービス名だけが書かれたシンプルなビジュアルは、さまざまなドアがガラスの色合いや植え込み、郵便ポストの形によってフライドポテトやビッグマック、ソフトクリームに見えてしまう様子が描かれています。誰もが見たことある定番商品をドアのパーツで再現することで、電話やアプリを通じて気軽にオーダーできるという利便性を抽象的に表現しました。

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17.空中に浮かぶ巨大なマックのロゴが? メキシコで深夜営業を開始したマクドナルドのドローン施策

メキシコのマクドナルドは、首都近辺の一部店舗が深夜営業を開始したことをアピールするために、ドローンを活用してメキシコシティの主要エリアから視認できる巨大な“浮遊する看板”を公開。

屋台や個人経営のレストランなどさまざまな食事を夜遅くまで楽しめるメキシコシティにおいて、マクドナルドの店舗だけが早めの閉店時間を設けていた課題が解消されたことを伝える同施策は、SNSと連動したことで国中のメディアが注目する事例となりました。

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18.このザクザク食感、もう聞いた? キプロスのマクドナルド新CM

数年前のアメリカにはじまり、今となっては世界中でブームを巻き起こしているチキンバーガー。ファストフードチェーン各社がオリジナリティあふれる新商品を次々と発表していく中で、業界を牽引するマクドナルドもMcCrispy(日本におけるチキンクリスプ)をさまざまな国と地域に紹介しています。

地中海東部の島国キプロスでは、McCrispyが誇る最大の商品特長でもある“ザクザク”という音に着目したCMが2024年に公開されました。

通常、ビーフやポークパティを使用したハンバーガーではありえない音を、フライドチキンを使用しているからこそ出すことができるMcCrispyの商品特長として捉え、味や値段などについて言及することなくその魅力を存分に引き出すことに成功した動画となっています。

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19.マクドナルドの新店舗オープンを”紙吹雪”で盛大に祝ったOOH

ファストフードチェーン大手のマクドナルドは、業態こそ飲食業なもののそのあまりにも巨大なビジネススケールから、新商品や期間限定のキャンペーン、果ては新規開店に伴うプロモーションまで幅広い領域で宣伝活動をすることで知られています。そしてお祝い事のモチーフであるとも言える紙吹雪をデザインの中心に置いた複数種類のプリント広告が、2024年に展開されました。

日本ではあまり目にする機会が少ない新規開店に伴うプロモーションも欧米諸国では頻繁に行われており、カナダではおもに新店舗の近くにあるOOHを活用することで近隣住民へ効果的に“マクドナルドが来る”というメッセージを訴求しているようです。

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20.集え、未来のDJたち!ルーマニア発・マクドナルドの超大型音楽企画

さまざまな施策を通じて特定のクラスターにアプローチをかけ続けているマクドナルドは、日本国内においても文脈を重視したタレントやインフルエンサーとのタイアップを通じて定期的に話題になっています。

そんな中、ルーマニアのマクドナルドは現地で最も有名な音楽フェスと高い人気を誇るローカルDJとのタイアップを行い、熱狂的なダンスミュージックのファンに向けた参加型の投票施策を2024年に公開しました。フェスやDJに新しい角度からアプローチし、大手ハンバーガーチェーンとしての存在感を改めて世に示した施策です。

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マクドナルドの広告&プロモーション事例20選

マクドナルドといえば知らない人はいない世界的に展開するファーストフードチェーン。誰もがレギュラー商品を頭の中にイメージできる抜群の知名度を生かした、さらに攻める広告やプロモーションの数々となっています。

そのままでは真似できない施策も多いですが、ちょっとアレンジしてスケールチェンジすることで、うまく活用できそうなアイデアも詰まっています。コンパクトにまとまっていく思考の渦に飲み込まれそうになった時に、眺めて企画の突破口を探すヒントとして活用するなど、アイデアの源泉になれば幸いです。

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