新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延以降、世界中で外食や飲み会に対する考え方は大きく変わってしまいました。日常生活の延長線上にあったものがいつしか特別なものになり、多くの飲食店が経営に苦しむようになったのです。日本でもそのようなニュースが頻出していましたが、欧・アイルランドでも状況は似ており、元々は現地の人々の憩いの場として機能していた多くのパブが閉店に追い込まれてしまったのです。そんな中、大手ビールブランドのハイネケンは、卸先でもあるパブの経営を少しでも助けたいという願いで大掛かりな施策を行いました。
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“Pub Museums(パブ博物館)”と銘打たれた施策は、アイルランドに点在するパブを文字どおり博物館に変えてしまうという奇想天外なもの。何百年もの間存在してきたパブはもはやその街の歴史の証人であると定義付けることで、店内にある昔の情報や骨董品を展示し、AR技術を活用することで来店客がスマートフォン越しに詳細を確認できるようにしたのです。
実はアイルランドでは博物館をはじめとした施設は税制面で優遇を受けることができたり、さまざまな経営上のメリットが存在しているのです。飲食店から博物館へと“進化”を遂げることで同じようなメリットを享受でき、長引く物価高を少しでも和らげ経営を軌道に乗せることを狙いつつ、メディアや周辺住民へのアピールも存分に行うことができる好事例でした。
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