今回のユニホームリニューアルにあたっては、会社の根幹を支えるすべての従業員がより働きやすく、個性を生かして活躍する「“人”が主役となるブランド」への進化を目指しています。コンセプト設計・監修を株式会社セイタロウデザインが担当、デザイン・制作を株式会社オンワードコーポレートデザインに依頼して完成させました。
従来、フィールドエンジニアや研究開発職など職種ごとに異なっていたデザインを、全職種統一のデザインへと一新。さらに、“GRADATION DIVERSITY(グラデーションの多様性)”のコンセプトのもと、ジェンダーフリーで従業員それぞれの個性を生かした組み合わせができるラインアップとしています。
フジテックには、研究・開発、販売、生産、据付、メンテナンス、リニューアルまで一貫体制を敷く専業メーカーである特性から、幅広い職種の従業員が在籍。これまで職種ごとの労働環境や性別に応じて、異なるデザインのユニホームを運用してきました。しかし、昨今では安全衛生基準の厳格化や気候変動などを背景に、デザイン性・機能性・快適性において従業員から改善要望が増し、新しいユニホームへの期待が高まっていたといいます。
また、女性従業員やベテラン技術者といった老若男女、多様な人材が活躍していること、人材の獲得競争により働き方・価値観のさらなるアップデートが求められていることから、ユニホームのリニューアルを計画。2021年9月にプロジェクトを立ち上げ、3社合同で準備を進めてきました。このプロジェクトを通じて、誰もが安全で快適な職場環境を実現し、働きがいを高めていくことを目指したものです。
「“人”が主役となるブランド」への進化を体現するユニホームとして、コンセプトを「GRADATION DIVERSITY」と設計。企業、従業員双方の意思を反映したユニホームとなるよう、プロジェクトデザインから一貫して同コンセプトを実践しています。
企業のユニホームは、従業員全員が同一の服装をすることで、所属している企業を明確に表す記号としても機能し、外部に対する宣伝効果や、働く従業員の連帯感を生むアイテムとされてきました。今回ユニホームをリニューアルするにあたって、「個性」「多様性」というキーワードを最初に設定。組み合わせや着こなし方により従業員個人の個性を表現できるアイテムラインアップをそろえた上で、外部から見るとフジテックのブランドイメージを訴求できるユニホームを目指して制作されました。
さらに、ジェンダーフリーにデザインした6点のアイテムを用意。このリニューアルを機に、安全上の理由で必要な場合を除き、ユニホームの着用を選択制へと移行しました。ユニホームを着るかどうか、また、どのアイテムを着るかは、従業員一人ひとりの選択を尊重するものとしています。
ユニホームリニューアルの過程では、従業員がサンプルを試着してプロジェクトメンバーと意見交換する全国キャラバンを実施。プロジェクトメンバーが約4カ月かけて21のオフィスに足を運び、600人を超える幅広い職種・年齢の従業員の声をヒアリングしました。
その結果、街で誇りをもって歩けるデザイン性を保ちながら、エレベーター・エスカレーターの据付や保守といった独特な労働環境においても、安全性・機能性・耐久性・快適性を確保したフジテックオリジナルのユニホームが完成しました。
体型の異なる男女が、同一パターンのユニホームを着用するジェンダーフリーの設計・サイズ展開にしたことにより、ユニホームのラインアップを最小限に集約。従来の34アイテム・計259点から6アイテム・計48点へ大幅にスリム化したことで、過剰生産や余分な在庫を持つ必要がなくなり、無駄な製品廃棄を減らすというサステナブルな運用にもつなげています。また、現在着用中であるユニホームと新たに採用するユニホームは、それぞれリサイクルを実施する計画となっています。
実際に従業員に着用してもらうフジテック、コンセプト設計・監修を担当したセイタロウデザイン、デザイン・制作を担当したオンワードコーポレートデザインと、三者がリニューアルに際して手を尽くして練り上げた今回の新ユニホーム。働く上での機能性はもちろんのこと、どんな人であっても着心地良く過ごせる工夫が詰まっています。
少子高齢化の進行が予想以上のスピードで進んでいる中、どの業界でも今後ますますの人材不足が予見されています。働くための条件や環境整備は、人材を確保するためにも企業にとって大事なファクターとなるはず。
今回のフジテックの新ユニホームには、そんな近い未来を見越してのブランディングの意識とともに、新旧のユニホームをリサイクルするというサステナブルな配慮も盛り込まれたお手本にしたい取り組みとなっています。
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