今回開催されたのは、来店者が持参した大切な写真に込められた思いをもとに、蔦屋書店のコンシェルジュがおすすめの1冊を選んで提案する、完全予約制のイベントです。コンシェルジュとの交流を通して約50人の来店者に、新たな本との出会いを楽しんでもらいました。
「写真幸福論 一生モノのフレーム店」は、“家に、幸せの居場所をつくろう。”をコンセプトとした富士フイルム、富士フイルムイメージングシステムズによるポップアップストア。素敵な花瓶を見つけると花を生けたくなるように、さまざまなデザインのフレームや13名のクリエイターによる写真作品、写真に寄り添う本に触れながら、写真を飾ることを考えてもらうことを通して、写真と暮らす幸せを見つけてもらう場としてオープンしたものです。
「写真を読む」イベントに参加したのは、旅コンシェルジュの森卓也さん(六本松 蔦屋書店)、人文コンシェルジュの岡田基生さん(代官山 蔦屋書店)、文学コンシェルジュの間室道子さん(代官山 蔦屋書店)の3名。日頃から店頭でお客様に本をおすすめしている3名ですが、写真をもとに本を提案するのは初めての試みとなりました。
イタリア旅行時の写真をもとにイタリア人の国民性の話で盛り上がった女性には、イタリア在住の著者が出会った人々の生き様と思いを綴ったエッセイ『カテリーナの旅支度』(内田洋子、集英社)を、紹介しました。また、2人で履いたアースカラーのスニーカーの写真を持参した夫婦には、色に関する物語のフェアの冊子を渡しながら、江國香織の小説を紹介。
ときにコンシェルジュたちの予想を覆す選書に、「どんな本か見てみるのが楽しみ」と、笑顔が広がりました。鎌倉に遊びに行ったときの娘の写真を店内でプリントして持参した男性からは、「コンシェルジュにおすすめしてもらった本と一緒に、帰ったら写真を娘にプレゼントする予定」との声も。イベント後には記念撮影に応じるなど、コンシェルジュたちも来店者との交流を楽しみました。
蔦屋書店にコンシェルジュがいることを知ってもらう機会ともなった今回のイベント。参加したコンシェルジュからは「今後、思い出の品やイラストを持ってきてもらって本を提案することなどもできそう」との声も上がり、盛況のうちに終えました。
写真と本という異色の組み合わせで、新たな体験型イベントの開催。スマホの普及により写真をプリントする機会もめっきり減りました。また、書店の減少により本との接点が減り、読書習慣をどう継続するかという課題があります。そんな写真と本に対して、あらためてその存在意義や生活にうまく取り入れる動機づけやきっかけ作りとなるアプローチとなっています。