2015年版から販売を開始した有限会社 真美堂手塚箔押所の「バリアフリーカレンダー」は、今年で販売10年目を迎えます。そこで、新たにリニューアルした「バリアフリーカレンダー2024」を11月15日(水)から取り扱い店舗にて発売開始すると発表しました。

リニューアルした「バリアフリーカレンダー2024」には、世界に暮らすさまざまな人々がお互いの環境を思い理解し合うこと、そうした社会のあるべき姿への実現に向けて、自分たちにできることをしたいという思いが込められており、そのために真美堂手塚箔押所の技術で貢献できることは何かと考えて作られています。

真っ白な紙面に浮き出した「浮き出し加工」による暦は、視覚障害のある方、晴眼の方、見え方や読む手段の異なる人々が一緒に使える共生のためのカレンダーです。愛用者からの声にしっかりと向き合いながら進化を重ね、第29回日本文具大賞デザイン部門優秀賞を受賞した商品でもあります。

今回の改良点は、数字や曜日をクリア箔で捺した用紙に、浮き出し加工を施したことです。文字に艶やかなクリア箔が加わることにより、これまで以上に優れた視認性と、地の紙質との違いによる触り心地の変化が生まれ、さらなる可読性の向上を実現しています。

「箔押し」と「浮き出し」がピタリと重なり合う精緻な位置合わせは職人の手によるもの。熱や湿度、用紙のコンディションを見極めながら、これまで積み重ねてきた技術を注ぎ込む浮き出しは、UVやバーコ印刷などの厚盛樹脂盛り上げ加工では得られない、シャープで高い浮き出しとなっています。数字フォントは、触って読みやすいことはもちろん、公共の場に使う書体は視覚にも美しいものであるべきと、故山本明彦氏と「触覚文字フォアフィンガー研究会」が開発した「フォアフィンガー」を採用。このフォントは、市販製品や公共施設で数多くの実績があり、バリアフリー社会の実現に向けて利活用が期待されるものです。

また、点字関連施設やロービジョンの方々の協力のもと、入念な調査と、数多くの試作とバージョンアップを重ねています。2024年版試作による調査では、「さらに読みやすくなった」との声が寄せられているものです。そして、「暦」に重点を置き、より明解であることにこだわり、飾るシーンや場所を選ばないシンプルな仕上がりは、使用される方の生活にやさしく溶け込むデザインとなっており、暦の下部に点字で曜日と祝祭日を記載し、曜日を探る手の動きを少なくすることができます。また、普段点字に触れる機会のない方も、付録の小冊子「点字のしくみ」を使って、カレンダーの点字を読んでみることができます。

毎年、バリアフリーカレンダーの売上げの一部は、盲導犬育成施設のアイメイト協会へ寄付。アイメイト協会は、1957年に日本初の国産盲導犬第一号ペアを輩出以来、現在までに国内で最も多くのアイメイト(盲導犬)を輩出している実績のある育成団体です。アイメイトの育成、 視覚障害者への歩行指導を通じて自立支援を行い、社会参加を推進しています。

バリアフリーカレンダーは、視覚障害のある方にはもちろんのこと、そうでない人にも使いやすい工夫が詰まっています。発売10周年を迎えて、さらなる改良を加えたリニューアル版が発売開始。また、健常者にも点字のしくみを紹介する付録や売上の一部をアイメイト協会へ寄付されるなど、選択することによって視覚障害への理解を深めることや社会貢献につながる商品設計になっています。長く継続していってほしい取り組みがありました。

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