匿名かつユニークなIDである広告ID(スマートフォンやタブレット端末のアプリで利用される広告用の匿名かつユニークな広告配信識別用ID)をキーとしたデータ連携を行い、そこからどのメディア(テレビ、ウェブ、DOOH)で、どの広告を見た人が、どのような意識変化や行動変容を起こしているかを把握する実証実験となっています。実施は、2023年9月15日(金)から2024年3月29日(金)の期間を予定しています。
今年、電通が発表した「2022年日本の広告費」(※1)によると、交通広告を含めた屋外広告(Out of Home、以下、OOH)の広告費は、総広告費の約6%を占める約4,200億円となっており、前年比102%の伸びを見せています。その背景にはDOOHの成長があるとされ、今後さらなる活用が見込まれています。DOOHは生活空間の中に自然に溶け込むことができるという屋外広告の特徴があります。加えて、ターゲットや時間帯、シチュエーションに合わせた広告配信が可能であること、位置情報データとの連携により、効果検証が可能であることなどの強みを持っています。
こうした背景のなかで、DOOHとテレビやウェブとのメディアミックスによる広告効果については注目が高まっています。そこで、広告主がメディアプランニングにDOOHを加えた場合に、どのような広告効果があるのかを立証することを目的として今回の取り組みが実施されています。
今回は、関東の特定エリアを対象として、ビデオリサーチグループが保有するテレビ・ウェブへのメディア接触データと生活者意識データ、LIVE BOARDが広告配信ログを利用して加工したデータなどを、広告IDをキーとしてデータ連携し、テレビ・ウェブ・DOOHそれぞれのメディアへの接触頻度で生活者のグルーピングを行います。そして、それぞれのグループにおける生活者のプロファイリングを実施。さらに、アンケート調査により、DOOH接触が意識変化や行動変容などに、どのように寄与したかを深掘りして追跡調査をしていきます。
その結果を踏まえ、電通、博報堂DYメディアパートナーズが携わる実際のキャンペーン広告を「テレビ×ウェブ×DOOH」のトリプルメディアで表示。さらには、DOOHへの接触が実際にどれだけの広告効果を示したのかを各社のキャンペーンごとに検証します。電通および博報堂DYメディアパートナーズが、これまで行ってきたキャンペーンの実施事例、LIVE BOARDのDOOHに特化した分析技術に、国内随一のテレビ視聴データを持つビデオリサーチの分析ノウハウを掛け合わせ、さらにドコモ独自のAI分析エンジンなどを活用することで、これまでの広告業界では表現できなかった新たな広告価値を見いだすことを目的としています。
5社共同で実施されているメディアミックス広告効果の可視化を目指す実証実験。さまざまな広告方法の選択肢が広がるなかで、いろいろな組み合わせの施策の選択肢があり、どうミックスするのか頭を悩ませるシーンも多いはず。テレビやウェブに注目のDOOHを組み合わせ、その頻度パターンの変化によって、実際に生活者の意識変化や行動変容にどのような影響が及んでいるのか、大型の実証実験データは興味深いものがあります。これまでの広告・広報施策が正しかったかどうか、今後どう変化させるべきかの指標となるのか、2024年3月末予定の調査結果の発表が楽しみな取り組みです。
・※1:2022年 日本の広告費(電通)