「ヨーロッパ人の10人に1人はイケアのベッドで命を授かったと言われていますが……」というフレーズと共に部屋中のベッドに横たわる乳幼児が映ると、キャビネットを作りながら口論を繰り広げる男女の様子に切り替わり、「……ということは、10組中6組のカップルは家具を組み立てる時に喧嘩をしているのではないでしょうか」というナレーションが流れます。
その後も「10人中4人はイケアのグラスを落としても割れないことに驚いただろうし、10人中10人はイケアのショッピングバッグを本来の目的ではない用途で使った経験があるでしょう」と続き、イケアを代表するさまざまな商品が印象的なカットで表示されます。
最後は、「10人中5人は引き出しの滑らかさに今もなお感動しているでしょうし、10人中6人はいつの日か自分の物ではない、誰かの家にあるイケアのソファで目を覚ますことでしょう。これらの数字には科学的な根拠はありませんが、皆さんもお分かりのとおり、きっと驚くほど正確であることが予想されます」として“Design is for everyone(良いデザインをみんなの手に)”というキャッチコピーと共に幕を下ろします。
明確な根拠に基づいた数値が求められるプロモーションにおいて、あえて“適当である”と言い切りつつも、どこか信憑性を帯びた雰囲気を作り出すことに成功した試みでした。