一般社団法人Honmono協会が、熊本県護国神社を舞台にしたショートフィルム「忘れてはならない歴史」の創作プロジェクトに参加しました。熊本県在住の会社経営者・鈴木田遵澄さんが発起人となり、作品の主演も務めたこのプロジェクト。戦勝国の英国でさえ戦没者を忘れつつあると知った鈴木田さんが、「日本でも国のため、家族のために戦地に散った英霊を後世に語り継いでいかねばならない」と考え、2019年に行われた墓前祭の参列者にこの企画を持ちかけてこのプロジェクトを結成したそうです。若手映画監督の霞翔太が監督をつとめ、Twitterなどで大きな反響を呼んだ2分20秒のショートフィルムをぜひご覧ください。

忘れられた歴史

熊本県護国神社。ここにはかつて戦争で命を失った多くの戦没者の碑が建てられています。

この神社の石段に座っているのは「歩兵第13連隊」の兵士たち。その中の一人が、境内を出て街へと歩きだしました。

自分が生きていたあの頃と違い、すっかり変わってしまった現代の街並み。人々はスマホに夢中で、兵士の姿は全く見えていないようです。

自分たちがあれだけ命をささげて戦ってきたにも関わらず、現代の人々はそのことをすっかり忘れてしまっている…。兵士はそんな街を見渡し、言いようのない感情に襲われます。

未来へつなぐ

そんな落ち込む兵士にも気が付かず、平気でたばこをポイ捨てする若者。雨に打たれ、意気消沈しながら護国神社に戻ると、いつのまにか晴れた空の下、満開の桜が咲いていました。

そして境内には、同じ想いを共にした戦友たちが、彼の帰りを待っていました。

すると、護国神社にある親子がやってきます。小さな女の子は両親と手を繋ぎ、大きな鳥居の前に来ると揃って一礼をしました。そして、出征前に親しい人々が寄せ書きをした「日章旗」や、戦争の歴史を伝える絵などを見ていきます。

最後に手を合わせ、両親の元へと駆け寄ろうとする女の子。そのとき、兵士たちの存在に気が付き、ニコニコしながら兵士たちに向かって手を振りました。多くの現代人に忘れられている一方で、この女の子の心にはしっかり届いていたようです。

そんな女の子の姿を見て、どこかホッとしたような表情を見せる兵士たち。そして、先ほどの兵士が、笑顔で手を振り返しました。

戦後75年目、熊本の郷土の景色や名所を舞台に制作されたこの事例。Honmono協会の代表を務める三井所さんは、「戦争の是非は人それぞれ考えがあって良いと思います。反省することも大切です。しかし、日本を守るために命を捧げた多くの若者がいたことを、私たち日本人は忘れないようにしたい。戦争の現実を語れる方は本当に少なくなりました。だからこそ、映像のチカラを通して、現在の平和は過去に大きな犠牲があったことを心に刻み、生きていけるような社会を創っていきたい。」と語っています。戦争について、そして現代を生きる私たちについて、様々なことを考えされられるショートムービーでした。

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