ビュロ菊だより「料理店の寝椅子──彼女たちとの普通の会話」3-3 ソプラノ歌手の林正子さんと


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├○ 対談メモ

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├○ 於)新宿某所

├○ 開始時刻) 20140301日午後09時半

├○ 終了時刻) 20140301日午前03

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■アサリと菜の花の炊き込みご飯です

 

給仕 ご飯と味噌汁をお持ちしました。アサリと菜の花の炊き込みご飯です。お分けさせていただきます。

 

林 旬の食材ですね。いい香りです。(ご飯を一口嚙みしめて)ああ、アサリが大粒でおいしい! 菊地さん、故郷の味なんじゃないですか。

 

菊地 いや、銚子はもっとナスティですから(笑)。こんなに上品じゃないです。というか、端的に言って銚子は醤油の街で、食材の中枢が醤油なんですよ。醤油を味わうために、いろいろな食材がまわりを彩っている感じで。

 

林 千葉は好きですよ。最初にソニーから出したアルバムのジャケットは片貝で撮ったんです。うーん、味噌汁もすごくおいしい。100パーセント、出汁を自前でとっていますね。これを飲んだら自分の味噌汁は飲めません。

 

菊地 ここは、出汁は二番だけと決めていて、一番出汁は出さないんですって。値段のことを言うといやらしいですけど、食事だけだったら20ユーロ強ですよ。このレベルを求めて赤坂や銀座に行ったら大変なことになる。

 

林 驚きです。先日北欧に行って、レトルトカレーに2000円払ったばかりです。死にたくなりましたよ(笑)。でもワインを飲み始めたら、いくらお金があっても足りませんね。ボーヌでものすごく欲しいワインがあったのですが、835ユーロもしたので開けられませんでした。

 

菊地 ワタシ、シュヴァル=ブランの2005年を伊勢丹の地下で買ったんです。日本円で16万円でした。支払いだけ済ませて、後日マネージャーに取りに行ってもらったのですが、彼は酒のことをまったくわからない男なんですね。行ったら支配人みたいな人に取り囲まれたらしくて、帰ってくるだに「あのワインは何だったんですか!?」って。

 

林 高い宝飾を運ぶときに店員や警備員がぞろぞろとやってくる、あの状況ですね。贈り物とかでなく、菊地さんが個人的にただ飲みたくて買われたのですか。

 

菊地 ええ。なんか、情けないぐらいの話ですが、あれが生まれてから今までで一番旨い赤でした。その後、ブルーノートで自分の公演をやるときに、同じ銘柄をメニューに入れました。115000円が完売しましたよ。林さんにご出演いただいたオーチャードホールのときも、ウェイティング・バーではバローロだのタンクレディだのをお客様に振る舞っているんです。

 

林 あら、まったく知りませんでした(笑)。私はいまだにバローロ・ボーイズに会ったことがないです。飲んでみたいですね、革命的なバローロを。

 

 

■ここでバンザイしましょう