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社会の所得格差の問題を取り扱ったトマ・ピケティの「21世紀の資本」が話題である。
私もパラパラとだが読んでみた。
(700ページもある大著なのでまだ熟読はしていない)
この本の様々な評論も読んだ。
今のところの感想としては、
典型的な旧来型の社会民主主義的な理論である。
その特徴は以下のとおり。
・貧富の格差を無くすために累進課税の強化を求める
・資本課税・資本規制の強化を求める
上記の二つは現在の格差社会を是正するための良い意見である。
問題は以下のことを資本主義経済の矛盾として指摘していないことだ。
・中央銀行と民間銀行のみが通貨発行権を独占していること
・銀行業によって通貨が作られるため、社会が借金まみれになること
・国家が通貨を作れないため、財政赤字を抱えてしまうこと
貧富の格差を問題視することは良いことだが、
資本主義経済の根源的な矛盾である銀行業による
通貨発行権の独占(FRBの株主であるロスチャイルドやロックフェラーのような
国際銀行財閥群)については全く問題視していない。
また殆ど論じてもいない。
ピケティ氏の本を読んでも、現在の金融経済をバブル化
させ格差をもたらす量的緩和政策や、社会保障の削減や
増税をもたらす莫大な財政赤字の問題
については何も解決しない。
中央銀行と民間銀行による通貨発行権の独占
こそが、現在資本主義経済の最大の矛盾であり問題なのである。
ピケティ氏の本が驚異的に売れている理由はクルーグマン
やスティグリッツのようなノーベル経済学賞の著名人、
更には様々な経済誌や大手メディアなどが積極的に
プッシュしてるためだ。
新自由主義に対する社会のバランサーの役割として国際金融
権力の側が新たに提案してきたものであろう。
通貨発行権と国際銀行財閥・金融軍事権力の問題
を取り上げず無意識化してきた従来の政治経済学の焼き直しである。
ピケティ現象を操作される民主政治の図で説明すると、
以下のような流れになる。
まず新自由主義が暴走する。(自由の拡大と平等の縮小)
次にバランサーとしての平等が提案される。(平等の拡大と自由の縮小)
しかし、このシステムそのものは変わらないので支配は維持される。
結局、通貨発行権を問題にしないピケティ氏の従来の社会
民主主義型の理論では、欧米日の自由民主主義体制が抱える
抜本的な問題の解決にはならないのである。
<参考リンク>もし私がトマ・ピケティ氏の著書『21世紀の資本』に対抗して『21世紀の資本論』を書けばどんな内容になるか