天野統康のブロマガ「マネーと政治経済の原理からニュースを読む」

日銀が100兆円もマネーをばら蒔いているのに、消費が上昇しない理由 家計への影響

2014/10/30 00:52 投稿

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「今回の記事」

日銀成長率下方修正へ 2014年度0.6%程度に 物価目標は維持 
日本経済新聞 10月28日

日銀が2014年度の実質成長率の見通しを1,0%から0.6%に引き下げた。
4月の消費税増税後でもたついているためだという。

何故、日銀が100兆円以上もマネーをばらまいているのにも関わらず
消費が回復せず、景気が本格的に上昇しないのか?

その理由は、政府が通貨を発行せず、中央銀行が発行する
システムの根本的な欠陥にある。

その原因と今後の影響について解説する。

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上記の図は、日銀が2013年から創造したマネー量を表したグラフである。

2013年から100兆円以上創造している。

にも関わらず景気がなかなか上向かず、今回の日銀の会合では、
成長率を0.6%に下方修正する有様である。

その原因は、消費税の増税による消費の冷え込が言われている。

しかし、最も根本的な原因は、中央銀行がマネーを創造しても
実体経済にそのマネーが流れにくいシステムになっていることにある。

中央銀行は銀行から国債を購入することで、マネーを市場に供給しようとしている。

一言で言えば、銀行にマネーを渡し、どうか好きに使ってください、
と言っているのである。

しかし、銀行は渡されたマネーを一円も貸出にはまわさない。
日銀から回されたマネーは貸出に使うことができず、金融経済の資産購入
に使用することができるのみ。

これは会計上のルールなのだからしょうがない。
その結果、
以下のような図の流れになる。

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日銀が渡したマネーは主に以下の二つの状態にある。

・民間銀行が日銀にあずけている当座預金に160兆円を豚済みしている 図1の段階

・金融経済に流れている。それが株高、一部地域の不動産上昇、円安などを演出している。図2の段階

それでは我々の生活している実体経済には流れてこないのか?

現在は金融経済に向かった資金が実体経済に向かうことを待っている図3の段階なのである。

しかし消費税の増税で実体経済の冷え込みが激しく、
金融経済の波及効果程度では本格的な景気回復には
弱いことが明らかになった。

日銀は100兆円を無から作り出しているのにも関わらずこの体たらく。

その一方で、金融経済は肥大化し日本を含めて世界的な債券、株、不動産
バブルを作り出すのに一役かっている。

このシステムの欠陥は、政府が通貨を作らず、中央銀行に通貨量のコントロール
を任せているところにある。

景気を回復させたいなら数兆円を、実体経済にばらまけば済む話である。

この単純なことができないために、現在のいびつな経済状況が
おこっているのである。

国際銀行財閥の影響下に日本があるために、政府も日銀もこのシステムで動くしかない。

実に情けないことだが、これが現実である。

<家計への影響>

景気失速に対応するために日銀は更なる金融緩和を行う可能性が
高まってきた。

日銀がマネーを創造すると更なる金融バブルが発生する。

アメリカのバブル崩壊などが起こらなければ、日本の金融資産
市場は債券、株、不動産、ゴルフ会員権など様々な資産の上昇圧力は
強まるだろう。


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