主張
代表質問と共産党
危機の核心突き転換迫る追及
安倍晋三首相は「危機」はあおるが打開の展望はない、自ら「崩壊的危機」にある政権だ―第2次安倍政権発足後初の所信表明演説と各党の代表質問を聞いての率直な感想です。政権を失った民主党や政権をけしかけるだけの政党にも打開策はありません。
日本共産党の志位和夫委員長は衆院で、市田忠義書記局長は参院でそれぞれ「デフレ不況」の打開や震災・原発、外交、環太平洋連携協定(TPP)参加などの問題をとりあげ、危機の核心を突き、政治の根本的転換を迫りました。国民の暮らしを守り本物の改革を目指す党の役割は鮮明です。
国民の願いに沿った提起
志位、市田両氏が代表質問で安倍首相にただした問題は今日の日本が直面し、国民が切実に打開を求めている問題です。安倍首相は所信表明演説で原発やTPPの問題にふれませんでしたが、それ自体無責任な態度です。
まず深刻な「デフレ不況」からどのように抜け出すのかです。安倍首相は「日本経済の危機」を叫び、金融緩和や財政出動など「三本の矢」の対策で「強い経済」を取り戻すといいましたが、危機の原因の分析も自らの責任への認識もありません。原因を明らかにせず対策を立てても、結果は“的外れ”になるだけです。
「デフレ不況」に陥った最大の原因は、働く人の所得が減り続けていることです。厚生労働省の最新の発表ではパート労働者を含む昨年の平均給与は1カ月平均で31万4236円と1990年以来最低になりました。日本をこんな「賃下げ社会」にした重大な責任は、大企業のリストラを放置し、労働法制を改悪して非正規雇用を拡大した歴代自民党政権にあります。
志位委員長は安倍首相に、「デフレ不況」の原因と責任についての認識をただすとともに、(1)国民の所得を奪う消費税増税などの中止(2)大企業・財界の身勝手な賃下げ・リストラを政治の責任でやめさせる(3)人間らしいくらしを保障するルールの確立―の「三つの決断」を迫りました。安倍首相が「デフレ不況」の原因をもっぱら「心理」の問題にすり替え、政府の責任を認めず、従来型の対策を並べるだけだったのは、安倍政権に「デフレ不況」に立ち向かう力がないことを示すものです。
志位委員長は安倍首相が所信表明演説でふれなかった原発問題についても、「安全神話」をふりまき大事故を引き起こしたことへの反省はあるのかと迫りました。第1次安倍政権時代の政府の「答弁書」を突きつけての志位氏の追及に、安倍首相は「おわび」を口にしましたが、「原発ゼロ」の政策を見直し、再稼働などを進める姿勢を示しました。「即時原発ゼロ」を願う国民に反する無責任な態度です。
政治を根本から変える
安倍首相は、市田書記局長がTPP参加の危険性を指摘し、所信表明演説でふれなかったのは参加反対の旗を下ろすつもりかと追及したのにも、まともにこたえません。米軍基地問題でも、沖縄県民の総意である米軍普天間基地の撤去やオスプレイの配備を撤回する姿勢はありません。
安倍首相が経済や外交の「危機」をあおり立てるのは結局、国民をだまして、国民に評判の悪い政策を押し付けるためです。政治の根本的転換がますます不可欠です。