主張
戦争法案衆院通過
空前の歴史的暴挙に抗議する
安倍晋三政権は、憲法9条をじゅうりんし、日本を「海外で戦争する国」につくり変えようとする戦後最悪の違憲立法である戦争法案の採決を、衆院の特別委員会に続き、本会議でも強行しました。憲法が政治権力を縛るという立憲主義を否定し、数の力で主権者国民の多数意思を踏みにじる独裁政治、専制政治そのものであり、戦後政治史に重大な汚点を残すものです。空前の歴史的暴挙に怒りを込めて断固抗議します。
最悪の憲法破壊法案
戦争法案は、戦後かつてない憲法破壊の法案です。
どの世論調査でも5~6割が「憲法違反」だと答えているように、これほど多くの国民から「違憲」との批判を受けた法案はありません。憲法と法律の整合性を審査する内閣法制局の歴代長官、自衛隊「合憲」論を唱えている憲法学者、首相官邸で自衛隊のイラク派兵を取り仕切った元政府高官、自民党の元幹部などまでが次々と「憲法違反」と指摘していることも、かつてなかった出来事です。
戦後の政治史上初めてと言われるほど、戦争法案に「違憲」の批判が集中するのは、安倍政権があまりにも乱暴に憲法解釈を転換させたからにほかなりません。
戦争法案では、憲法に違反する「他国の武力行使との一体化」を避ける制度的担保としてきた「非戦闘地域」という歯止めを撤廃しました。米国が海外で戦争に乗り出した際、自衛隊がこれまで「戦闘地域」とされてきた地域でも、弾薬の補給や武器の輸送などの軍事支援(兵站(へいたん))を行うためです。
形式的に「停戦合意」があれば、戦乱が続いている地域にも自衛隊を派兵し、治安活動を行わせるため、これまで憲法上慎重な検討が必要としてきた「任務遂行のための武器使用」もいとも簡単に認めました。
さらに、自衛隊創設以来一貫して集団的自衛権の行使は許されないとしてきた憲法解釈を百八十度転換し、米国とともに海外での武力行使に乗り出すことを可能にしました。米軍の違法な先制攻撃の戦争に自衛隊が参戦する道を開くためです。
衆院での審議を通じ、こうした戦争法案の違憲性はいよいよ明瞭になっています。
かつて政府の閣議決定(2004年6月18日付答弁書)は、「政府による憲法の解釈」について「それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたもの」であり、「政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではない」とし、「憲法解釈を便宜的、意図的に変更する」ようなことがあれば「政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねない」と警告していました。
安倍政権さらに追い詰め
戦争法案は、憲法解釈の「論理的な追求」を投げ捨て、米国追随の戦争国家づくりのためという「便宜的、意図的」な解釈変更によってつくられたものです。だからこそ、首相も「国民の理解が得られていない」と認めるように、大きく「国民の信頼が損なわれる」結果を引き起こしたのです。
矛盾を深めているのは安倍政権です。戦争法案を廃案にするため日々大きく発展している国民のたたかいを一層広げ、さらに追い詰めていこうではありませんか。
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