日本共産党の志位和夫委員長が17日に行った安倍晋三首相との党首討論は次のとおりです。
集団的自衛権行使が憲法違反との批判とともに、武力行使をしている米軍等への軍事支援、いわゆる「後方支援」について、「武力行使と一体化しないから憲法違反ではない」とする政府の主張に対しても、3人全員から、憲法に違反する、違反する恐れが極めて高くなるとの批判が寄せられました。小林節・慶応大学名誉教授は、「僕は一体化そのものだと思うんです。つまり兵站(へいたん)なしに戦闘というのはできませんから」と述べました。
こうして、いわゆる「武力行使との一体化」論は、安保法制の違憲性の最大の焦点の一つとなっています。
私は、先の本会議での代表質問(5月26日)で、政府が「後方支援」と呼んでいる活動は、国際的には兵站=ロジスティクスと呼ばれる活動であること、兵站が武力行使と一体不可分であり、軍事攻撃の格好の目標とされること、これは世界の常識であり、軍事の常識であることを指摘し、「政府のいう『武力行使と一体でない後方支援』など、世界ではおよそ通用するものではない」とただしました。
それに対して総理は、「世界で通用しないといったご指摘は当たりません」と答弁されました。政府の主張は“世界で通用する”と答弁されたのです。
そこでうかがいます。「他国の武力行使と一体でない後方支援ならば武力の行使とみなされない」という国際法上の概念が存在するのか否か、端的にお答えください。国際法上の概念です。
安倍晋三首相 「一体化」論についてはですね、これは、国際法上の観点から議論していることではなくて、憲法との関係において概念を整理したものであります。それはもう、委員長もご承知のとおりでありまして、憲法の、いわば禁止する武力の行使に当たらないという、いわば後方支援、一体化しない後方支援というものを憲法との関係の概念で申し上げているわけでありまして、国際法との関係ではないわけであります。
志位 いま、総理は、国際法上の概念ではないという答弁をおっしゃいました。さらに明確に聞いていきたいと思います。
たとえば、1999年2月の衆議院外務委員会で、当時の外務省・東郷(和彦)条約局長は、次のような答弁をしております。
「武力行使との一体化、これは、我が国がみずから直接武力行使をしていないとしても、個々の具体的状況によっては我が国も武力行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るとする考え方でございますが、自衛のための必要最小限の範囲を超える武力の行使を禁じている日本国憲法との関係で用いられている概念でございます。
したがいまして、国際法上はこのような武力行使との一体化という確立した概念が存在するわけではございません…、…武力行使との一体化の英訳についても確定したものがあるわけではないわけでございます」
国際法上は、概念そのものが存在しない、英訳すら確定したものがない(と言っている)。総理は、私に対して、「世界で通用しないといったご指摘は当たらない」と答弁されたんですね。しかし、「武力行使と一体でない後方支援」という議論こそ、世界で通用しない議論ではありませんか(「そうだ」の声)。いかがですか。世界で通用しないとお認めください。(拍手)
首相 先ほどですね、私はまさに、国際法上の概念ではなくて、憲法との関係で一体化しないという話について申し上げたわけでありますから、東郷局長もその考え方と同じ答弁をされているわけでございます。
そこで、志位委員長とですね、私は、この世界の常識等々について議論したということは、必ず兵站は狙われるという議論のなかにおいて、必ず、いわば戦闘に巻き込まれるという議論の中において、質問があったわけでございますから、私はそうではなくてですね、兵站というのは極めて重要であり、いわば兵站においていろんな物資を届けるわけでありますから、そこがもちろん脆弱(ぜいじゃく)性があるわけでありまして、だからこそ安全な場所を選んで、そしてその届ける物資が奪われてしまってはですね、まさにこれは大変なことになるわけでありますから、だからこそ、われわれはそうはならない場所を選んで後方支援をしていくということについてお話をさせていただいたわけでございます。
志位 兵站は安全な場所を選んで行うとおっしゃいましたけれども、兵站は軍事攻撃の格好の標的になる。軍事の常識です。そして、自衛隊が兵站をやっている場所が戦場になるんですよ。
私が聞いた質問にお答えになっていない。「一体化」論というのは、世界で通用しない議論だとお認めください。いかがですか。
首相 つまりこの、この、「一体化」論というのはですね、これはもう従来から答弁をしているように、憲法との関係において「一体化」論をわれわれはとっているということは申し上げているとおりでありまして、これは国際法上、それが「一体化」論というのが通るということを私が申し上げたことは一回もないわけでございます。
その中においてですね、その中において、このいわば後方支援をどのように実施をするかということについて、これは必ず戦闘に巻き込まれるわけではない、必ず戦争に巻き込まれるというご議論がございましたから、そうではなくて、われわれは、むしろ、こうした物資を届ける場所、大切な業務ではありますが、大切な物資を届けるからこそですね、安全な場所で相手方に渡す、これがいまや私は常識ではないかと、このように申し上げたわけでございます。
志位 国際法上は(「武力行使と一体でない後方支援」という)概念そのものがないということについて、総理は否定できませんでした。これは、世界で通用しない議論なんです。
自衛隊の活動地域を世界的規模に拡大し、地球の裏側までの派兵を可能にしながら、「武力行使と一体化しない」などという世界のどこにも通用しない議論を盾に、自衛隊が行う「後方支援」はあくまで武力の行使に当たらない、憲法違反ではないなどという詭弁(きべん)を言い募ることは断じて許されるものではありません。
憲法9条に違反する戦争法案を即時廃案にすることを強く求めて終わります。(大きな拍手)
志位 「武力行使と一体でない後方支援」という国際法上の概念が存在するか
首相 国際法との関係(の概念)ではない
志位和夫委員長 政府提出の安保法案に対して、先の憲法審査会で、3人全ての憲法学者から「憲法違反」との批判が述べられました。集団的自衛権行使が憲法違反との批判とともに、武力行使をしている米軍等への軍事支援、いわゆる「後方支援」について、「武力行使と一体化しないから憲法違反ではない」とする政府の主張に対しても、3人全員から、憲法に違反する、違反する恐れが極めて高くなるとの批判が寄せられました。小林節・慶応大学名誉教授は、「僕は一体化そのものだと思うんです。つまり兵站(へいたん)なしに戦闘というのはできませんから」と述べました。
こうして、いわゆる「武力行使との一体化」論は、安保法制の違憲性の最大の焦点の一つとなっています。
私は、先の本会議での代表質問(5月26日)で、政府が「後方支援」と呼んでいる活動は、国際的には兵站=ロジスティクスと呼ばれる活動であること、兵站が武力行使と一体不可分であり、軍事攻撃の格好の目標とされること、これは世界の常識であり、軍事の常識であることを指摘し、「政府のいう『武力行使と一体でない後方支援』など、世界ではおよそ通用するものではない」とただしました。
それに対して総理は、「世界で通用しないといったご指摘は当たりません」と答弁されました。政府の主張は“世界で通用する”と答弁されたのです。
そこでうかがいます。「他国の武力行使と一体でない後方支援ならば武力の行使とみなされない」という国際法上の概念が存在するのか否か、端的にお答えください。国際法上の概念です。
安倍晋三首相 「一体化」論についてはですね、これは、国際法上の観点から議論していることではなくて、憲法との関係において概念を整理したものであります。それはもう、委員長もご承知のとおりでありまして、憲法の、いわば禁止する武力の行使に当たらないという、いわば後方支援、一体化しない後方支援というものを憲法との関係の概念で申し上げているわけでありまして、国際法との関係ではないわけであります。
志位 いま、総理は、国際法上の概念ではないという答弁をおっしゃいました。さらに明確に聞いていきたいと思います。
志位 「武力行使との一体化」論こそ、世界で通用しない議論ではないか
首相 (答弁できず)兵站は安全な場所を選んでおこなう
志位 兵站は軍事攻撃の格好の標的、自衛隊が兵站をやっている場所が戦場となる
志位 この問題で、政府は、明確な答弁をしております。たとえば、1999年2月の衆議院外務委員会で、当時の外務省・東郷(和彦)条約局長は、次のような答弁をしております。
「武力行使との一体化、これは、我が国がみずから直接武力行使をしていないとしても、個々の具体的状況によっては我が国も武力行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るとする考え方でございますが、自衛のための必要最小限の範囲を超える武力の行使を禁じている日本国憲法との関係で用いられている概念でございます。
したがいまして、国際法上はこのような武力行使との一体化という確立した概念が存在するわけではございません…、…武力行使との一体化の英訳についても確定したものがあるわけではないわけでございます」
国際法上は、概念そのものが存在しない、英訳すら確定したものがない(と言っている)。総理は、私に対して、「世界で通用しないといったご指摘は当たらない」と答弁されたんですね。しかし、「武力行使と一体でない後方支援」という議論こそ、世界で通用しない議論ではありませんか(「そうだ」の声)。いかがですか。世界で通用しないとお認めください。(拍手)
首相 先ほどですね、私はまさに、国際法上の概念ではなくて、憲法との関係で一体化しないという話について申し上げたわけでありますから、東郷局長もその考え方と同じ答弁をされているわけでございます。
そこで、志位委員長とですね、私は、この世界の常識等々について議論したということは、必ず兵站は狙われるという議論のなかにおいて、必ず、いわば戦闘に巻き込まれるという議論の中において、質問があったわけでございますから、私はそうではなくてですね、兵站というのは極めて重要であり、いわば兵站においていろんな物資を届けるわけでありますから、そこがもちろん脆弱(ぜいじゃく)性があるわけでありまして、だからこそ安全な場所を選んで、そしてその届ける物資が奪われてしまってはですね、まさにこれは大変なことになるわけでありますから、だからこそ、われわれはそうはならない場所を選んで後方支援をしていくということについてお話をさせていただいたわけでございます。
志位 兵站は安全な場所を選んで行うとおっしゃいましたけれども、兵站は軍事攻撃の格好の標的になる。軍事の常識です。そして、自衛隊が兵站をやっている場所が戦場になるんですよ。
私が聞いた質問にお答えになっていない。「一体化」論というのは、世界で通用しない議論だとお認めください。いかがですか。
首相 つまりこの、この、「一体化」論というのはですね、これはもう従来から答弁をしているように、憲法との関係において「一体化」論をわれわれはとっているということは申し上げているとおりでありまして、これは国際法上、それが「一体化」論というのが通るということを私が申し上げたことは一回もないわけでございます。
その中においてですね、その中において、このいわば後方支援をどのように実施をするかということについて、これは必ず戦闘に巻き込まれるわけではない、必ず戦争に巻き込まれるというご議論がございましたから、そうではなくて、われわれは、むしろ、こうした物資を届ける場所、大切な業務ではありますが、大切な物資を届けるからこそですね、安全な場所で相手方に渡す、これがいまや私は常識ではないかと、このように申し上げたわけでございます。
志位 国際法上は(「武力行使と一体でない後方支援」という)概念そのものがないということについて、総理は否定できませんでした。これは、世界で通用しない議論なんです。
志位 世界のどこにも通用しない議論を盾に、憲法違反でないと詭弁を言い募ることは断じて許されない
志位 総理の諮問機関である安保法制懇に参加したただ一人の憲法学者である西修氏は、「武力行使との一体化」論について、「不明確性、非現実性、非論理性、非国際性、無責任性という5点において、基本的な問題がある」と批判し、先の外務省の答弁を引用して「政府自身が国際的には説明できないと告白している」と指摘しております。自衛隊の活動地域を世界的規模に拡大し、地球の裏側までの派兵を可能にしながら、「武力行使と一体化しない」などという世界のどこにも通用しない議論を盾に、自衛隊が行う「後方支援」はあくまで武力の行使に当たらない、憲法違反ではないなどという詭弁(きべん)を言い募ることは断じて許されるものではありません。
憲法9条に違反する戦争法案を即時廃案にすることを強く求めて終わります。(大きな拍手)
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