主張
軍事費 過去最大へ
異常きわまりない突出ぶりだ
安倍晋三内閣は、14日に閣議決定する2015年度予算案に盛り込む軍事費(防衛関係費)について、過去最大の約4兆9800億円(14年度比で約2%増)にする方向で最終調整を行っています。消費税増税や社会保障費削減の一方で、安倍内閣が進める集団的自衛権行使容認の具体化をはじめ「海外で戦争する国」づくりを一層加速するのが狙いです。国民の命と暮らし、安心・安全を脅かす軍拡予算は許されません。
自衛隊の「海兵隊化」
米軍再編関係経費などを含む軍事費は、厳しい財政状況から、02年度の4兆9560億円をピークに12年度(4兆7138億円)までの10年間、おおむね減少を続けてきました。ところが、12年末に発足した第2次安倍内閣は軍拡路線に転換し、13年度は前年度比0・8%増の4兆7538億円、14年度は同2・8%増の4兆8848億円となりました。防衛省は昨年8月、15年度予算案の概算要求で、過去最大となる5兆545億円を計上していました。
15年度予算案で4兆9800億円になれば、3年連続増となります。漸減とはいえ10年かけて圧縮されてきた軍事費はわずか3年で元に戻るどころか、一気に上回ることになります。安倍軍拡路線の突出ぶりはあまりに異常です。
中身も、極めて危険です。安倍内閣が、従来の「専守防衛」の理念を後景に追いやり、陸海空自衛隊が一体となって海外派兵など多様な軍事作戦を迅速かつ継続的に行う「統合機動防衛力」構想を打ち出した「防衛計画の大綱」を具体化するものだからです。
垂直離着陸機V22オスプレイ(5機)や水陸両用車AAV7(30両)の調達、事実上の強襲揚陸艦導入に向けた調査などを盛り込み、自衛隊の海外侵攻能力を高める「海兵隊化」の動きをさらに加速しようとしています。
ステルス戦闘機F35(6機)や無人偵察機グローバルホーク、新イージス艦など、最新鋭兵器の導入も目白押しです。
新たに建造するイージス艦には、味方のイージス艦がレーダーで探知した敵の巡航ミサイルの位置情報などを共有し、素早く迎撃するシステム(共同交戦能力)が搭載されると報じられています。米海軍は既に空母やイージス艦に搭載しており、米艦を狙ったミサイル情報を自衛隊のイージス艦が共有し迎撃することが可能になるとされています。
集団的自衛権行使の一つの事例として挙げられてきたものであり、安倍内閣が今年の通常国会で狙う安全保障法制整備の先取りとして重大です。
補正予算案ほぼ倍増
安倍内閣が9日に閣議決定する「緊急経済対策」を名目にした14年度補正予算案で、約2110億円(歳出ベース)の軍事費を計上しようとしていることも見過ごせません。13年度補正予算1197億円からほぼ倍増です。
具体的な内容を見ると、沖縄の普天間基地に代わる米軍新基地建設や米空母艦載機部隊の厚木基地から岩国基地への移転に伴う施設整備費、軽装甲機動車の整備費など、軍事強化策が中心です。どこが景気回復のためなのか。
集団的自衛権行使容認の「閣議決定」撤回、法制化中止とともに軍拡を阻止することが重要です。
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