主張
消費税10%の増税
先送りでなくきっぱり中止を
増税不況の深刻化や「アベノミクス」の行き詰まりで来年10月からの消費税再増税が困難になった安倍晋三首相が、増税を先送りし、衆院の解散・総選挙で国民の信を問います。来年10月の増税を2017年4月まで1年半先送りしても、増税の実施に変わりはありません。税率10%の消費税で国民の消費が冷え込み、暮らしも経済も破壊される不安は同じです。庶民いじめの最悪の増税である消費税増税は、先送りで実施するのではなく、きっぱり中止すべきです。
安心して買い物できない
4月に消費税の税率を5%から8%に引き上げて8カ月近く、国民の消費は一気に冷え込み、いまだに回復していません。国内総生産(GDP)は、4~6月期の年率7・3%減に続き、7~9月期も1・6%減と、2期連続の後退となりました。なかでも個人消費(民間最終消費支出)は4~6月期に18・6%も落ち込んだあと、7~9月期もわずか1・5%の増加と、ほとんど増えていません。自動車などの売り上げ減で企業の設備投資も落ち込み、民間住宅建設も大幅減が続いています。
かつてない異常な金融緩和などで経済を再生するとした「アベノミクス」は、株高と円安を招き、大企業や大資産家のふところを豊かにしただけで、国民の所得を増やしていません。それどころか円安に増税が加わり消費者物価が上昇、労働者の実質賃金はマイナスです。「アベノミクス」が格差を拡大しただけで、国民の暮らしに役立っていないのは明白です。
安倍首相が来年10月からの消費税の再増税を延期しなければならなくなったのは、「アベノミクス」による増税路線の破綻と、増税に反対する国民世論で追い込まれた結果です。しかし「先送り」はあくまでも増税が前提です。増税反対の国民世論に応えられないばかりか、やがて増税が強行されれば同じように消費を冷え込ませ、暮らしと経済を破壊します。
だいたい、いずれ消費税が増税されることが分かっていて、国民が安心して消費に回せるでしょうか。4月からの消費税増税の際にも安倍政権は、増税前には駆け込み需要が起き、その後短い期間で消費は回復するといいました。ところが駆け込み需要は期待したほど起きず、増税後の消費の冷え込みの長期化は、再増税に備えたためでもあります。「先送り」だけでは効果がないのは明らかです。
しかも安倍政権は増税の先送りに合わせて、現在の増税法に盛り込まれている、景気が悪くなれば増税を中止する「景気条項」を廃止するといいだしています。先送りしたあとの増税は文字通り待ったなしです。これでは問答無用の強権政治そのものです。
「10%ストップ」の審判を
安倍首相は増税の先送りと合わせて、円安などの対策をとるといいます。しかし、大企業を肥え太らすだけの「アベノミクス」がそのままでは、国民の暮らしはよくなりません。先送りしても、破綻した増税路線は取り繕えません。
消費税の10%への増税は「先送り実施」ではなく「きっぱり中止」すべきです。国民の所得を増やす経済改革と富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革で、消費税増税に頼らない道を進むべきです。総選挙は「10%ストップ」の審判を下す絶好の機会です。
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