参院決算委 井上氏追及
「庶民には消費税を増税して、なぜ大企業には減税なのか」。日本共産党の井上哲士議員は9日の参院決算委員会で、大企業の法人税負担が減りっぱなしのデータを示し、法人税減税に肩入れする安倍内閣を批判しました。
井上氏は、トヨタの法人税ゼロから追及の口火を切りました。2008年度から5年間法人税(国税分)を払っていなかったトヨタ自動車が、新聞広告では消費税増税も「また楽しからずや」と言いはなっている、安倍晋三首相はどう思うかとただしました。
安倍首相は、過去の赤字によってトヨタ法人税がゼロだった事実を認めつつ、「トヨタがどんと税金を払ってもらえるようになったことは良かった」と、トヨタ社長の会見とそっくりの答弁。賃上げにも協力してもらったと感謝の言葉をおくりました。
日本の法人税実効税率35%は高いから国際競争力をつけるため引き下げるというが根拠になるのか―。井上氏は、大企業がこの6年間で実際に負担した法人税(国と地方)の割合(表)を示しました。本田技研18%、日産10・9%、キヤノン27・8%、三菱商事6・2%、小松製作所13・7%です。井上氏は、海外子会社からの配当非課税や研究開発減税などでばく大な優遇措置を受けている実態を突きつけました。
「国の財政も庶民の暮らしも大変なときに法人税減税は逆行している」と井上氏。甘利明経済・財政担当相は「企業が投資を増やす環境をつくるため」と合理化しました。
経済の好循環をつくるという安倍首相に対し井上氏は「法人税減税をやっても賃金には回らず、大株主をもうけさせ、内部留保をため込ませるだけだ」と批判。98年・99年度の法人税率引き下げの直前の5年間と引き下げ後の5年間の平均値を比較したデータで、企業の経常利益が2倍以上に増え、株主への配当や社内留保も3倍前後に増加する一方で、従業員の給与は逆に減っている事実を示しました。