日本共産党の山下芳生書記局長は21日夜、東京都内で開かれた日本政策学校(代表理事・金野索一氏)主催の公開講座に講師として招かれ、約60人の受講生らを前に「資本主義とブラック企業」をテーマに1時間にわたり講演し、その後質問に答えました。
政府を動かす
同学校は、主義主張・政党を超えた多様な民意を反映する「政治リーダー」の育成を目的に2011年に開校。おもに保守政治家を講師に招いてきました。日本共産党の国会議員を招いたのは今回が初めてです。
講演で山下氏は、ブラック企業がはびこる根本原因には、派遣労働の原則自由化など労働法制の規制緩和があると指摘。日本共産党が国会でブラック企業根絶のための対策を政府に迫り、ブラック企業規制法案を提出した結果、厚労省が5000社以上の企業を調査し、違法な時間外労働などを是正指導したほか、離職率、賃金体系などの情報公開を企業に指導するなど、すでに政府を動かし始めた成果も紹介しました。
その上で、「日本共産党は、この日本の社会の進歩がいまの資本主義で止まるとは考えていません。資本主義を乗り越えた未来社会=社会主義・共産主義の社会に進むことを展望しています」と紹介しました。同時に、当面は資本主義社会のもとでのルールある経済社会づくりが目標だと述べ、欧州なみの経済・雇用のルールをつくる必要性を力説しました。
受講生からは「“もっと安いものを買いたい”という私たち消費者の目先の利益が企業を追い詰め、ブラック企業を生んでいるのでは」との質問が出ました。
「話は刺激的」
山下氏は「人間らしく働けるルールは、個々の企業の経営者の善意や理念に任せていたのでは絶対にできない。なぜなら競争しているからです」と述べ、強制力のあるルール=法律の規制がないもとでは、経営者や消費者の理念だけでは雇用問題は解決しないことを明らかにしました。
「共産主義や社会主義では集団主義になり、自由が奪われるのでは」との質問に、山下氏は「生産手段の社会化で自由な時間がうんと拡大し、人間の能力が全面的に花開きます」と、日本共産党の未来社会論を丁寧に語りました。
日本維新の会やみんなの党に共感しているという男性(33)は「マルクスの本も読んだことがなかったので、山下さんの話は刺激的だった」。同学校の理事も「未来社会論についての話ももっと聞きたい」との感想を語っていました。
コメント
コメントを書く