日本共産党の志位和夫委員長は4日、国会内で記者会見し、「福島第1原発事故から3年たちましたが、この間、あたかも事故がなかったかのように新しい『安全神話』が大手を振って復活しつつあります」と指摘し、つぎの二つの重大な動きに言及しました。
第一は、自民と公明が「修正合意」した「エネルギー基本計画案」です。
志位委員長は自公の「修正案」が“原発の永久化・核燃料サイクルの推進”という政府案をそのまま認めたうえに、「政府案をさらに後退させた点」として、冒頭の「はじめに」に明記されていた「安全神話」への「深い反省」の文言を削除したことをあげました。「『安全神話』の反省は、福島原発事故のもっとも重要な教訓です。それを薄め、弱めた内容になっているのは、与党のいまの姿勢を象徴しています」とのべました。
第二は、トルコとアラブ首長国連邦に原発を輸出するための原子力2協定の承認が自民・公明、民主の賛成で強行されたことです。
志位委員長は、「国内では『原発に絶対安全はない』と言いながら、海外では『世界一安全』と言い、輸出に奔走するのは無責任の極みです。トルコは日本と同じ世界有数の地震国で、二重に無責任な対応です。新たな『安全神話』の輸出というべき暴挙です」と厳しく批判しました。
そのうえで、「こうした流れのなかで原発の再稼働に突き進み、原発の永久化を図るのは絶対に容認できません。国民のたたかいを発展させ、新たな『安全神話』の復活を包囲し、とめていきたい」と表明しました。
公約破りの「原発永久化」
エネルギー基本計画案 自公が了承
与党、自民・公明両党が3日のワーキングチームで政府のエネルギー基本計画原案を了承したことを受け、安倍晋三政権は来週にも閣議決定を狙っています。同計画案は、国民の反対世論を無視して原発の使用を続ける「原発永久化」宣言です。
政府原案は、原発を、費用が安く安定的な「重要なベースロード電源」と位置づけ、核燃料サイクルの「推進」を明記。一方、日本に豊富に存在し、国産エネルギーでもある太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、需要の大きな時間帯の調整電源と位置づけ、導入目標も示していません。
自公のワーキングチームは、実用化のめどが全く立っていない高速増殖炉もんじゅについて、放射性廃棄物の容積を減らすことの技術などの「国際的な研究拠点」とし、存続することにしました。再生エネの導入目標については、2010年に打ち出した「30年時点で約2割」(発電比率)など、これまでの政府の導入目標を参考として脚注に盛り込み、「さらに上回る水準の導入を目指す」との文言を加えるにとどめました。
今回の基本計画案は、「原子力に依存しない社会を目指す」(自民)、「再生エネを30年までに電力の30%に」(公明)などとした両党の公約とかけ離れたものとなりました。