主張

世界一高い学費

国際公約を守って無償化へ

 私立大学の学費値上げの動きが、報道され、受験生や父母に不安が広がっています。4月からの消費税増税が引き金になっているだけに、政府の責任が問われています。

私大で学費値上げ

 私立大学の初年度納付金は平均で131万円、国公立大学も81万円を超えます。高校と大学に通えば、就学費用に1千万円もかかるといわれています。私立大学入学時の経済的負担を「重い」と答えている家庭は9割にのぼります。

 経済的理由で進学をあきらめる若者が増え、経済的理由で退学に追い込まれる学生も1万人近くにのぼります。これ以上の負担増を避けるためにも、私立大学への緊急助成など対策が必要です。

 親の収入が減るもとで、奨学金に頼る学生は、全体の半数に増えています。返還額は文科省によると学部卒で300万円、大学院博士課程修了で1千万円に上ります。労働法制の規制緩和で低賃金の非正規雇用が広がり、奨学金を返したくても返せない若者が増え、自己破産に追い込まれる若者もいます。若者にこれほど冷たい国に未来はありません。

 欧州では、「誰もがお金の心配なく学べるように」と学費を徴収するどころか、生活費まで支えています。経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国中17カ国は大学授業料を無償化し、給付制奨学金導入は32カ国に広がっています。

 「日本の学費は世界一高いうえに奨学金はまるでサラ金だ」。運動の広がりと日本共産党の国会での追及で、政府は一昨年9月、高等教育の学費を段階的に無償化することを定めた国際人権A規約13条2項(c)をようやく受け入れました。しかも、下村博文文科相は、教育予算を国内総生産(GDP)比でOECD加盟国の平均並みに増やせば、大学までほぼ無償化できると国会で答弁しています。

 ところが、政府は、国立大学への運営費交付金を10年で1300億円も削減し、私立大学への経常費に対する助成の割合を、1980年の29・5%から10・4%に減らしています。世界への無償化の公約を守り、大学予算を増やし、学費を引き下げるべきです。

 日本共産党の宮本岳志衆院議員は、昨年4月の国会質問で、奨学金の返還を延滞したら10%もの延滞金を課し、9カ月滞納で法的措置を取るなど日本学生支援機構がサラ金のように若者を追い詰める実態を告発し、給付制奨学金の実現を迫りました。これを受け、政府は、来年度から延滞利率を5%に、返済猶予期間の5年から10年への延長などの改善措置は取りました。しかし、給付制奨学金は、自民党が一昨年の総選挙で、公約しながら見送っています。

 宮本議員は、2月17日の国会質問で「大企業には8千億円も法人税減税しながら、学生には数十億円でできる給付制奨学金を出せないのか」と厳しく追及しました。文科相は、OECD加盟国で授業料無償化も給付制奨学金の導入もしていないのは日本だけと認め、安倍晋三首相は給付制奨学金の創設を検討すると答弁しました。

給付制奨学金を直ちに

 多くの大学で学費署名などの運動が広がっていることは希望です。日本共産党は学生のみなさんと力を合わせ、給付制奨学金、学費無償化の実現に全力をあげます。