2012年12月の総選挙で、安倍晋三首相をはじめ自民党の候補者239人が、みずから支部長を務める政党支部から国民の税金である政党助成金を自分あてに「寄付」していたことが本紙の調べでわかりました。その“お手盛り”の総額は、じつに17億6000万円以上。憲法違反の政党助成金にメスを入れる必要性をあらためて浮き彫りにしました。

 2012年分の政党交付金使途等報告書の「選挙関係費」の支出をみると、12月4日の総選挙公示日を前後して、自民党の各選挙区支部が、支部長の政治家あてに「寄付」「寄付金」名目で500万円、1000万円、1300万円と多額の支出をしています。

 この“お手盛り”寄付をしていたのは、300人を超す同党の候補者のうち、239人にのぼり、総額は17億6456万6525円にもなります。平均すると738万円。

安倍首相先頭に

 安倍首相と自民党出身の17人の閣僚のうち、首相と12人の政党支部がみずからに「寄付」しています。もっとも多かったのは、稲田朋美行政改革担当相で1100万円。古屋圭司国家公安委員長は、公示翌日の12月5日に200万円、6日に221万円、選挙後の19日に200万円、21日に400万円と4回にわけて計1021万円を、自分の支部から受け取っています。

 茂木敏充経済産業相は1000万円、下村博文文部科学相は700万円、安倍首相、麻生太郎副総理・財務相らは500万円です。

きっかりと使い

 こんな議員もいます。

 山梨3区から立候補、比例で復活、初当選した中谷真一衆院議員の支部は、1900万円の政党助成金を党本部から受け取り、人件費457万5782円、ポスター印刷代42万8400円を支出、公示前の11月17日に960万円を自分に「寄付」、年末の12月27日に17万8031円をふたたび、自分に「寄付」―などなど。きっかり1900万円を使いきりました。

 福田康夫元首相の長男で、群馬4区から立候補、初当選した福田達夫衆院議員の支部は、公示直前の11月27日に1300万円の政党助成金を党本部から受け取り、同日に500万円、12月1日に500万円、同8日に300万円と、全額を自分に「寄付」しています。

 政党助成金の原資は国民の税金なのに、使途については基本的に条件も制限も課していません。多額な「寄付」を自分におこなった後、どんな使われ方をしたのかは、不明のまま。税金で肥え太ってもチェックできないのは問題です。