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 石川 温の「スマホ業界新聞」

                                                  2012/10/27(vol.007)

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《目次》

1.ついに「iPad mini」発表

━━アップルが7インチを投入する意味とは

2.「iPad miniは買いか、待ちか」

━━発表会で触った印象を正直に告白

3.サンフランシスコぶらぶら旅

━━ アップル、グーグル、EVERNOTEを訪ねてみた

4.今週のリリース&ニュース

5.編集後記

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1.ついに「iPad mini」発表

━━アップルが7インチを投入する意味とは

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 アップルが新製品「iPad mini」を発表した。

 サイズは噂通りの7インチ台。かつて、スティーブ・ジョブズは7インチのタブレットに対し、「7インチは中途半端だ。スマートフォンと戦うには大きすぎるし、iPadと戦うには小さすぎる。7インチタブレットはDOA(Dead on Arrival 、到着時死亡、即死)」と発言したとされている。

 では、なぜアップルはこのタイミングで7インチ「iPad mini」を出してきたのか。

 水曜日に書いた日経新聞電子版コラムでは「ジョブズの意向を忘れ、ティム・クックがシェア拡大のために出したのではないか」と指摘した。

 しかし、アップルとサムスンの訴訟合戦で公開された電子メールや証言によると、幹部からの説得により、ジョブズは7インチタブレットの必要性に理解を示していたとされる。生前の2011年には、7インチ「iPad mini」への開発に携わっていた可能性がある。チップセットやディスプレイパネルの調達、さらにはiPhone5との発売タイミングを見計らって上で、今回に発表につながったという見方もできそうだ。

 10月25日に開催されたアップルの2012年第4四半期の決算会見では、ティム・クックが、スティーブ・ジョブズの7インチタブレット「DOA」発言について言及している。それを踏まえてクックCEOは「ジョブズが指摘しているのはSamsung、Asus、Googleの製品のことである」とコメントしたとされる。

 他社の7インチタブレットは即死であるが、アップルが作る革新的な7インチタブレットは間違いなく「成功する」というわけだ。 

 アップルの発表以後、多くの人やメディアから「iPad miniは売れると思うか」という意見を求められる。そんな時には必ず「iPad mini単体で見るのではなく、シリーズで『売れる』とみたほうがいい」と答えるようにしている。

 iPad miniは単体の商品としては完成度も高く、高級感もあり、とても良くできた製品だ。買って後悔することはなく、所有する満足度はかなり高い。

 消費者からすると、アップルストアや家電量販店に行き、iPad miniを前にして「この大きさで満足できるだろうか」と悩むことだろう。また「Retinaじゃないのが不満」と考える人もいるはずだ。一方で、iPad miniを触った瞬間に「もっと持ち歩きやすいのがいい」と不満を感じる人も少なからずいるだろう。