鷲ヲともふさ のコメント

なるべくは世の道理を見抜く洞察力を持って物事を深く考える野郎になりたいと思っていたのだが、「卑怯者の島」に魂消る。

15日に、他のよしりんマンガ愛好家同様に本屋を巡るも「卑怯者の島」が入手出来ずに爪を噛み、砂を噛む心持ちで明くる日を待ち、16日に北関東の片田舎の書店に平積みされてあるのを発見し、喜びの奇声を発して手にすると、女房に世間体の悪い真似はよせと厳重注意を受ける。
配偶者から非難を浴びるほどに浮かれて、スキップを踏みながらレジへ本を持ってゆくキモいおっさんと化した夕べ。

帰宅して早速熟読する。
たくさんのマンガや映画や小説に触れてきている年輪を重ねたアラフォーおやじともなると、大体のストーリー展開を予想して楽しむのはSAGA.性(サガ)であり、ほっほーん、タイトルである「卑怯者の島」ちうのは畢竟、現代の島国ニッポンのことであるのだろうから、ラストはその主題へと収斂されてゆくのだろうなどと嫌らしい好事家みたいな心理を働かせて読み進めていたら、ラストに喫驚仰天で生き肝を抜く。

「東大快進撃」の最終回はマンガ史に残る喫驚なラストであると思う。
この作品の最終回を超える喫驚なラストを描いた物語を俺は知らない。
その喫驚を「卑怯者の島」は悠然と超えやがった。
戦争論シリーズを超えるのは新戦争論シリーズしかないように、小林よしのりを超えるのは小林よしのりしかいないという証明をまた見せつけられた。

頭の中にさまざまな思念が巡り、理屈をこねくる。
深く思考して合理的判断を下す冷静さが人間に臆病を引き寄せ、洞察力があるがゆえにクールダウンして、生に執着し、価値ある命の使い道を謳いながら死を忌避する。
ならば、考えることそのものが卑怯なのか。
思考することは卑怯であり、勇敢とは無心に行動することなのか。
ヒートアップした死狂いの状態になれなければ勇敢は発揮されないのか。
卑怯は正気であり、勇敢は狂気
なのか。
なんてな屁理屈をこねくらなくとも、理屈抜きで面白いエンタテインメント大作であった。

とりあえず分かったのは、女ってコワイってこと。
女の笑顔がとにかく怖い。
女が、一番クール。

No.72 113ヶ月前

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