松葉 のコメント

 昨日、予約していた「卑怯者の島」を買って読みました。
わしズム掲載分までは読了していましたので、続きを読み終えると、様々な気持ちや考えが噴出して錯綜し、感想を書きたくてもすぐには書けませんでした。
 矢賀隊長の手帳のくだりは、夫婦の恋慕の情をこれでもかと訴えてきて、悲しく美しいと感じました。
また、その話を聞きながら驚いている兵士たちの表情が対照的で印象に残ります。
しかし、第7話以降の神平と通明のマドンナ的存在であったと思われる美奈の話は、感情をぶつけあい、どろどろした現実が描かれてあり、通明に責められて動揺する美奈と一緒に私も動揺していました。
軍神様がふんどしの尻を見せながら台車から転がり落ちる絵は衝撃です・・・。
 神平が祖国に戻り、そこで見た人々の姿は現代も変わらず続いており、またそのことが自分も思い当たる節があって、とにかく7話以降はちくちくと針で刺されるような気持ちで読み進めました。
 あとがきでは兵隊の心理描写を書きたかったとありましたが、読んで後ろめたい気持ちが浮かび、またそのことに対する反発の言い訳をしたい気持が交互に浮かんできてしまいました。
 戦争の話を家庭で一切聞かされておりませんでしたが、神平の気持ちを読むと、それも仕方のないことだったのだと思えます。
英霊となって戦場に散った方々、負傷したり心に傷を残して戻ってきた方々に対して、残された人間は敬意と感謝の気持ちを持ち続けなければいけない、と読み終え改めて思いました。

No.102 113ヶ月前

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