かつて薬害エイズの際に、「14章問題」と呼ばれる論争がありましたね。日常に帰れ!という意見に対して、運動にハマった若者や組織からの感情・打算的な反発が寄せられた、脱正義論のもととなったあの章です。 しかし、20年近い時を経てまた新たに「14章」が光を放っていると思います。 新戦争論1における、ひめゆり学徒隊を描いた章です。 あの荘厳な姉妹の最後と、塔の設立に尽力した兄の姿に心を打たれぬ者などいるのでしょうか。 正直に告白するならば、あまりにも厭戦的な語られ方に辟易として、ひめゆり関連の書籍などはあまり好きではありませんでした。 今思います。なんであんなもったいない語り方しかしてこなかったんだと。メッセージを本当に伝える気があったのかと。 この章を読んで、私は人生で最も深く「子供や女性を巻き込むような戦争をしてはならない」と思いました。これまでのどんな反戦的な書物よりも。 「私達の卒業証書は靖国神社の入場券になるのよ!」という言葉は衝撃的で、おそらくこれまでの語られ方では彼女たちは騙されていたんだ、というまとめられ方をされてきたと思います。 しかし、それは彼女たちの主体性を無視した伝え方だったのではないでしょうか。 主体的にこのような覚悟のいるセリフを言う「はずがない!」と。 そう思いたかったのでしょう。覚悟するのはなかなかに大変なことだから。 今を生きるすべての日本人に、当事者意識と覚悟を問うこの本のメッセージを最も強く感じるのはこの章です。 かつてゴー宣でも描かれた占守島の戦いといい、沖縄といい、国境に散った我々の祖父母たちの覚悟を今一度思い返す必要があるのではないでしょうか。
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小林よしのりチャンネル
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かつて薬害エイズの際に、「14章問題」と呼ばれる論争がありましたね。日常に帰れ!という意見に対して、運動にハマった若者や組織からの感情・打算的な反発が寄せられた、脱正義論のもととなったあの章です。
しかし、20年近い時を経てまた新たに「14章」が光を放っていると思います。
新戦争論1における、ひめゆり学徒隊を描いた章です。
あの荘厳な姉妹の最後と、塔の設立に尽力した兄の姿に心を打たれぬ者などいるのでしょうか。
正直に告白するならば、あまりにも厭戦的な語られ方に辟易として、ひめゆり関連の書籍などはあまり好きではありませんでした。
今思います。なんであんなもったいない語り方しかしてこなかったんだと。メッセージを本当に伝える気があったのかと。
この章を読んで、私は人生で最も深く「子供や女性を巻き込むような戦争をしてはならない」と思いました。これまでのどんな反戦的な書物よりも。
「私達の卒業証書は靖国神社の入場券になるのよ!」という言葉は衝撃的で、おそらくこれまでの語られ方では彼女たちは騙されていたんだ、というまとめられ方をされてきたと思います。
しかし、それは彼女たちの主体性を無視した伝え方だったのではないでしょうか。
主体的にこのような覚悟のいるセリフを言う「はずがない!」と。
そう思いたかったのでしょう。覚悟するのはなかなかに大変なことだから。
今を生きるすべての日本人に、当事者意識と覚悟を問うこの本のメッセージを最も強く感じるのはこの章です。
かつてゴー宣でも描かれた占守島の戦いといい、沖縄といい、国境に散った我々の祖父母たちの覚悟を今一度思い返す必要があるのではないでしょうか。