松葉 のコメント

新戦争論、何故小林よしのりは真逆のことを言うのか?
について、私も思い当たるところがあります。
戦争論では、日本が何故アメリカ中国他と戦ったのか、原因や歴史、時代背景が克明に描かれています。
これにより、当時の多くの日本人がもっていた前提
「好戦的な日本が、戦争を始めた。全く愚かだった」
という固定観念が見事に打ち砕かれたのです。
・中国を侵略して作った満州国の地は、実は中国の領土ではなかったこと、
・韓国を植民地にしたのは、ロシアへの防衛のためであり、
 また当時は他国を攻めて植民地にすることは欧米各国が行っており非難されるべき行為ではなかったこと、
・アメリカは日本に対して石油禁輸や植民地の放棄を求め、日本を追い詰めていたこと、など、
学校では「全く」教わらない事実をゴー宣及び戦争論で明らかにされ、読了した多くの日本人は「むしろ起こるべくして起きた戦争で、かつ、日本は愚かではなく立派だった」ことを初めて知ったのです。
 戦争論での日本の快進撃のくだり、戦争論2での大東亜戦争日中戦争の詳細な描写、南京大虐殺の検証を私は感激しながら読んだのですが、きっとここの場面が戦争を肯定するように受け取られたのでしょう。
圧倒的な画力によって、印象に残っている場面は数々ありましたが、
立派な日本人がたくさんいた!恐ろしくて愚かなアングロサクソン、中国人がいた!日本人は悪くないんだ!と自国のたどった歴史の正当性に満足し、私は酔いました。
一方現代を生きる日本人がどうするかといった論点になると、苦手に感じました。
戦争論3であったような、「自分の頭で考えなさい」
「左のサティアンでは・・・右のサティアンでは・・」
といった、読者への問いかけに対しては、難解でなんだろうこれは?と当分意図を読み取れませんでした。
(今は、少しわかったかなあという感じです。)
長い物語は、ドラマチックな場面が記憶に残り、難解な論点やテーマは見落とされがちです。
公と私、といった問いかけは読者の現実社会に踏み込んでくる侵されたくない部分なので、他人事ならいいけれど、自分の領域は守りたいという本能が働いたのかもしれません。また、戦争論は1度読んで理解できる代物ではないので、何度も何度も読み返さなければよしりんの言いたいことを掴むことができない、とても壮大な物語です。だから、多くの誤解をうんでしまったのではないかと思います。
今回、新戦争論では日本人が中国で行った残虐行為を戦争論とは違う視点で語っています。
日本軍が中国で強姦や殺人を行っていたこと。
実は、この章を読んで私はあれ?どうしてと思ってしまいました。
小林よしのりは変節した、と感じた瞬間が私の中にも起こっていたのです。
しかし、戦争論では日本が行ったとされる罪の数々を検証し、それが無実であると導き出していましたが、日本人が全く悪いことをしていなかったとは言っていないのです。私もまだちゃんと読めていませんね。
日本軍が中国で行った残虐行為について、トッキーさんと検証を重ねた経緯を含めて描いてありますが、やはりこういったことは実際あっただろうと思います。
日本人として大変耳が痛い話ですが、日本人が皆立派であったと思い込む方が極端で、歴史や現実を苦い思いをしながら学ばなければ、固定観念にとらわれたママになってしまうと思います。
自分たちの正義を信じすぎると、事実を無視し、物事を客観的に見ることができなくなります。
私もやはり陥ってしまっていました。
ただ、今までよしりんの多くの著作を読んで、私はよしりんに信頼を寄せています。
反射的に「違うではないか!」とイチャモンをつけるのではなく、内省的に自分でケリをつけるようにしているのです。

No.107 117ヶ月前

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