monmon のコメント

「新戦争論1」読みました。
特に印象に残ったのは、第14章「国民の手本、少女学徒隊」と最終章「葛藤の果て『ひょん』と死ぬる」です。
第14章では、戦死者の遺体収容と慰霊塔の建立に命がけで取り組んだ、金城和信の生き様に胸が熱くなりました。米兵に拳銃を突きつけられても屈しなかった姿は、瀬長亀次郎とだぶって見えました。「人は死ねば皆神様・仏様」とばかりに日本兵だけでなく、米兵の遺体収容にも取り組んだ姿には日本人の真面目を見た感じがしました。金城和信は瀬長亀次郎と並ぶ、沖縄の偉人だと思います。
金城の娘の信子・貞子姉妹の自決シーンはとても美しいと思いました。「私たちの卒業証書は靖国神社の入場券になる」という言葉を読んで、この姉妹は日本兵と戦場をともにする事に、とてつもない誇りや喜びを感じていたんだという事がとても伝わってきました。誇り高き気持ちで自決した姉妹の死を、決して貶めてほしくないと願わずにいられません。
最終章では竹内浩三の「骨のうたふ」「日本が見えない」を読んで、目頭が熱くなりました。竹内も平和な時代に生まれていたら、きっと表現の世界で多くの人を楽しませる人になったでしょう。それを考えると戦争を憎みたくなるし、竹内の戦争に行きたくないという気持ちにも共感してしまいます。
しかし彼が戦争という逃げられない現実に、必死に自分を「芸術の子」と奮い立たせ、全力で向き合った姿に心を打たれました。同時に今の日本人は竹内並みに、戦争と向き合ってきたのか、と考えさせられました。戦争を語るなら、せめて竹内なみに戦争について考えろ、と小林先生に言われている気がしました。
他にはイスラム国、集団的自衛権、靖国神社、慰安婦問題、ヘイトスピーチなど現在進行形の問題も取り上げられています。これらの問題で少しでも気になった事があれば、そのたびに「新戦争論1」を再読しようと思います。

No.96 119ヶ月前

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