カラス のコメント

W杯関連ではひとつ気になった言葉がありまして、「自分たちのサッカー」云々というもの言いなんですが。
無論、選手達の闘いぶりは素晴しかったのですが、自分たちのサッカーという言葉を使うことで、それが「いまここ」ではないどこか別の次元に存在するかのような、自分たちの勝ちパターンに拘泥し執着が生まれて自縄自縛に陥り、臨機応変なノビノビした闘いを抑制することに繋がったような。時々刻々と状況が変化するサッカーで、自分たちが考える理想的な流れになれないと機能不全を起こしてフリーズするような言葉を自分たちに嵌め込んでしまったかのようで。やはり言葉って怖いな、と。
で、現政権を見るにつけ、ヤバそげな言葉があちこちに。
誰からなのかが分からない「ニッポンを取り戻す」やら、「アベノミクス」は単なる株価操作の「アベノミミクソ」だったことが徐々に明らかになり、「河野談話は検証だけで継承」やら、「戦後レジームからの脱却」をすることを脱却したり、集団的自衛権は特売まがいの「限定」とセットだったり。
メリケン様に掌返しされれば、一発で機能不全を起こしそうな政策だらけ。アメリカに追従する「自分たちの」勝ちパターンに拘泥しすぎで、果たして変化する世界情勢に対応できるのだろうか? ダメだったときは「自分たちの外交ができなかった」とか言いそうで怖いです。
どんなチンケなフレーズでも言葉に命が宿ってしまえば一人歩きを始めて、集団や国をも左右する空気を醸成する元になることを思えば、メディアから大々的に伝わってくるフレーズは全て疑ってかかるぐらいで丁度いいのかなあと思えてきました。
柳田國男は「先の敗戦はこの国に言葉が無かったからだ」と言ったそうですが、このままだと言葉が無いから戦争になり、言葉が無いまま敗戦になりそうで空恐ろしい。言霊の国でありながら為政者の拙劣な言葉が浮遊している状況は、本当にきな臭いです。

No.90 127ヶ月前

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