よしりん師範、木闌師範、時浦師範代、みなぼん編集長、スタッフの皆様、今号も執筆・編集・配信、ありがとうございます。ライジングは、反知性でかつ野蛮に向かってひた走る時代に抗える数少ないメディアです。

　私はW杯には全く興味が無かったので、NHKでこんな中継テーマソングが採用されていることも知りませんでした。確かにこの「NIPPON」という曲には様々な問題が孕まれていますが、この歌詞を持つ曲がナショナリズムを鼓舞する場面で使われていることを批判するために、椎名林檎がかつて旭日旗を配布したり「同期の桜」の歌詞を展示したり、以前の愛車に「ヒトラー」と名付けていたりしたことを絡めても仕方がないように思います。同様の例では、GLAY以前のTAKUROが「ゲシュタポ」という名のバンドで活動しており、また現在GLAYもやや政治的な内容の歌詞が散見されます。表現者は非常識なほど研ぎ澄まされた感性の持ち主でなければ大成しないとも言えるでしょう。つまり感性の人である林檎姫は右傾化した時代の空気を敏感に察知して曲を作っただけなのだと思うわけです。
　やはりこれは表現規制とは別次元の問題なのです。これは安倍のオトモダチ・籾井勝人が会長に収まって以降の変質によると思われるため、この曲を採用した側のNHKを批判せねばなりません。逆にNHKが椎名林檎にそういうナショナリズムを前面に出した曲を作ってくれとのオファーを出した可能性もあります。政府権力と結びついて人民の劣化ナショナリズムを煽る存在が公共放送を僭称するとは、最早どこぞの半島や大陸の独裁国家の国営放送とそっくりな状況になってきました。かつてのNHKは不偏不党が矜持だったはずなのですが。
　そして、このW杯を意図的に盛り上げようとするマスコミの姿勢には、集団的自衛権の行使容認を巡る政局やTPPのISD対策の規制改革などといった政治の話題を覆い隠しておきたい政府の意向が働いているはずです。そのためにこそ安倍は漏れそうな腹を押してまでマスコミ上層部との会食を重ねてきたのですから。権力者とマスコミが育てている反知性的で劣化したナショナリズムは、現在は国際試合で負けても渋谷でハイタッチ程度で済んでいますが、放置すればやがて日露戦争後の日比谷公園焼き討ちレベル、さらには関東大震災後の朝鮮人虐殺レベルにまで行き着くでしょう。やはり今は「開戦前夜」なのです。
　「ザ・神様」は、やはりアメノウズメのストリップと猿田彦の鼻の怒張が事態を解決しましたか。「ナニをなさって」「鼻が勃つ」「矛は他にも」…日本語は神話時代から難しいですね（笑）。前近代までの日本語は反知性主義的な現代日本語よりきっと遥かに豊かだったでしょう。ところで、アマテラスの使えない男神たちへの苦情はかわいいですね。
　wikiのよくある批判への反論は本当に酷いものですね。wikiの「集合痴」が未来においても良いモノになるわけがないという事例は現在数限りなく積み上っているのに、それによって惹き起こされる関係者の不利益については一切与り知らんというわけです。内容の誤りについてほぼ逐語的に正していかれる「ウィキ直し！」は本当にお疲れさまです。これもライジングというメディアが成長したことで可能となったものです。ほぼ反論不可能なメディアを持たない一般人が被害に遭っている例も数多くあるわけですから、wikiのような反知性メディアなどこの世から失くしたほうが良いとすら思えてきます。

　権力が扱いやすい劣化ナショナリズムは反知性メディアの生み出す空気から　na85