na85 のコメント

 こいらさん、よっしーさんのお話を伺って田舎の共同体のうざったさが、都市住民の私にも少し分かりました。ありがとうございます。よっしーさん初めまして。
 以前の道場で秋田県に地盤を持つ加藤紘一氏が共同体の掟の話をされました。何か訳合って村落共同体の集まりや役に参加できない人は一升瓶を持ってきて許してもらうようなことを言われました。おそらくある程度の人口が確保され、地域の祭りも行われ、産業や公共の活動も機能している活きた共同体ならこれで行けるのでしょう。加藤氏も現在は衰退したかもしれない昔生きていた共同体のことを郷愁を持って発言されたのかもしれません。
 しかし高度成長で戦災復興から立ち直ったのち、一次産業を貿易自由化の犠牲に晒しながら二次産業が海外市場を目指し、一次産業が生業として成立しなくなれば地域から都市への人口流出が加速し、少子高齢化と過疎化が進めば地域の活動にも支障を来し、祭りや伝統行事も廃れて共同体としての活力が低下していきます。角栄の列島改造(地方への人工還流を目的としていた)は逆効果に終わり、その他の行政などによる取り組みにも効果はなく、一向に回復することもなく一直線に衰退の道筋を辿っていけば地域住民は未来に希望が持つことができなくなり、次第に諦めに似た感情が支配していきます。ささくれ立った人々の心は住民同士の交流を失わせ、一升瓶で済んでいた役の辞退に違約金を要求するようになり(人口減で資金不足になったという理由もある)、地域全体として富を失っていけば各人・各家庭の微差が気になりだして他家への探りや干渉が多くなったりという共同体の嫌な部分が強く現われるようになると思われます。
 つまり共同体の良い部分が消えて悪い部分が強く現われるのは、一次産業を犠牲にして二次産業による坂の上の雲を目指した代償だと言えるでしょう。工場への出稼ぎ(二次)や公務員(行政サービス・三次)との兼業でなければ農業経営が成り立たない地域も多いわけですから。このような事態への当面の対策は『里山資本主義』にあるような気がします。エネルギーと食料の域内自給によって他国や大都市、他地域へのカネの流出を無くし、域内で活発な経済活動を行いながら域内で完結する経済を勝ち取る方策が書かれています。地域が活力を取り戻すことが共同体の悪い部分を封じ込める第一歩だと思います。また地域の役の辞退の埋め合わせを一升瓶でできるような、寛容で活力のある共同体を取り戻すためにも、この著書は地域住民も都市住民も読んでほしいと思います。※ライジングvol.55のコメント172を合わせてお読みいただければ幸いです。
 この流れを完遂するためには、最終的には政府が一次産業を守る決断(TPPやその他の自由貿易圏から距離を取ることを目指す)をし、原発からの撤退(木質バイオマスによる木材需要向上)を決断しなければなりません。

 やみくもに懐古趣味で共同体復活を訴えているわけではない na85

No.98 135ヶ月前

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