こいら のコメント

「お客様は神様です」という言葉が間違って使われてるような気がずっとしていて、今回のライジングで本当の意味が分かりました。私はミュージシャンの端くれで、もちろん聴いてくれるお客さんの前ではサービス業の店員さんみたいなきめ細やかな心遣いも必要だな、ってことは身をもって分かるし、ステージに上がる時には文字通り神様の前に立つわけだからコンディションを整えて粗相がないように、なおかつ真剣に真摯に振る舞うことは当たり前のことなのです。さすがに今までは自分のお客さんの中に「ステージの内容が悪かったから土下座して謝れ!」みたいな乱暴な人は一人もいなかったのですが、もし仮にそういうお客さんが現れた場合はどう振る舞えばいいのか少し混乱するし、そんなお客さん相手に言葉や態度だけで対応しても火に油を注ぐだけだと思うのです。自分のパフォーマンスが至らなければ、ライブの後にきちんと反省し改善して、その土下座を要求したお客さんを逆にいい意味で感動させるステージをもう一度やればいいだけの話だと思うし、あえて卑屈になってプライドをどぶに捨ててまでへりくだる必要はないと思います。
私はかつて、あるバンドがライブの開始時間に遅刻して、お客さんに申し訳ない、という純粋な思いだけでそのメンバーがお客さんに土下座していた光景に出くわしたことがあるのですが、もちろんお客さんがそのバンドマンに土下座を強要したわけではなく、むしろその光景をみて苦笑いし、なおかつバンドマンがいいライブをしたのを見て、やはり「他人に強要される土下座」ではなくって「自分が本当に相手に申し訳ないと思って自らの意思でやる土下座」は違うのかな?とも思うのです。
そして「自分に罪はないのに、相手の強い姿勢に怯えてやってもいないことに対して土下座」をするのは「相手に付け入る隙を与えるだけの土下座」なのです。自分が強い立場の場合、自分より弱い人間に土下座を強要することはただのいじめであり犯罪行為です。会社の上司や取引先みたいな立場の強い人間が弱い者をいじめる道具として土下座を安易に使うのは、その立場が強い人間の自信のなさの裏返しだと思うのです。で、それをアメリカも中国も日本に強いてきているというデタラメな構図があります。日本の方が連続した歴史もあるし経済力と勤勉さを兼ね備えた一流の国なので、わざわざ後から強くなったアメリカや中国みたいな人工国家の脅しに怯えることなく、堂々と振る舞って凛としてしゃんとして「我が国は我が国の流儀を守る」みたいな静かな自信と自負をもってしなやかに振る舞えばいいのです。相手の理不尽な要求に屈しないことは、相手を悪い方向に増長させないという意味で、相手のためでもあると思うのです。それが本当の「相手の立場を尊重した『お・も・て・な・し』」だと思うのです。
私たちが普通の暮らしの中で、仕事や家庭などの共同体のなかで、人と接する時に卑屈にならずに、なおかつ相手を尊重し、間違ったことを言っている時には理知的に諭したり叱ったりして、相手のいいところも悪いところも冷静に見ながら付き合っていく振る舞い方がとても大事なんですよね。それはネットの中に埋没しているだけでなく、実際に生身の人間と付き合い、ぶつかり合い、時には恥ずかしい思いをしたり情けない気持ちになったり泣いたり笑ったりしながら、頭だけではなく皮膚感覚で身につけていくものなんじゃないかな、って思います。それがこの国の隅々まで広がっていけば、よその国がいばりちらして「土下座しろ」って強要してもうまい具合に交わせるような上手な外交交渉能力を身につけた国になるのかな?とも思うのです。
長文失礼しました。

No.8 132ヶ月前

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