na85 のコメント

 >>179のmagomeさんの指摘を受け、牛乳に関してもう少し掘り下げます。
 獣の乳が体質に合うのは欧米白人とアフリカ北部などの砂漠の民だけだとされます。人間の主食となる穀物が実りにくく動物の体のあらゆる部分を食用にせねばばならない環境であったためそのような進化を遂げたのだと思われます。人間は3~5歳ぐらいまでの乳児期には腸からラクターゼ(乳糖分解酵素)が分泌され、乳に含まれる乳糖を分解・吸収して栄養にできますが、欧米白人(と一部の砂漠の民)以外ではラクターゼの分泌能力は消失します。ラクターゼがないのに獣の乳を摂取すると乳糖もそれを含む水分も吸収できず、下痢や軟便を起こしやすくなります。「カルシウムを摂るなら牛乳だ」「牛乳に相談だ」と喧伝されますが、牛乳のカルシウムは乳糖や乳脂肪、水分と一緒に糞便として流れ去ります。それどころか食事と一緒に生乳を摂取すれば、その食事で摂れたはずのビタミン・ミネラル・脂肪酸・タンパク質などの有用成分の多くが摂れないことになります。だから牛乳は便秘解消とダイエット(笑)以外には無効であり、骨粗鬆症の原因にすらなります。欧米人は自分たちの基準から牛乳が体質に合わない人を「乳糖不耐症」と診断しますが、自分たちこそが世界基準・人間基準・哺乳類基準から外れた「乳糖分泌継続症」だったわけです。日本人がカルシウムを摂るには小魚や小エビなどの海産物、にがりで作った本物の豆腐が良いでしょう。このあたりは『食と健康を地理からみると』(島田彰夫)に詳しいです。
 明治期に日本各地を旅した英国人イザベラ・バードが奥日光で馬の代わりに牛に乗った時、その乳を求めたところ仔牛のための乳を人間が飲むことは「とてもいやらしいこと」だと笑われたそうです。江戸期までの日本の庶民は獣の乳が体質に合わないことを知っていたわけです。このエピソードは『逝きし世の面影』(渡辺京二)にもあります。
 ところでチーズやヨーグルトなどの発行乳製品は乳糖を含みませんが、実はこちらにも問題があるようです。ラクトース(乳糖)は発酵過程で分解されてグルコース(ブドウ糖)とガラクトースになります。乳児期の人間と欧米白人はラクターゼの他に、ガラクトースをブドウ糖に変えるガラクトキナーゼももっていますが、乳児期を過ぎた人類の多くはこれをもっていません。ガラクトキナーゼを持っていない人の体内では、吸収されたガラクトースが代謝される過程でできた物質が最終的に眼の水晶体に溜まって白内障の原因になるそうです。このあたりは『伝統食の復権』(島田彰夫)に詳しいです。欧米白人以外はそろそろ乳製品の摂り方を考え直した方が良いのではないかと思われます。

 人は食においても国土の歴史と伝統を離れては生きていけない na85

No.181 135ヶ月前

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